昭和歯学会雑誌
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11 巻 , 3 号
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  • 清水 照雄
    1991 年 11 巻 3 号 p. 283-295
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    破骨細胞による骨吸収の制御機構を明らかにするために, 骨吸収抑制ホルモンであるカルシトニンまたはF-アクチンフィラメントの特異的な伸展阻害薬であるサイトカラシンB, D (CB, CD) を生後4-5週間のSD系ラットに投与し, 経時的に上腕骨骨端板の破骨細胞の微細形態変化を電顕的に解析した.併せて, 破骨細胞からの加水分解酵素の分泌を細胞化学的に検出し, 血清Ca値の変動も分析した.対照群のラットには, これらの薬物を含まないPBSのみを投与した.CB, CD投与は, 投与後10分ならびに30分で破骨細胞の波状縁 (ruffled border) の退縮とこれに伴う一過性の明帯 (clear zone) 領域の拡大をもたらしたが, 投与後1時間では両構造とも約70%減少した.波状縁と明帯の退縮によって, 破骨細胞から吸収窩の骨表面への加水分解酵素 (酸ホスファターゼ) の分泌は強く抑制され, 同時に血清Ca値の低下が生じた.しかしゴルジ装置, RER, ミトコンドリア等の細胞内小器官の分布には, CB, CD投与によっても何ら変化が認められなかった.また, CB, CD投与に基づく破骨細胞の形態的, 機能的変化には可逆性があり, 投与後2時間以降ではほぼ正常な状態への回復が観察された.以上のCB, CD投与による破骨細胞の形態的, 機能的変化ならびに血清Ca値の動態は, カルシトニン投与によるものと同-であった.したがって破骨細胞の波状縁と明帯の構造は, F-アクチンフィラメントを主体とする細胞骨格によって制御されており, カルシトニンはこの細胞骨格を阻害することによって, 骨吸収を抑制することが明らかにされた.
  • 日吉 祥江
    1991 年 11 巻 3 号 p. 296-310
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    形成期エナメル芽細胞の細胞形態および細胞間結合は, アクチンフィラメントを主体とする線維性細胞骨格によって維持されている.著者はこの細胞骨格の生理的意義を明らかにするため, F-アクチンの伸展阻害剤であるサイトカラシンDをラットに投与し, エナメル芽細胞の微細形態ならびにCa2+-ATPase活性の局在変化を解析した.材料には生後4週のSD系ラットを用い, PBSに混合したサイトカラシンD (1mg/100g b.w.) を総頸静脈に投与した.投与後, 経時的に (10分から5時間) ラットをアルデヒド混合液で灌流固定し, 採取した下顎骨を脱灰後, 通法に従いエナメル器の超薄切片を作製した.併せて, 一段階クエン酸鉛法によるCa2+-ATPase活性の電顕的検出を試みた.サイトカラシンD投与の影響は投与後10分ですでにエナメル芽細胞のトームス突起に現れ, トームス突起遠位部の膜陥入の部分的消失と空胞形成が観察された.その後, 投与後1時間までにエナメル芽細胞には, 1) トームス突起の近・遠位部における膜陥入の減少とこれに伴う大小の空胞形成, 2) 細胞体基底面および側面におけるmicrovilliの減少と細胞間隙の拡大, 3) 細胞体の基底面, 側面およびトームス突起遠位部におけるCa2+-ATPase活性の低下, そして4) トームス突起基部の細胞間隙における基質様物質の出現などが観察された.しかしトームス突起そのものの消失は起きず, 各種の細胞内小器官の配列ならびに分泌穎粒の形成と分布にも特記すべき変化は認められなかった.なお細胞間結合装置の構造そのものには変化を認めなかったが, 結合装置に連続する微細線維束は著しく減少していた.エナメル芽細胞におけると同様, 隣接する中間層細胞でもmicrovilliの減少が経時的に尤進し, 形質膜におけるCa2+-ATPase活性の低下が観察された.サイトカラシンDは, 特異的にF-アクチンの形成端における重合, 伸展を阻害することが知られている.従って, 上記のエナメル芽細胞および中間層細胞に観察された微細形態とCa2+-ATPase活性の変化は, F-アクチンを主体とするミクロフィラメント系の細胞骨格が, 細胞表層の形態維持と形質膜のリサイクリングを調節していることを強く示唆している.
  • 松田 恵里子
    1991 年 11 巻 3 号 p. 311-321
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ヒト乳歯の生理的な歯根吸収過程における破歯細胞の生物学的特性を検索するため, 乳歯の歯根吸収面に分布する破歯細胞を, 酵素細胞化学的ならびに125I-カルシトニンの光顕オートラジオグラフィーによって分析した.クエン酸鉛法によって破歯細胞における各種ATPase活性の検出を試みたところ, H+-K+-ATPaseならびにNa+-K+-ATPase活性が波状縁の形質膜に沿った細胞質とライソゾームの限界膜に沿って検出されたのに対し, Ca2+-ATPase活性は破歯細胞には検出されなかった.破骨細胞のマーカー酵素である酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ (TRAP) 活性ならびに酸化還元酵素である内因性peroxidase活性のジアミノベンチジン塩酸法による酵素活性は, ともに破歯細胞には認められなかった.また破歯細胞におけるホルモン受容体の有無を知るため, 125I一カルシトニンを用いて光顕オートラジオグラムを作製し, 出現したグレイン数を定量化したが, 破歯細胞には125I-カルシトニンの特異的結合は認められなかった.したがって破歯細胞は, 一部の酵素細胞学的特性やカルシトニン受容体の有無の点から, 骨吸収における破骨細胞ならびに成熟マクロファージとは異なった表現形質を備えている可能性が示唆された.また破歯細胞におけるH+-K+-ATPaseならびにNa+-K+-ATPase活性の存在は, それぞれ吸収窩における歯牙硬組織の吸収とその無機成分の細胞内消化に関するものと考えられる.
