Dental Medicine Research
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30 巻 , 2 号
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原著
  • 小林 弘茂, 瀬川 和之, 中村 雅典
    2010 年 30 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    顎関節内側および外側の膜性壁における構成線維の分布や配列を, 主に走査電子顕微鏡を用いて立体的に観察し, 内外側壁の構造の相違や力学的特徴について検討した. 60歳から90歳までの解剖実習用遺体の顎関節内側および外側線維膜で破壊性変化が認められないものを材料とし, 光学顕微鏡でコラーゲン線維束と弾性線維の分布を観察するために弾性線維染色, 走査電子顕微鏡でコラーゲン線維の立体構築を観察するために, KOH-Triton-trypsin処理, 弾性線維の立体構築を観察するためにKOH-コラゲナーゼ処理を各々行った. 関節円板内外側縁から延長し, 上下方向へ走向する結合組織膜を肉眼的に剖出できた. 関節円板と線維膜の境界部では, 太く網状を呈する弾性線維が密集していた. 線維膜は円板側縁付近では, 多くの血管と脂肪組織, コラーゲン線維束群や弾性線維の集塊で形成されていたが, 線維束は内側より外側においてより密に配列していた. 脂肪組織間に介在するコラーゲン線維は不規則に配列した束状あるいは線維網の構造を示した. これらの構造から, 円板挙動の初期に応力の集中しやすい円板境界部付近には緩衝構造が用意されていることが示唆された. 関節円板から離れるとともに線維束は増加し, 遠位では, 血管や脂肪組織はほとんど見られず, 上下, 内外側方向に斜走する, あるいは前後方向に配列するコラーゲン線維束が主体となっていた. 板状を呈する線維束は一定の空隙を介する層構造を形成していた. 板状線維束を形成するコラーゲン線維の多くは同一平面上で交錯していた. 板状線維束のほかに, 蛇行あるいは螺旋状に捻転している線維束も混在していた. 関節円板から遠位の線維膜では蛇行する線維束が増加していた. 蛇行あるいは捻転した線維束と線維束間の弾性線維の存在は, 円板移動時の線維膜の伸展と関与すると考えられる.
  • 坂井 信裕, 鈴木 恵子, 諸橋 富夫, 山田 庄司
    2010 年 30 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    骨組織が生理的機能を維持するには, 様々な機械的刺激 (メカニカルストレス) が重要である. また細胞内Ca2+シグナルは細胞機能に必須のシグナル経路である. 本実験では, 3次元的な機械的刺激を負荷した骨芽細胞様細胞において, イオントランスポーターである1型Na+/Ca2+交換体 (NCX1) の発現と, メカノセンシティブに応答しCa2+を流入する伸展活性化 (SA) チャネルの細胞形態変化への関与について検討した. 骨芽細胞様細胞株 (MC3T3-E1 cell) を, ナイロンメッシュで支持したコラーゲンゲル中に播種し (6×105 cells/ml) , 10%FBS含有αMEM培地にて24時間の前培養を行った.その後, 機械的刺激を3日間負荷した. 伸展変形は10%, 断続的な伸展周期は1 Hz, 15分間, 1日3回とした. NCX1 mRNAの発現はRT-PCR法で解析した. 細胞形態は共焦点レーザー顕微鏡により観察した. また, SAチャネルの阻害薬であるガドリニウム (Gd3+) 10 μMを培養液中に添加し機械的刺激によるSAチャネル活性化への影響を調べた. NCX1のmRNA 発現は非伸展群と比較して伸展群において増加していた. 伸展群の細胞は紡錘形を呈し, 伸展方向に対し一定方向 (直角) に配列していた. また, F-アクチン繊維のローダミンファロイジン染色像は非常に強い蛍光強度を示していた. これらの細胞形態および細胞骨格の変化はGd3+添加により抑制された. 本実験の結果から, 骨芽細胞では機械的刺激によりNCX1を介するCa2+の流出入機構が活性化されること, さらにSAチャネル活性化によりF-アクチンの構造変化を引き起こし, 細胞形態を変化させることが示唆された.
