環境と安全
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10 巻, 3 号
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原著論文
  • 飯田 裕貴子, 村山 武彦, 錦澤 滋雄, 長岡 篤, 本多 将俊
    原稿種別: 原著
    2019 年 10 巻 3 号 p. 165-175
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/12
    [早期公開] 公開日: 2019/09/24
    ジャーナル フリー

    本研究では、自治体が所有する設備で、迅速に、行政指導に必要な精度を備えた大気中アスベスト濃度測定方法を確立することを目的とした。

    アスベストモニタリングマニュアルに記載されている測定方法8種の自治体での測定機整備状況、解体現場への可搬性、測定条件、分析精度、測定機購入価格、分析上の利点と課題について分析実験結果と文献調査のデータを用い比較した。その結果、分析精度を維持しつつ位相差顕微鏡法の簡便化を検討することが最も有効と判断した。

    位相差顕微鏡法の捕集時間と計数視野数を変えた場合の測定所要時間と分析精度(検出下限値、測定誤差範囲)を検討した。特に迅速性が求められる場合の条件とされている捕集30分と計数100視野での測定所要時間は2.2~4.7時間、検出下限値0.4本/L、測定誤差範囲1.6本/Lと算出された。条件検討の結果、捕集2時間と計数50視野のとき測定所要時間2.8~4.1時間、捕集1時間と計数100視野のとき測定所有時間2.7~5.2時間で、どちらも検出下限値0.2本/L、測定誤差範囲1本/Lであった。

    上記の測定条件は、特に迅速性が求められる場合の測定条件と比較して、測定時間はほぼ同じ、分析精度はより高かった。アスベスト含有建築物解体改修時の立入検査において、迅速性が求められる場合に使用可能であると考える。

  • 山野 浩二, 渡邉 励人, 甲斐 穂高, 山口 雅裕, 中島 琢自, 荒木 賢人, 藥師寺 佑佳, 有薗 幸司, 石橋 康弘
    原稿種別: 原著
    2019 年 10 巻 3 号 p. 177-187
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/12
    [早期公開] 公開日: 2019/10/07
    ジャーナル フリー

    バイオディーゼル燃料の製造時には、原料油脂の10~20%程度のグリセリン、メタノール、石鹸成分および未変換の脂肪酸などの不純物を含む廃水が発生する。この廃水は活性汚泥法等の生物処理により処理が可能であるが、効率的な処理方法がない。そこで、本研究では、バイオディーゼル燃料廃水の処理を目的として、最適な処理条件について検討した。

    バイオディーゼル燃料廃水中には水溶性成分と油分が含有しており、エマルション化している。このエマルションの分解には酸の添加が有効であり、エマルションの分解(エマルションブレイク)により油分が分離され、水層のCODMnの値を減少できることが有効な手法であることを確認した。また、エマルションブレイク後のバイオディーゼル燃料廃水の主な有機汚濁の原因となっている物質はグリセリンとメタノールである。このうちグリセリンは、MU11株(Bacillus licheniformis)で分解できること、また活性汚泥の中にも Bacillus licheniformisが存在していることが示された。さらに、活性汚泥とMU11株を混合したHybrid条件 では、その他の条件と比べてCODMnの減少速度が速いことが示された。

    最終的に、Hybrid条件がバイオディーゼル燃料廃水の処理に有効であることが示された。

報告
  • 錦見 端, 林 瑠美子, 三品 太志, 富田 賢吾
    原稿種別: 報告
    2019 年 10 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/12
    ジャーナル フリー

    大学における構成員の安全確保のためには、長期的な視野で計画的に安全教育のプログラムを構築し、継続的に改善していくことが重要である。こうした観点から最近数年間に名古屋大学環境安全管理室が実施した大学全体を対象とした安全教育に関する取り組みについて報告する。特に、取り組みの初期段階に学内規定(ガイドライン)という形で「名古屋大学の安全教育として達成すべき目標」を示したことは、安全教育関係者のみならず学内の構成員に安全教育の重要性を認識させる上で非常に有効だった。ガイドラインに基づく多様な教育機会の提供及び教育コンテンツの工夫等により、徐々にではあるが学内の様々な構成員の安全意識が向上してきている。今後、さらに内容を充実するため、引き続き課題に取り組んでいく。

  • 松居 俊典, 西岡 彩美, 岡﨑 敏和
    原稿種別: 報告
    2019 年 10 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/12
    ジャーナル フリー

    香川大学創造工学部の大学生を対象とした寒剤に関する安全教育は、スライドと紙媒体資料から理解に繋げる講義と実演を合わせた1度きりの講習からなるものであった。しかしながら、本学部で発生した学生の液封によるインシデントの原因を調査すると、既存の安全教育が学生にとって実際の危機に十分な対処ができないとの示唆に富むものであった。

    本稿は学生が液体窒素汲出し作業の危険性を十分に認識して危機を回避することを念頭に、人間の記憶のしくみに着目した本学部の安全教育プログラムについて示す。はじめに、体験型教材を用いた講義とリハーサル動画を用いた実技による安全講習を実施した。そして、この教育内容を記憶させる分散学習を行った。 その後に、IC認証と作業監視によるデータ収集によって課題を把握して、教育効果の低い分類群に補填的な再学習教材を適用させた。さらに、利用者の属性による情報伝達の阻害要因を解消させる作業支援Webアプリケーションを導入した。

    本システムは教育内容を長期記憶へと導き、これを想起させる仕組みが内包された安全教育のロールモデルとして、液体窒素以外の分野でも活用が期待される。

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