Drug Delivery System
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23 巻, 4 号
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特集 “呼吸器疾患領域におけるDDSの進歩” 編集 : 河野 茂
  • 柳原 克紀, 河野 茂
    2008 年 23 巻 4 号 p. 448-453
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症は臨床的にきわめて重要な疾患であり,新薬の開発や既存薬のDDS製剤化が行われている.マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシン(AZM)のマイクロスフェア製剤であるAZM-SRは,長時間の体内動態を獲得し,1回の投与で1週間効果が持続する.コンプライアンス向上や薬剤耐性菌抑制に寄与できる.アムホテリシンBが本来有している抗真菌作用を損なうことなく,副作用を軽減させる目的で,リポソーム製剤が開発された.すでに臨床応用されており,深在性真菌症の治療に大きく貢献している.臨床応用を目指したアミカシンの新規吸入薬ならびに吸入装置は,耐性菌感染症に対する新規治療法として期待される.
  • 向井 英史, 川上 茂, 橋田 充
    2008 年 23 巻 4 号 p. 454-459
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    急性呼吸窮迫症候群や喘息など,重要な肺疾患は多数あるが,疾患の機構解明が進んでおり,単一遺伝子導入により治療効果が得られると期待される,嚢胞性線維症やα-1-アンチトリプシン欠乏症と,肺がんに対して遺伝子治療臨床試験が先行している.肺は,経血管投与または経気道投与により,比較的容易に非侵襲的遺伝子デリバリーが達成されうると期待される臓器であり,デリバリー上の生体障壁,遺伝子産物である蛋白の動態的および機能的性質,繰り返し投与の必要性などを総合的に考慮して,投与経路,ベクターを選択・製剤化し,各疾患に対しさらに最適化したデリバリーシステムを構築していくことにより,将来の肺疾患に対する遺伝子治療実現に繋がるものと考えている.
    本稿では,デリバリーの観点から,遺伝子治療の対象となる肺疾患の治療遺伝子・標的細胞,また,肺の構造について整理し,肺への遺伝子デリバリー技術の現状について概説する.
  • 吉川 剛兆, 川上 亘作, 金岡 恵理
    2008 年 23 巻 4 号 p. 460-466
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    経肺投与は,さまざまな肺疾患に対してきわめて効率のよい薬物投与が期待されるが,製剤をリポソーム化することによって,さらに魅力的な製剤を設計することができる.リポソーム吸入剤はすでに臨床試験も行われており,近い将来の実用化も夢ではない.本稿では,リポソーム吸入剤の製剤設計に関する研究や臨床試験の動向について,最近の知見を紹介する.
  • 戸塚 裕一, 竹内 洋文
    2008 年 23 巻 4 号 p. 467-473
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    近年,開発の盛んな経肺投与製剤は粒子設計と密接な関連がある.筆者らは,ナノ粒子を用いるペプチド性薬物の経肺投与,あるいは薬物結晶の微細化による粉末吸入剤粒子の設計に取り組んでいる.本稿では,これらの研究成果を概観した.特に,医薬品のナノ粒子を調製に関しては,エマルション溶媒拡散法や超臨界二酸化炭素を用いた新しい調製法を用いて,in vitroでの吸入試験において良好な結果を示す粒子の調製に成功した例を示した.経肺投与に有効な粒子調製のためには,粒子径や表面特性を制御する必要があり,ナノテクノロジーを用いた最適な調製方法の確立が鍵と考えられる.
  • 稲川 裕之, 河内 千恵, 杣 源一郎, 松本 真, 山下 修司, 寺田 弘, 牧野 公子
    2008 年 23 巻 4 号 p. 474-480
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    エイズ,結核,マラリアは世界3大難治性感染症である.エイズはHIVウイルス,結核は結核菌,マラリアはマラリア原虫に感染して引き起こされる.本稿では,結核治療のためのDDSについて概説する.結核菌は生体内に侵入後,マクロファージに貪食されるが,消化されずにマクロファージ内部で増殖する.筆者らは,病原菌が寄生したマクロファージに容易に認識貪食されることによってマクロファージ内部に充分量の薬物を送達し,マクロファージを活性化するDDSを検討している.
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