  • 関根 陽平, 大塚 裕忠, 栁澤 伸彰, 坂上 淳一, 野中 直子, 中村 雅典
    2010 年 30 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    リンパ節は支配領域からリンパ液が流入し, その過程で異物が侵入した場合には, 抗原認識と抗体産生という一連の生体防御機構を営むことが良く知られているが, 支配領域は個々のリンパ節に比較して広範囲にわたる. したがって, 支配領域から流入するリンパがリンパ節全体に流入するのか, あるいはその流入部位に局在性があり, 各リンパ小節が領域ごとに抗体産生を行うのかについては明らかではない. 本研究では, ラットを用い, 口腔内領域の基本的な所属リンパ節である顎下リンパ節におけるリンパ液の回収経路を解析し, リンパ小節が領域ごとに区画化されているか否かについて検討を行う目的で, 下顎臼歯歯肉および舌体部からのリンパの顎下リンパ節への流入についてトレーサーを用いて解析を行った. 2種類の墨 (黒, 赤) それぞれを歯肉と舌体部へ各0.02 ml投与ではリンパ節の異なる部位にそれぞれが局在する所見が得られた. 2種類の異なる蛍光色素結合免疫グロブリンの舌と歯肉への同時投与では, それぞれの蛍光色素が異なるリンパ小節内に進入している所見が観察された. 以上の結果から, リンパ節内に存在するリンパ小節には異なる支配領域からのリンパが流入し, 部位特異的な免疫応答に関与している可能性が示唆された.
  • Shoichi HIGASHI, Mitsuori MAYAHARA, Tetsuo KODAKA, Kaoru EGAWA, Masano ...
    2010 年 30 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    The cervical defect (CD), the so-called wedge-shaped defect in Japan, or the non-carious cervical tooth lesion of human permanent teeth may be eroded by cross tooth-brushing with and without occlusal stress, or by attachment of dental clasp for a long time. Such a CD occasionally causes dentin hypersensitivity although the reparative dentin (RD) is deposited towards the dental pulp cavity. However, the correlation of a CD and the RD in volume has not been elucidated yet except for the difference of their areas on the ground sections reported previously. In this study, we analyzed the area and volume correlations of a CD and the RD in each teeth (n=10) by micro CT analysis. The area ratio (RD/CD) was 72.4±28.6 % (r=0.856, p<0.01) on the longitudinal cut plane showing the maximum areas of a CD and the RD, which were similar to those of the ground section assumed longitudinal central line of a tooth. On the other hand, the volume ratio (RD/CD) was 18.0±8.2 % (r=0.792, p<0.01). Therefore, it is clearly illustrated by micro CT analysis that the volume ratio (RD/CD) should be extremely lower than the area ratio in the longitudinal X-ray slices and also the ground sections previously reported. As the clinical consideration, the RD formation will be alleviated dentin hypersensitivity. On the basic observations, it was accuracy illustrated that micro CT analysis was useful for the volume measurement of the RD as well as the CD.
症例報告
  • 下平 修, 代田 達夫, 佐藤 裕二
    2010 年 30 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    患者は初診時46歳の男性で, 上顎前歯部扁平上皮癌であった. 腫瘍切除手術後, 残存歯を支台装置とした上顎顎補綴装置を使用していたが, 歯の喪失に伴い補綴物の不安定を訴えた. この問題を解決するために頬骨インプラントによるインプラント支持補綴物を計画した. 審美性, 構音機能を損なわないような形態を上部構造体に付与することが重要であるため, インプラント体の位置関係や口腔周囲組織のみならず, 失われた口蓋形態と中顔面部のサポートの再建程度や顎間関係も同時に記録する必要がある. そこで目安となりうる使用中の上顎顎補綴装置の複製を印象採得と咬合採得に利用した. 結果として, 構音機能, 咀嚼機能などの予知性が高い補綴物を効率的に製作できた.
