近年,がんワクチン領域は急速な進展がみられており,臨床効果と免疫反応性の相関を認めた報告が続々となされている.最近のがんワクチン療法の現況では,子宮頸がん予防ワクチンの承認が最も注目される.またOncophage(熱ショック蛋白-ペプチド複合体)が2008年ロシアで一部の腎臓がんに対して承認された.しかしながら,現時点において日本,米国において承認されたがんワクチン療法はいまだ存在しない.ペプチドや樹状細胞を用いた臨床試験結果は,ペプチド特異的な免疫マーカーにそった臨床効果を示すようになってきている.
患者個々に応じたペプチド選択や抗がん剤との併用,ならびに生存率をエンドポイントとした臨床試験が今後のがんワクチン療法開発のキーポイントになると考えられる.泌尿器がんにおいても種々のがんワクチン臨床試験が実施されており,手術,放射線治療,抗がん剤治療につぐ第4の治療として期待されている.
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