Drug Delivery System
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26 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集 “プロテインエンジニアリングを利用した次世代バイオ創薬” 編集 : 堤 康央
  • 柳川 弘志
    2011 年 26 巻 6 号 p. 571-583
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    我々は,ピューロマイシンを利用した独自のタンパク質の解析・選択技術であるin vitro virus (IVV) 法を世界に先駆けて開発した.IVV法はベイト(餌)にタンパク質,DNA,薬剤,抗原を用い,cDNAライブラリーから標的タンパク質をスクリーニングすると,それぞれタンパク質間相互作用解析,RNA制御配列解析,生理活性ペプチド探索,転写制御因子解析,薬剤標的タンパク質探索,抗体選択など多様なタンパク質の機能解析に応用可能である.ロボットによる大規模なタンパク質間相互作用解析システムやマイクロ流体チップやタイリングアレイと融合することにより,超高効率・超高感度な選択システムを構築した.
  • 山口 淳, 加藤 敬行, 菅 裕明
    2011 年 26 巻 6 号 p. 584-592
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    新たな創薬の基盤技術として,我々は1013を超える多様性の擬天然特殊ペプチドライブラリーの構築を可能とするFIT(Flexible In-vitro Translation)システムと,生理活性を有した特殊ペプチドの迅速な探索を実現したRaPID(Random non-standard Peptides Integrated Discovery)システムを開発した.本稿ではこれら新規基盤技術の紹介と共に,特殊ペプチド創薬におけるDDSとの連携の重要性についても言及する.
  • 藤井 郁雄
    2011 年 26 巻 6 号 p. 593-603
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    抗体医薬の研究が進むにつれ,その問題点も明らかにされてきている.これらの問題点は,抗体の基本構造に起因するものである.そこで,イムノグロブリン構造を利用せず,目的の標的タンパク質に対して特異的に結合する抗体様物質が求められている.筆者らは,抗体様物質としてヘリックス-ループ-ヘリックス構造をもつ分子標的ペプチドの開発を行った.分子進化工学の主要技術であるファージ表層提示ライブラリー法を駆使し,立体構造規制ペプチドライブラリーから標的タンパク質に結合するペプチドをスクリーニングする.得られるペプチドは,強固な立体構造をもつため生体内の酵素分解に対しても安定であり,低分子量(分子量:3000~5000)であるにもかかわらず抗体と同等の高い結合活性をもつ.このことから「マイクロ抗体」と名付けた.
  • 角田 慎一, 堤 康央
    2011 年 26 巻 6 号 p. 604-610
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    近年のゲノミクス・プロテオミクス研究の進展により,さまざまな疾患に関与するタンパク質が同定されつつあり,それらタンパク質の医薬品化に期待が寄せられている.しかし,タンパク質は一般に体内安定性にきわめて乏しいため,治療効果を得るためには大量頻回投与が必要となる.とりわけサイトカインは,さまざまな細胞の複数種類のレセプターを介して多様なin vivo生理活性を示すため,目的とする治療作用のみならず副作用の原因となる他の作用までをも同時に発揮してしまう.そのため,タンパク質の臨床応用は制限され,医薬品化に成功した例は限られている.従って,疾患プロテオミクス研究の成果を有効活用した次世代のバイオ創薬研究を成功に導くためには,これらタンパク質固有の問題点を克服しうる創薬テクノロジー,すなわちタンパク療法の最適化に適うDrug Delivery System(DDS)の確立が不可欠である.本稿では,筆者らが確立してきたDDS技術, (1) レセプター親和性・特異性などが高く医薬価値に優れた機能性人工タンパク質を迅速創製できるタンパク質分子進化技術,および, (2) タンパク質の生体内安定性を向上させ,かつ目的治療作用の選択的発現能を付与できる高分子バイオコンジュゲーション技術を利用した次世代型バイオ医薬の開発研究について紹介する.
  • 中村 和靖, 杉本 義幸, 町野 悠介, 夏目 暁人, 佐藤 光男
    2011 年 26 巻 6 号 p. 611-621
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    抗体医薬の臨床効果を高めるため,抗体が持つエフェクター機能を増強する試みがなされている.数多くの試行錯誤の結果,Fc領域の特定のアミノ酸の改変,あるいは糖鎖の修飾により抗体のFc受容体や補体への結合活性が向上し,ADCC活性やCDC活性といったエフェクター機能が増強することが示された.また,高いADCC活性と高いCDC活性を併せ持つ抗体を作製することができ,このような多機能化抗体は,複雑なメカニズムにより高い治療抵抗性を獲得している難治性癌の治療に有効であることが期待される.
  • 井上 智彰, 八杉 健司
    2011 年 26 巻 6 号 p. 622-627
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    バイオ医薬品では,薬理作用に種特異性が高い場合が多く,安全性評価には薬理作用が認められる動物種を用いることが望まれる.毒性の特徴として,医薬品自体に対する免疫反応の誘導,抗体医薬の一部に認められるサイトカイン放出などがあり,ヒト細胞を用いたin vitro評価法などが検討されている.DDSによるバイオ医薬品の毒性への影響の例として,PEG化による免疫原性の改善,PEG化リポソームにおけるABC現象,徐放性製剤における皮膚刺激性について解説する.
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