Crustacean Research
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22 巻
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • Peter K.L. Ng, 中宗根 幸男
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 1-6
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    Scutumara enodisとしてここに記載された新属新種は同じイワガニ科のPseudograpsus(ヒメイワガニモドキ)属に近縁であるが,甲が幅より長いこと,背面は滑らかで甲域の区画がなく無毛であること,前胃域上の横走稜線が貧弱か欠けていること,額はよく延びていること,鉗脚の両指が閉じた時に間隙がほとんどないこと等で上記の近縁属と区別される.Pseudograpsus laniger Tesch, 1918とP. miyakei Nakamura & Takeda, 1972はこの新属に属すると考えられる.
  • Raymond B. Manning
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 7-10
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    Chaceon australisとしてここに記載されたオオエンコウガニ科の新種は,太平洋では6番目の種である.本種はマルケサス諸島から知られるC. poupini Manning, 1992に近縁であるが,甲が滑らかなこと,前側縁の歯間距離比が異なること,歩脚長節に末端棘があること,および,生時の体色が異なることによって区別される.
  • Rafael Lemaitre
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 11-20
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    南シナ海からのみ知られているSympagurus sinensis (de Saint Laurent, 1972)は,雌雄とも対の腹肢をもち,前甲,後甲および第1・2腹節の石灰化が明瞭で,尾節と尾肢が相称である.これらの特異な形質によって新属Bivalvopagurusを設立した.本属は今のところ単型属である.Bivalvopagurus sinensisはイソギンチャクをつけた二枚貝の殻(片方)を使う.本種の再記載と進化上の考察も行った.
  • 駒井 智幸
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 21-33
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    青森県から福島県に及ぶ本州東北太平洋沿岸海域から採集された材料に基づき,1新種を含むチヒロエビ科エビ類5種,ツノナガチヒロエビAnstaeomorpha foliacea(Risso, 1827),ハクメイチヒロエビAristeus mabahissae Ramadan, 1938,ハクセンヒカリチヒロエビ(新称)A. pallidicauda new species,ヒカリチヒロエビA. virilis (Bate,1881),およびオオミツトゲチヒロエビPlesiopenaeus edwardsianus (Johnson, 1867)を報告した.新種ハクセンヒカリチヒロエビは岩手県宮古沖の水深500-700mから採集された雄,雌それぞれ1個体の標本に基づいて記載された.本新種は形態的には,大西洋,地中海およびインド洋に広く分布するA. antennatus (Risso, 1816)および西大西洋産のA. antillensis A. Milne Edwards & Bouvier, 1909に類似するが,胸脚上の発光器の数が少ないことと,雄の第3顎脚指節と雌の生殖器の形態が異なることにより,明らかに識別できる.ハクメイチヒロエビとヒカリチヒロエビについては 個体群間の形態変異について言及した.また,オオミツトゲチヒロエビは,日本近海では土佐湾からのみ知られていたが,本州東北海域まで分布すること が判明した.
  • 今福 道夫
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 35-43
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    体内の不相称として胸動脈が消化管のどちら側を通るかを,長尾類,異尾類,短尾類で,とりわけ鉗の不相称との関係に注目して調べた.調査の結果,血管の偏りは鉗の不相称とは関係しないことが分かった.クルマエビ,テッポウエビ,アナジャコおよび短尾類では,この血管の左右への偏りにほぼ等しいばらつきがみられたが,巻貝の殻を利用するヤドカリの仲間では,胸動脈のひたすら左側への偏りがみられた.胸動脈の左への偏りはタラバガニ科のヒラトゲガこでも認められたが,ツノガイヤドカリ科のツノガイヤドカリでは認められなかった.胸動脈が左へ偏る傾向はウミザリガニとアメリカザリガニでも観察されたが,逆の傾向がイソカニダマシで見つかった.
