京都工芸繊維大学では2005年から2009年の5年間、公定法である検知管法を用いてベンゼン、クロロホルムなど揮発性有機化合物(VOCs)11物質とフッ化水素を対象に作業者自らが作業環境測定を行った。検知管法による分析結果を他法による結果と比較し、大学における検知管法による作業環境測定と大学でのリスク管理について解析した。
測定対象物質としては、アセトンとメタノールが測定対象部屋の60-80%で使用されており、最も測定数が多かった。クロロホルム、トルエン、ノルマルヘキサン、酢酸エチル及びジクロロメタンは測定対象部屋の40-50%で使用されており、アセトン、メタノールに次いで測定数が多かった。クロロホルム及び酢酸エチルは、測定した部屋のそれぞれ40-55%、30-70%で検出され、検出割合が高かった。ベンゼンは、ドラフトチャンバーや代替溶媒の使用が進み、使用部屋数は測定対象部屋全体の40%から20%に減少し、ベンゼンは室内ではほとんど検出されなくなった。
検知管法による作業環境測定は、できるだけ実際に実験している状態で、簡便、迅速かつ正確にVOCs濃度を測定することが可能であり、その測定結果は他法と比較すると同程度かやや高いという傾向があるため、大学でのリスク評価、リスク管理に有効な方法と言える。
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