ローピングと集合組織の関係およびそのホットコイル組織との関係を明らかにするため低炭素17% Crステンレス鋼を溶製し,その発生機構を調査した。
ホットコイルの板厚方向に板面に平行な(100), (110)面反射強度をあらかじめ確認しておき,引張試片を切り出してローピングを観察した結果,凸部を形成しているのは(100)方位,凹部を形成しているのは(110)近くの方位を有する領域である。板厚方向にも同様な観察を行なったがこのような(100), (110)方位の変形挙動の差によるシワの発生は,単位伸び当りの巾方向の絞り率の差に起因するものでありε
w/ε
l=1/(1+ε
t/ε
w)=r/1+rの異なる領域が板厚方向に層状にならんでいると引張り方向を軸とする曲げモーメントが働らきシワが発生するものと考えられる。また通常のC量の場合のローピング方位はCube-on-face型の方位とマルテンサイトの分解,再結晶に由来するCube-on-corner型の方位であると考えられる。
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