  • 皆川 恵
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 45-54
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    アサヒガニRanina ranina成体の雄の第1および第2交接器を走査型電子顕微鏡と光学顕微鏡を用いて観察した.第1交接器内肢では基部より四分の一の位置でクチタラが陥入し,精包の通り道となる射精管が,また,頂端部にはクチクラが板状に肥厚したcuticular plateが形成されていた.第2交接器内肢の茎部は中央板により二分されるさじ状構造を有していた.組織学的には両交接器ともクチクラ,下皮,疎性結合組織,横紋筋および皮下腺(tegumental gland)より成っていた.少数の皮下腺が両交接器内肢の基部付近に分布し,その中心部はPAS陽性であった.精包の受精嚢への受け渡しおよび皮下腺の機能について考察した.
  • 鈴木 廣志, 谷川 昇, 長友 隆行, 津田 英治
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 55-64
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    1986年5月,1987年6月および1990-1991年に,鹿児島県本土からトカラ列島にかけて,陸水産コエビ類の分布調査を行った.また,本土内を流れる川内川,万之瀬川および肝属川では,流程分布調査も行った.採集されたコエビ類は,ヌマエビ科が4属8種,テナガエビ科が2属9種であった.これら17種のうち13種が南方系の種類であったが,北方系の種も4種類出現し,本調査地域は両系の混棲する地域と考えられた.また,今まで沖縄島が北限とされていた,スベスベテナガエビMacrobrachium equidens,コツノテナガエビM. latimanus,およびツブテナガエビM. gracilirostreが大隅諸島(種子島,屋久島,口永長都島)でも採集された.したがって,これら3種の北限は大隅諸島まで引き上げられると考える.3つの河川における流程分布は,従来報告されているように河川形態,ダム,自然の滝などに影響されていることがわかり,河口から傾斜の緩やかな流域にかけては,両側回遊型のミゾレヌマエビCaridina leucostictaやミナミテナガエビMacrobrachium formosenseなどが分布し,ダムや滝などの上流域には,陸封型のミナミヌマエビNeocaridina denticulataやスジエビPalaemon (P.) pauddensのみが分布していた.
  • Peter J. F. Davie
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 65-74
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    相模湾以南台湾までの河口域にすむユビアカベンケイガニ(イワガニ科)はSesarma erythrodactylumの学名で知られている.基産地はシドニーである.しかし,日本産とオーストラリア産の標本を比較研究したところ,それぞれ独立した別種であることがわかった.このためユビアカベンケイガニを新種Sesarma actsとして記載した.なお,オーストラリアの種は原記載の綴りに従って,S. erythodactyla(Hess, 1865)とすべきである.
  • 伏屋 玲子, 渡邊 精一
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 75-81
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    千葉県館山市にある東京水産大学坂田実験実習場地先において,1992年4月から1993年4月まで,ヨツハモガニPugettia quadridens quadridensを月ごとに採集し,成長と繁殖について調査を行ない,生活史の概略を推定した.繁殖期は2月から8月で,その期間中に複数回交尾,産卵を行なう.卵は20日前後でふ化し,ふ化幼生は17日前後の浮遊期を経て椎ガニとなる.椎ガニは秋から冬にかけて成長し,翌年2月ごろに成熟する.雌の成熟脱皮は最終脱皮と思われ,その脱皮の際に腹節に第二次性徴が現われる.雄の第二次性徴は鉗脚に現われるが顕著でない.成熟個体は繁殖後,夏ごろには死滅すると思われる.本種の寿命は約1年と推定される.
  • 大谷 拓也
    原稿種別: 本文
    1993 年 22 巻 p. 83-87
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    シオマネキのはさみ脚の不相称分化過程を解明する目的で,ふ化ゾエアから得た1令椎ガニを飼育し,その過程ではさみ脚の状態の変化を観察した.第1椎ガニはすべてが2本の小さい相称のはさみ脚を持っていたが,それらは大型化した後に左右どちらか片方が脱落し1本となった.さらに, 1本のはさみ脚を持つ個体の減少とともに,不相称なはさみ脚を持つものが増加した.これらの観察結果は,生息域における調査と同様であり,シオマネキのはさみ脚の左右性の分化過程が,山口(1977)により証明されたハクセンシオマネキのそれと順序は若干異なるが経過は同じであることを示唆している.
  • 原稿種別: 文献目録等
    1993 年 22 巻 p. 89-91
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1993 年 22 巻 p. 92-
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
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