Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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27 巻, 5 号
11月
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集 “トランスポーターを利用したドラッグデリバリー” 編集:楠原洋之
  • 金井 好克
    2012 年 27 巻 5 号 p. 342-349
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    腫瘍細胞に高発現するアミノ酸トランスポーターのうち、LAT1 (SLC7A5)は、腫瘍選択的な発現と広い基質選択性を示し、癌への薬物送達の標的トランスポーターとして好ましい性質を有している。LAT1は、抗腫瘍薬メルファランやホウ素中性子捕捉療法に用いるL-p-ボロノフェニルアラニンの腫瘍細胞への送達に与える他、PET等のイメージングプローブの送達を担う。アミノ酸PETプローブは、多くが腫瘍細胞のLAT1を標的とするが、そのなかでもFAMTのみがLAT1選択的であり、癌選択的な集積において優れている。アミノ酸ベースのプロドラッグ化も含め、LAT1への選択性と輸送活性を指標に、癌選択的な薬物デザインが可能である。
  • 中西 猛夫, 玉井 郁巳
    2012 年 27 巻 5 号 p. 350-360
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    消化管吸収性は薬物の体内動態の重要な決定因子の1つであるが、薬理活性を損なわず化合物に良好な吸収性を付与することは容易でない。これまでのトランスポーター研究により、トランスポーターは薬物の吸収促進や組織移行に選択性を与える因子であり、医薬品の体内動態調節におけるトランスポーターの利用が期待できる。本総説では、 消化管吸収に関わるトランスポーターとその基質薬物について最近の知見を紹介する。特に、トランスポーターを利用して生体膜透過性に乏しい薬物の吸収に改善が試みられた具体例として、特にH+/オリゴペプチドトランスポーターPEPT1を取り上げ、その基質認識性とPEPT1標的化のための薬物設計アプローチについて詳細に解説する。
  • 久保 義行, 赤沼 伸乙, 細谷 健一
    2012 年 27 巻 5 号 p. 361-369
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    血液網膜関門(blood-retinal barrier; BRB)は循環血液と網膜組織の間に存在するバリア機構であり、網膜内恒常性の維持に重要な役割を有している。網膜は視覚に関与する重要な神経組織であり、その疾患や失調は患者のQOLを著しく低下させる。網膜疾患薬物治療の向上に向けて、より有効な薬物送達法の開発が急務であり、その有力策として、BRBを介した網膜への薬物送達が提唱されている。本稿では、vitamin Cおよびverapamilなどに関して得られた知見を例として取り上げ、BRBを介した栄養物や薬物の供給機構や輸送機構について紹介する。
  • 楠原 洋之
    2012 年 27 巻 5 号 p. 370-380
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    血液脳関門は静的な障壁として中枢神経系を循環血から隔てている。そのため、中枢薬の開発においては、血中滞留性を最適化するだけではなく、血液脳関門透過性も最適化する必要がある。血液脳関門には、種々トランスポーターが発現し、中枢神経系と循環血間の物質交換を促進している。これらトランスポーターは医薬品の中枢移行性を改善するための標的分子となり得る。P-gpやBcrpなど、能動的に薬物を排出するトランスポーターも発現しており、こうしたトランスポーターを回避することでも、医薬品の中枢移行性を改善することができる。本稿では、血液脳関門に発現するトランスポーター群について、これまでの知見を紹介する。
  • 米澤 淳
    2012 年 27 巻 5 号 p. 381-388
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    プラチナ系抗がん剤は現在も幅広く臨床使用されている。これらの毒性発現機構は酷似しているにも関わらず、腎毒性をはじめとして異なった特徴を呈する。トランスポータはその基質認識特異性、発現分布、機能特性によって、組織への薬物の輸送を司る。近年の研究により、有機カチオントランスポータOCTとmultidrug and toxin extrusion MATEがプラチナ系抗がん剤のドラッグデリバリーに重要な役割を果たすことが明らかにされてきた。本稿では、トランスポータを介したプラチナ系抗がん剤のデリバリーに焦点を当てて解説する。
  • 加藤 くみ子
    2012 年 27 巻 5 号 p. 389-398
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    DDS製剤の開発における医薬品添加物の役割はますます脚光を浴びており、医薬品添加物の適切な選択・評価が重要となる。本稿では、まず医薬品添加物とその評価について概説、及び考察する。次に放出技術や標的化技術を目的とした薬物キャリアとしての医薬品添加物に着目し、その細胞内動態とキャリア成分の細胞外への排出におけるトランスポーターの関与について筆者らの最近の研究について紹介したい。
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