Drug Delivery System
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23 巻, 2 号
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特集 “ワクチンとDDS” 編集 : 中川晋作
  • 中川 晋作, 岡田 直貴
    2008 年 23 巻 2 号 p. 112-115
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    分子生物学の著しい発展により感染病原体の特性や細胞のがん化機構の解明が進み,それらの成果が免疫学と結びつくことで,感染症およびがんに対する新たなワクチン戦略の構築と検証が進んでいる.近年,ウイルス感染による発がんを予防するワクチンも開発された.これまでは,疾病の予防薬としてワクチンが用いられてきたが,今後は生体の免疫系の制御による治療用ワクチンも開発されてくるであろう.いまやワクチンは,感染症やがんにとどまらず,さまざまな疾病に対して開発されようとしている.本稿では,ワクチン開発の現状について紹介する.
  • 國澤 純, 清野 宏
    2008 年 23 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    インフルエンザや感染性腸炎などの新興・再興感染症が問題となっている昨今,これら感染症に対する有効なワクチンの開発が必要急務とされている.多くの病原微生物が呼吸器や消化器・泌尿器といった粘膜組織を介して感染することを考えると,粘膜組織における初発感染防御を誘導できるワクチンを開発することが重要である.
    近年,呼吸器や消化管といった粘膜組織に存在する粘膜免疫システムを応用し,粘膜組織における初発感染防御と生体内での二次防御を同時に誘導しようとする粘膜ワクチンが,次世代型のワクチンとして注目されている.本稿においては,粘膜免疫システムの特徴,ならびに粘膜ワクチンの実用化に向けた課題とその解決法としてのDDSの応用について概説したい.
  • 鈴木 亮, 小田 雄介, 宇都口 直樹, 門脇 則光, 丸山 一雄
    2008 年 23 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    近年,樹状細胞(DCs)の強力な抗原提示能を利用したがん免疫療法が注目されている.この療法の中核をなす細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化するためには,DC上のMHCクラスIを介してがん関連抗原を提示させる必要がある.そこで筆者らは,DCsへの抗原送達キャリアとしてIgG表面修飾した抗原封入リポソームを開発した.このIgGリポソームはDCs上のFcγレセプターを介して取り込まれ,内封した抗原のMHCクラスIへの抗原提示を誘導することで抗原特異的なCTL誘導を可能とした.
    本稿では,がん免疫療法における抗原デリバリーキャリアとしてのIgGリポソームの可能性について紹介する.
  • 松尾 圭祐, 吉川 友章, 岡田 直貴, 中川 晋作
    2008 年 23 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    がんワクチン療法の有効性を改善するためには,腫瘍関連抗原(TAA)を抗原提示細胞へと効率よく送達できる手法の確立が望まれる.筆者らは,ポリγ-グルタミン酸を素材としたナノ粒子(γ-PGA NP)を抗原送達キャリアとして応用することで,TAA特異的な細胞傷害性T細胞の効率的な誘導に基づく腫瘍免疫の強化に成功した.本稿では,筆者らが推進しているγ-PGA NPを応用したがんワクチン療法の開発を例に,がんワクチン療法における微粒子DDS技術の有用性について概説する.
  • 川上 茂, 樋口 ゆり子, 中西 秀之, 倉本 夕香里, 服部 芳幸, 橋田 充
    2008 年 23 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    がんの免疫機構が明らかになるとともに,強力なアジュバントであるCpG DNAやがん抗原をコードしたプラスミドDNAが,がんの免疫療法に有効な核酸医薬品になりうると期待されるようになってきた.しかしながら,核酸は,生体内における不安定性および投与後の標的細胞である免疫担当細胞への集積の低さにより充分な治療効果が得られない.よって,効果的ながん免疫療法を開発するためには免疫担当細胞へのターゲティング技術の開発が必要である.本稿では,免疫担当細胞に対するリポソームを用いた核酸のターゲティングによるがん免疫療法を概説する.
  • WT1ワクチン療法
    杉山 治夫
    2008 年 23 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    ウィルムス腫瘍遺伝子WT1は,白血病やほとんどすべての固形がんに高発現しており,がん遺伝子としての機能を果たしている.WT1蛋白は汎腫瘍抗原であり,WT1ペプチドを用いたがんの免疫療法の臨床試験が世界に先がけて行われ,その安全性と有用性が明らかになった.
  • 山西 弘一
    2008 年 23 巻 2 号 p. 151-158
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/18
    ジャーナル フリー
    新型インフルエンザなどの新興感染症の出現が危惧されている現在,新たなコンセプトに基づくワクチンの開発が要望される.従来のワクチンは小児を対象としたものが主であったが,最近では思春期を対象としたパピローマに対するワクチンや,成人や高齢者を対象とした帯状疱疹ワクチンも開発されてきた.今後は遺伝子組換えワクチン,DNAワクチン,ポリペプチドワクチンの開発とともに,投与法の改良として粘膜ワクチン,免疫をより効果のよいものにし,副反応の少ないアジュバントの開発が急がれる.
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