バイオイメージング技術は,イメージングシステムとシステムに合ったイメージングプローブの開発により発展してきた.ポジトロン断層法(PET)は,超短半減期のポジトロン放出核種を用いる最も高感度なイメージング技術の一つであり,非侵襲的に定量的な分子イメージングなどを行うことが出来るため,医療現場での機能診断や生体生化学研究に用いられ,イメージング技術として確固たる地位を築いてきた.また,PETデータを解析することにより,物質の生体内での特性が理解できるため,医薬品の研究開発に応用する試みがなされている.DDS製剤の開発においても,ナノ粒子やナノメディスンの動態解析イメージング技術は有効であろう.
筆者らは,これまでにPETを用いてDDS製剤,とりわけリポソームの体内動態を解析してきた.最近,さらに簡便かつ応用性の高いDDS製剤用PETイメージングプローブと標識法の開発を手がけている.本稿では,DDS製剤開発のためのイメージング技術と,筆者らが行っているPETを用いた小動物でのDDSナノメディスンの分子イメージングに関して紹介する.また,これらのイメージング技術をいかにDDS製剤の研究・開発に利用していくかを議論したい.
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