  • 大嶋 貴子, 遠井 由布子, 中納 治久, 倉林 仁美, 槇 宏太郎, 秋月 文子, 角谷 徳芳
    2010 年 30 巻 2 号 p. 142-150
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂患者の咬合管理は成長期より長期間に渡ることが多い. その理由は口唇・口蓋形成手術などの顎発育が抑制される要因が多数あるため, 顎発育誘導を行う必要があるからである. 我々は幼児から成人まで長期間の顎発育, 咬合誘導と外科的矯正治療を行った. 最終的に良好な結果を得たが, 顎顔面の成長発育と治療の効果について若干の考察を加えて報告する. 症例は両側性唇顎口蓋裂 (左側: 不完全) の女性. 4歳から咬合管理を開始した. 思春期性成長終了後, 通院が困難なため, 他院にて上顎右側側切歯と下顎両側小臼歯の抜去による治療を行った. しかし, 保定管理中に後戻りによる反対咬合と開咬を呈した. そこで, 上顎骨劣成長による骨格性下顎前突症と診断し, 上下顎骨切り術による外科的矯正治療を行った. なお, 右側顎裂部は犬歯を配列し, 短縮歯列として非補綴的に咬合を確立し, 良好な結果が得られた. 治療効果を判定するため, 顎顔面の成長発育を縦断的に評価を行ったところ, 上顎骨は下方成分を主とした成長発育を示しており, 前方成長はほとんど認められなかった. 本症例は幼児から咬合管理を行っていたが, 上顎前方成長誘導を行っていない. 成長期に前歯部正常被蓋である唇顎口蓋裂患者は上顎骨の成長が認められると報告されていることから, 初診時から前歯部被蓋を改善する重要性が示唆された.
  • 渋澤 亜子, 渋澤 龍之, 槇 宏太郎
    2010 年 30 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    患者は初診時15歳2か月の女児, 前歯の歯並びを主訴に来院した.下顎両側中切歯の先天性欠如, 第二大臼歯部の頬舌的すれ違い咬合, 上顎歯列の叢生, および上顎前歯の唇側傾斜を伴うAngleⅢ級症例である. 治療としては, 上顎両側第一小臼歯の抜去, 下顎では, 側切歯を中切歯, 犬歯を側切歯, 第一小臼歯を犬歯とみなし排列を行った. 下顎歯列において, 側切歯のかわりに犬歯, 犬歯のかわりに小臼歯を用いる場合, 歯冠幅径ならびに頬舌的な厚みの違いにより, 前歯部の被蓋関係, 前方・側方運動時の誘導, および臼歯部咬頭嵌合の構築において苦慮することが予想される. 多くの場合, 歯冠の形態修正を必要とするが, 本症例では, 調和のとれた上下顎前歯部歯冠幅径であったため, 歯の移動のみで咬頭干渉を回避し, 下顎の前方ならびに側方運動時における誘導も良好な機能的咬合が得られた.
  • 野上 以織, 豊島 貴彦, 栗原 祐史, 佐藤 華, 代田 達夫, 新谷 悟
    2010 年 30 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    無痛性に増大した50 mmを超えた舌下型類皮嚢胞を経験したので報告する. 症例は29歳女性で, 近歯科にて口底部の腫脹を指摘され, 平成21年6月, 紹介により当科を受診した. 初診時, 口底部に無痛性, 弾性軟の膨隆を認め, 二重舌を呈していた. 咬頭嵌合位をとることは可能で, 舌の運動, 構音, 摂食嚥下などの明らかな機能障害は認めなかったが, 就寝時に呼吸苦を自覚していた. MRI所見ではT2強調画像において辺縁部分に強い高信号, 内部に不均一な低信号を示す50×30×30 mm大の類円形, 境界明瞭な嚢胞性病変を認めた. 平成21年9月, 全身麻酔下で口内法による嚢胞摘出術を施行した. 術後, 口底部の腫脹による気道狭窄が懸念されたため, 挿管および鎮静を18時間継続して経過観察を行った. 嚢胞は病理組織学的に類皮嚢胞と診断された.
  • Tetsutaro YAMAGUCHI, Yoko TOMOYASU, Tatsuo SHIROTA, Masashi HATORI, Sa ...
    2010 年 30 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    We report here a case of skeletal Class III malocclusion with mandibular prognathism treated with a combination of orthodontic and orthognathic surgery. A 28-year-old woman presented with a cross bite and the inability to incise food; she had no history of trauma or serious illness. She was diagnosed with a skeletal Class III malocclusion and crowded teeth. The left mandibular first molar showing an inappropriate root canal treatment was extracted and the left mandibular third molar was implanted into the first molar extraction space. She was treated with conventional fixed edgewise appliance therapy combined with orthognathic surgery (sagittal split ramus osteotomy). The mandibular prognathism was eliminated. The transplanted tooth remains stable more than 5 years after the procedure.
