マイクロフルイディクスとは、微小な流路や機能素子を有し、スケール効果を活用して化学反応や分析の高速化・高効率化を実現することのできるツール、あるいは技術の総称である。近年、マイクロフルイディクスを基盤技術とするMicrophysiological system(MPS)が、非臨床試験における新薬候補物質の薬効毒性評価の高精度化を実現する新規の創薬研究プラットフォームとして注目されている。これまでに肺や肝臓、小腸、腎臓などの主要な臓器の
in vitroモデルとしてMPSが提案され、生理的環境を模倣することで従来の培養系ではなし得なかった細胞機能の発現や維持を実現している。本稿ではマイクロフルイディクスの基本的概念を中心に、これまでに研究開発が進められているMPSについて概説する。
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