本研究では,塩害やスケーリング現象を予見するため,コンクリートの電気的特性を用いたコンクリート中の塩化物濃度の非破壊検査法を提案した。まず初めに,塩化物濃度の異なるコンクリートの小型供試体を作成し,インピーダンス,位相角,水分率,及び空気中の水蒸気量の経時変化を比較・確認するため,長期間の計測を行った。次に各計測値の関係を明らかにし,塩化物濃度評価式を提案した。最後に,この評価式を用いて長期間計測したデータから各塩化物濃度の評価値を算出し,t検定を行った。その結果,塩化物濃度0.0,1.2,2.4kg/m
3の各コンクリート供試体に対して,それぞれ0.1%の有意水準で有意差が得られた。従って,本提案方法によりコンクリート中の塩化物濃度を評価できる可能性が示された。
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