  • 山本 舞, 久保田 雅人, 槇 宏太郎
    2010 年 30 巻 2 号 p. 167-177
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    骨格性の要素が強い下顎前突症の矯正治療において, 外科手術を併用する方法がしばしば選択される. しかし, 現在外科手術を併用するか否かを判別する明確な基準はなく, また患者の外科手術に対する希望の有無により, 治療法を決定しなくてはならない. そこで今回は骨格形態的所見, 歯列・顎堤の特徴的所見, 顔貌所見の類似する2症例において, 一方は矯正治療単独で, もう一方は外科矯正併用治療を選択した症例について比較検討を行った. 矯正治療単独症例は上下顎両側小臼歯を抜去し, マルチブラケット装置にて動的治療を行った. 外科矯正併用治療症例では術前矯正後, 下顎後退術を施行した. その後, 術後矯正と頤形成術を行い, 保定治療へ移行した. 治療の結果, 矯正治療単独症例では, 主に下顎前歯の舌側傾斜により被蓋は改善したが, 下顎正中矢状断面 (以下Symphysisと称す) に対し過度の舌側傾斜を与えたため下顎前歯唇側に歯肉退縮を認めた.外科矯正併用治療症例では, 初診時若干の歯肉退縮を全体的に認めたが, 矯正治療および外科手術により, 上下顎の前後的不調和が改善し, さらに上下顎前歯の歯軸傾斜を適正に近づけることができたため歯周組織の負担が軽減し, 歯肉退縮が改善した. これらの結果をふまえて, 過去の報告に, 上下顎の大きさや位置の不調和の補正を, Symphysisの形態が自らの厚みや形を変化させることで対応しているという報告よりSymphysisの形態的特徴と, 頭蓋に対する下顎前歯の傾斜の違いに着目し考察を行った. さらに, 両症例の審美的観点, 歯周組織的観点, 咬合機能的観点から加えて考察を行った.
臨床報告
  • 藤田 日登美, 羽鳥 仁志, 吉濱 泰斗, 代田 達夫, 新谷 悟
    2010 年 30 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    下顎骨関節突起骨折に対する治療として, 保存療法を選択するか観血的整復術を選択するかは議論の分かれるところであり, 一定の見解が得られていないのが現状である. 保存療法を選択した場合, 開口障害の改善までに長期間を要する症例や, 咬合の偏位が残存する症例も散見され, 口腔外からの観血的整復術では顔面神経損傷の危険性や術創残存という審美的な問題を無視できない. また, 観血的整復術を行う場合でも, 口腔内・口腔外アプローチどちらを選択するかといった基準や, 硬性内視鏡を使用するにあたっての適応症例については明確に分類されておらず, 術者の判断にまかされているのが現状である. 関節突起骨折3症例に対し, 硬性内視鏡を用いた口内法による観血的整復術を施行し, 良好な結果を得たので文献的考察を加えて報告する. 症例1: 60歳女性. 両側関節突起骨折 (右側: 基底部, 左側: 頸部). 症例2: 26歳男性. 右側関節突起骨折 (基底部). 症例3: 40歳女性. 左側関節突起骨折 (基底部). 3症例とも口腔内に切開を加え, 硬性内視鏡下に骨片の整復を行い, チタンミニプレートとスクリューを用いて固定した. なお, 症例1の左側関節突起骨片は脱臼偏位が大きく, 整復が困難であったため右側のみ整復固定を行った. いずれの症例においても, 整復した下顎頭の位置は良好で咬合状態も安定しており, 早期の開口訓練が可能であった. 術後1年で開口量は約40 mm, 咬合状態良好で顎関節症状も認められない.
クリニカル・テクノロジー
  • 五島 衣子
    2010 年 30 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2013/03/26
    ジャーナル フリー
    歯科口腔外科の全身麻酔は腫瘍摘出術, 顎変形症, 骨折, のう胞摘出術などの口腔外科手術症例, インプラント手術, 障がい者の全身麻酔下歯科治療などが対象に行われている. 歯科口腔外科手術の麻酔では手術野と気道が一致するため, 麻酔医は患者の気道から離れて管理をしなくてはならない. また手術前からの開口制限や顔面の変形, 先天的な原因や外傷による気管挿管, 気道管理が困難な症例がある. 気道の問題は周術期に脳障害や死亡の原因となる可能性があり, 重大な問題である. 挿管困難が予想される場合にはファイバースコープやトラキライト, 新しく開発された挿管補助道具などを使用している. また周術期のパルスオキシメトリー (動脈血酸素飽和度) や終末呼気炭酸ガス濃度測定 (カプノグラム) の使用は呼吸や循環系のモニターとして重要である.
    歯科口腔外科の気道確保の特徴と挿管困難症に対する最近の状況について述べる.
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