環境と安全
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15 巻, 1 号
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原書論文
  • 主原 愛, 大島 義人
    原稿種別: 原著
    2024 年 15 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/25
    [早期公開] 公開日: 2024/12/25
    ジャーナル オープンアクセス HTML
    電子付録

    局所排気装置 ( ドラフトチャンバー 、 Fume Hood 、 以下 FH) は 、 実験研究現場で化学物質のばく露防止装置として用いられ 、 その性能は法定点検で定期的に確認される 。 一方で 、 FH がばく露防止装置としての機能を果たすためには 、 適切な使い方が必要不可欠であるにもかかわらず 、 使い方についてはガイドライン等の一般的な注意喚起にとどまっており 、 使用状況を評価する手法が存在しないのが現状である 。 そこで本研究では 、 専門家が FH の写真を見て判定した FH の使用状況の良し悪しの評価を深層学習させ 、 FH の写真から使用状況の良し悪しを再現するモデルを構築した 。 その結果 、 畳み込みニューラルネットワークを用いた学習モデルは 93% の正解率で FH の状態を判定し 、 機械的評価は専門家評価を数値的に再現することが示された 。 また 、 数値評価が写真の何を根拠に算出されるのかについて写真内への可視化を試みたところ 、 全てのFH で必ず判断根拠になる特定のエリアはなく 、 FH によって判断根拠となるエリアに特徴のあることが明らかとなった 。 モデルが抽出した判断根拠のエリアと現場で用いられるチェック項目が類似していることから 、この専門家の評価の判断根拠がガイドラインに準拠していることが示唆されたと考えられる。 本研究で着目した客観的な状態評価は 、 主観や思い込みを排除した自律的な安全管理を支援するツールとしての展開が期待される 。

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