環境と安全
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13 巻, 3 号
環境と安全
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原著
  • ―クロロホルムを取り扱う分析化学実験を例に―
    山本 忍, 竹内 靖人, 波多野 航大, 石田尾 徹, 青木 隆昌, 宮内 博幸
    原稿種別: 原著
    2022 年 13 巻 3 号 p. 47-55
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/10
    [早期公開] 公開日: 2022/11/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、学生実験における化学物質へのばく露防止に活用できるばく露評価手順について検討することである。分析化学実験を行う学生を対象に、職域の化学物質のリスクアセスメントで主に用いられている4種類のばく露評価のための測定(A・B測定、個人サンプリング法、個人ばく露測定ガイドラインお よびビデオばく露モニタリング)を実施し、それぞれの評価目的の特性から、学生実験の特徴を考慮した適切なばく露評価手順について考察した。その結果、個人サンプラーによる捕集を実施し、定量値を個人ばく露測定ガイドラインと個人サンプリング法の評価計算法に従い評価することにより、健康障害リスクと作業場環境の評価を同時に行い、効率かつ効果的にばく露評価を実施することが可能であることが示唆された。また、ビデオばく露モニタリングを同時に実施することで、改善が必要とされる結果が得られた際に高濃度ばく露作業を特定でき、改善が必要とされない場合でも残存リスクを抽出することが可能であることもわかった。

短報
  • 富田 賢吾, 原田 敬章, 三品 太志, 林 瑠美子
    原稿種別: 短報
    2022 年 13 巻 3 号 p. 57-62
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/10
    [早期公開] 公開日: 2022/10/30
    ジャーナル フリー

    二酸化炭素消火器は小さな火や電気火災等には効果的であるが、特に室内で使用する際には二酸化炭素中毒の危険性に留意しなければならない。本研究では、室内で二酸化炭素消火器を使用した場合の二酸化炭素濃度とその時間変化を二酸化炭素モニター(測定範囲:0~9,999 ppm)を用いて測定した。床から50 cmの高さにおける濃度は消火器の噴射開始から約20秒後に10,000 ppmを超えた。窓を開放し、換気を行っていた場合、40秒程度の間10,000 ppmを越えていたが、その後、一気に減少した。一方で、窓を閉じていた場合は、200秒以上の間10,000 ppmを越えており、その後の濃度減少も緩やかだった。10,000 ppmを越えた濃度について、指数近似曲線を用いて最大濃度を推定したところ、窓を開けていた場合は約20,000 ppm、窓を閉じていた場合は約40,000 ppmとなった。床から150 cmの高さにおける濃度は、窓の開閉状態に関わらず、最大4,000 ppm程度であった。一般に二酸化炭素濃度が30,000 ppmを超えると頭痛やめまい、100,000 ppmを超えると意識喪失を引き起こすとされており、床付近の二酸化炭素濃度は比較的高く、中毒の危険はあるが、即時に意識を喪失する程ではないと推定された。二酸化炭素消火器を直接顔に吹き付けるなどの行為は避けなければならないが、極端に狭い空間ではなく、窓の開放等で換気ができる状況であれば、安全に使用できると考えられる。

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