軸受鋼の球状化焼なましにおいて,その所要時間を短縮し,しかも良好な球状化組織を得る目的で温間加工に着目した。すなわち,素材をあらかじめ温間加工後,焼なましを行うことによってその目的を達しようとするもので,実験室的規模の実験ではほぼ満足すべき結果を得られた。そこで,この方法を「急速球状化焼なまし法」と称した。急速球状化焼なまし法は単に焼なまし所要時間が短縮できるだけでなく,この方法で焼なましした材料は組織的にも,また種々の機械的性質においても,現工程で焼なましした材料よりも優れていることが判明した。
抄録全体を表示