フライアッシュ高含有シリカフュームセメント(HFSC)について,アルカリ成分(Na,K)の溶解が接触液のpHに対して支配的となる液固比領域(以下,Region Iと記す。)を中心に,低アルカリ性発現機構を検討するとともに,その機構をHFSCの化学平衡モデルに反映した。その結果,HFSCのRegion Iにおける低アルカリ化は,SO
42-の溶解析出挙動が一因となっていることが示された。また,もう一つの要因として挙げられたアルカリ成分の吸着を反映した化学反応モデルを作成し,そのモデルによりHFSCの浸漬試験結果を解析した。その結果,モデルによる解析結果は実験結果を再現した。以上の結果より,HFSCのRegion Iにおける低アルカリ化は,従来からの知見であるCa(OH)
2が存在しないことに加え,SO
42-の溶解析出挙動とアルカリ成分の吸着の両者にも起因していることが示された。また,アルカリ成分およびSO
42-の吸着を反映したHFSCの化学平衡モデルを示した。
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