日本色彩学会論文誌
Online ISSN : 2436-7451
1 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 若田 忠之
    原稿種別: 原著論文
    2023 年1 巻1 号 p. 1-14
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    本研究ではPCCSトーンにおける色の心理的な明るさとあざやかさを合わせた統合次元“Brilliantness”を提案することにより,色の属性と色の印象次元の対応関係を検討することを目的とした.調査1として色の印象評価を行い,色刺激はPCCSにおける11トーン,12色相および無彩色の計24刺激を用いた.評価には20形容詞対で構成した7段階のSD法を用いた.調査2として色の心理的な「明るさ」,「あざやかさ」の測定を行った.色刺激は12トーンを用いた.評価ではVisual Analog Scaleによって「明るさ」と「あざやかさ」の評価を行った.主成分分析によって色の心理的な明るさとあざやかさを合わせた属性として,“Brilliantness”を提案することができた.また,色の3 属性と因子分析における色の印象次元の対応関係については,特に明るさ,あざやかさと対応する印象次元が示され,それらの印象次元は“Brilliantness”とも対応することが示された.これらの点から,“Brilliantness”の概念を用いることによって色が対応する印象の変化の定量的な表現が可能となると考えられる.

  • 篠田 博之, 西尾 匡弘
    原稿種別: 原著論文
    2023 年1 巻1 号 p. 15-30
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    汎用的なディスプレイと色フィルタを用いることで,非単色光刺激による条件等色実験を実現し,観測者個人の錐体分光感度を推定する手法を提案した.提案手法においては,生理学的に妥当な視覚モデルで錐体分光感度関数を定義し,複数種類の参照刺激に対する等色データに対して,差分進化法を用いて分光感度を推定した.実測したディスプレイの分光放射輝度や色フィルタの分光透過率などの実際的な分光データを用いてシミュレーション実験を行い手法の実効性と有効性を検証した.シミュレーション実験の結果から,分光透過率の異なる3 種類以上の色フィルタを用いた等色を複数回繰り返し,その平均結果に対して差分進化法を適用することで高精度に分光感度が推定できることを確認した.さらに,実際の等色実験では観測者の色弁別閾によって等色にばらつきが生じるため,等色のばらつきと推定精度の関係についても検討し,提案手法の頑健性を確認した.

  • 篠田 博之, 北堂 絢菜
    原稿種別: 原著論文
    2023 年1 巻1 号 p. 31-44
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    異なる分光分布形状と色度をもつLED 照明間の色恒常性を検討した.実験では3 種類の分光分布形状に対し4 種類の色度の組み合わせ計12 種類の照明光下で重み付けカテゴリカル比率評価法(WCE)を用いて色票の色の見えを評価した.WCE 得点をエレメンタリーカラーネーミング(ECN)の基本色得点に変換したRGYB 成分に着目して色の見えの変化を定量化し,色票のu'v' 色度変化との対応を分析した.その結果,比較する照明条件によって個々の色票の色度変化と色の見えの変化の対応関係が異なることが示された.視覚系の色順応状態を考慮するために,観察者の視野の多くを占めるブース奥壁(無彩色)の色度移動で色順応状態変化を代表させ,それに対する個々の色票の相対的な色度移動量と色の見え変化量との対応を見たところ,比較照明条件によらず相関の高い関係が得られた.ECN の白黒成分も分析したが,今回は色票の輝度差自体が小さく知覚明度(白さ度合い)や明るさ知覚と輝度との明確な対応関係は得られなかった.

  • 村谷 つかさ, 須長 正治
    2023 年1 巻1 号 p. 45-56
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    色覚多様性の概念は,未だ曖昧で共通認識が図れていない.本研究では,主に学校現場を対象とし,色覚多様性の概念に含まれる要素を体系的に整理することで,多様な色覚特性が包摂された社会をデザインするための研究や実践を促進するための土台づくりを目的とした.そのため,色覚多様性の観点から執筆された文献調査と,その著者3 名に対するインタビュー調査を実施し,質的分析を行った.結果,色による情報弱者を作らない「環境づくり」,「色覚異常」の児童生徒がポジティブな自己意識や社会における対応力を獲得する「エンパワメント」,知識の普及や土壌づくりを通じて色覚多様性の概念を社会に浸透させる「社会通念の形成[知識の普及+土壌づくり]」という 須長 正治九州大学大学院芸術工学研究院 抄 録 3 つの大項目を主題として設定し,各大項目に属する要素を項目表として整理した.それらは,色覚多様性の概念の一般化に向けた調査研究の実施や,実践活動に用いる教材や仕組みの開発など,用途に応じた活用が期待できる.

feedback
Top