Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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28 巻, 1 号
1月
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集“細胞治療とDDS -細胞を制御する、細胞で制御する-”編集:高倉喜信
  • 門脇 則光, 北脇 年雄
    2013 年 28 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2013/04/30
    ジャーナル フリー
    近年の免疫学の発展と有望な腫瘍関連抗原の同定により、白血病に対する化学療法後の免疫療法によって、微小残存病変を駆逐する可能性が開かれつつある。白血病に対する免疫療法の手法として、ペプチドワクチン、GM-CSF遺伝子導入腫瘍細胞ワクチン、樹状細胞ワクチン、T細胞養子免疫療法が試みられている。これらにより、免疫反応の誘導と一定の臨床効果が示されているが、親和性の高いT細胞療法では重篤な副作用も報告されていることから、免疫療法においても有効性と安全性のバランスに留意する状況になりつつある。抗腫瘍ワクチンは、免疫抑制因子を除去する手段と併用することにより、白血病に対する重要な治療手段になってゆくであろう。
  • 樋口 ゆり子
    2013 年 28 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2013/04/30
    ジャーナル フリー
    細胞治療において、生体内における細胞の体内動態、接着や分化などの挙動は、治療効果を左右する重要な要素であり、これらの評価において in vivo イメージングは極めて有効な方法である。細胞の挙動を追跡する目的で使用されるイメージングには、核磁気共鳴画像法(MRI)、核医学イメージング法(PET, SPECT)、光イメージング法などがあり、それぞれに固有の特長を有するため、目的に合わせて選択する必要がある。本稿では、細胞の挙動の可視化を目的とした光を利用した in vivo イメージングに焦点を絞り、我々の研究室の最近の知見も併せてご紹介する。
  • 山岡 哲二
    2013 年 28 巻 1 号 p. 24-34
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2013/04/30
    ジャーナル フリー
    幹細胞移植療法の臨床研究が精力的に進められている。しかしながら、その治癒メカニズムは未解明であり、幹細胞の移植後の運命に関する情報も不足している。小動物から大動物、さらには臨床の場でも広く普及しているMRIを用いた移植細胞のトラッキングシステムが極めて有効と考えられる。移植幹細胞が死滅した際には、速やかに拡散して血流を介して腎排泄される水溶性高分子化MRI造影剤を開発することで、移植細胞の体内分布のみならず、細胞生着率や体内生存率をも評価できる新たなシステムを開発した。下肢虚血ラットに対する血管内皮前駆細胞移植ラットを例に、その有効性を解説する。
  • 中川 岳志, 岡田 直貴, 中川 晋作
    2013 年 28 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2013/04/30
    ジャーナル フリー
    養子免疫療法は、癌患者より採取したCD8+ T細胞から腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞 (CTL) を分化誘導し、再び患者へと移入することで癌の退縮および転移・再発抑制を図る自己細胞療法である。しかし、癌患者は免疫抑制状態に陥っているため、治療に十分な数の腫瘍特異的CTLを誘導することが困難である。この打開策として、キメラ抗原受容体 (CAR) を発現させたCTLを創製する手法の開発が進められている。CARは、標的分子に特異的に結合する細胞外ドメインとCTL機能を修飾する細胞内シグナル伝達ドメインとを融合した人工蛋白質であり、CTLに標的分子特異的な細胞傷害活性を付与できる。本稿では、CAR研究の動向ならびに筆者らの腫瘍血管特異的CAR発現CTLを用いた次世代養子免疫療法について概説する。
  • 草森 浩輔, 西川 元也, 高橋 有己, 高倉 喜信
    2013 年 28 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2013/04/30
    ジャーナル フリー
    細胞の分化・培養に関する近年の目覚ましい技術革新により、細胞を「クスリ」として体外から投与することによる疾患治療への期待が高まっている。生体内で細胞は、周りの細胞や細胞外基質と密接な相互作用を介して生命活動を担っていることから、細胞を三次元培養することで得られる細胞塊(細胞スフェロイド)は、細胞の機能を最大限に引き出すことのできる投与形態として注目されている。 本稿では、これまでに報告された細胞スフェロイド作製方法の特徴を整理・比較するとともに、最近の我々の取り組みについて紹介したい。
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