  • Takashi MIYAZAKI, Matsuo NAKASONE, Hiroaki OGAWA, Ei SUZUKI
    1991 年 11 巻 3 号 p. 322-326
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Blade type titanium implants were experimentally fabricated by the wire type electric discharge machine and were followed by the chemical polishing using HF/HNO3 solution, the chemical oxidation using HNO3 solution, the anodic oxidation using H3PO4/H2O2 solution, and the barrel polishing using alumina base polishing chips. The surface of the samples were analyzed by the Auger electron spectroscopy. Auger spectra from each sample were measured and depth profiles were obtained by measuring the peak heights and plotting them as a function of sputtering time. The peaks of oxygen, titanium, and carbon were found in Auger spectra from all samples. Considering the ratio of 0/Ti peak height, the surface of samples treated by chemical oxidation, anodic oxidation and barrel polishing was considered to be covered by the titanium oxide. The results of the depth profiles appeared that the thickness of the surface oxide of the sample treated by anodic oxidation was significantly thicker than that of the samples treated by other treatments. Therefore the thickness of oxide films on titanium implants was found to be determined by the different finishing procedures of implants.
  • Takashi MIYAZAKI, Matsuo NAKASONE, Hiroaki OGAWA, Ei SUZUKI
    1991 年 11 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    The specimens from the pure titanium plate were treated for the mechanical polishing using the emery paper, the chemical polishing using the HF/HNO3 polishing bath, and the electropolishing using the mixture of ethanol, n-butanol, ZnCl2, A1Cl3 as an electrolyte. XPS analysis on the polished surdace and subsequently sputtered surface was performed.
    The peaks of O, Ti, C were found in all specimens. The ratio of O/Ti calculated from the atomic concentration of the specimens after sputtering was about 2.0 in all specimens. Therefore the oxide film (TiO2) wa considered to be formed on the surface of specimens treated by every polishing procedures. Besides the evident peaks of 0, Ti, and C, featured peaks were observed such as Si in the mechanically polished surface, F in the chemically polished surface, and Zn and Cl in the electropolished surface. Therefore these elements were considered to react titanium and were incorporated into oxide film.
  • 斎藤 雅子, 倉地 洋一, 坂巻 秀明, 金本 恵子, 南雲 正男, 立川 哲彦
    1991 年 11 巻 3 号 p. 334-344
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 1977年6月開院より1989年12月までの12年6か月間に, 当科で経験した唾液腺腫瘍45例について臨床統計的検討を行った.なお, 組織型分類は1972年のWHO分類に従い, 粘表皮腫と腺房細胞腫は潜在的に悪性の性格を有するといわれており, 悪性腫瘍に含めた.1) 45例中29例が良性腫瘍で, そのなかでは多形性腺腫が26例 (89.7%) と最も多く, 腺リンパ腫, 乳頭状嚢腺腫, 腺腫がそれぞれ1例ずつあった.悪性腫瘍は16例で, 9例が粘表皮腫, 4例が腺様嚢胞癌, 2例が未分化癌, 1例が腺房細胞腫であった.2) 男女比は全体で, 1 : 1.65, 良性腫瘍で1 : 1.64, 悪性腫瘍で1 : 1.67と女性に多くみられた.平均年齢は良性腫瘍で45.0歳, 悪性腫瘍では51.1歳であった.3) 発生部位は大唾液腺が14例, 小唾液腺が30例, 下顎骨1例であり, 口蓋に発生したものが17例と最も多かった.4) 治療は良性腫瘍では切除が14例, 摘出が11例, 4例が未治療であった.そのうち20例が追跡調査可能で, 全例に再発は認められなかった.悪性腫瘍では14例に手術を施行し, 8例に化学療法, 2例に化学療法と放射線治療を, 1例に放射線治療を併用した.そのほか化学療法単独1例, 未治療1例であった.1990年12月現在の予後はAo10例, Ac1例, Dc3例, Doが1例であった
  • 篠原 親, 槇 宏太郎, 柴崎 好伸, 福原 達郎
    1991 年 11 巻 3 号 p. 345-352
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    矯正力による歯の移動に伴った歯周組織の反応, ならびに動的治療終了後の保定期における歯周組織の改善応答を, 臨床において定量的に把握するために, 歯の動揺度の変化に着目し, 基礎的実験および臨床試験を行った.測定方法は, 粘弾性体の動的測定法として用いられているimpulse加振法による共振振動数の測定とし, 測定精度の検定, 人工歯植立模型によるsimulation実験, および臨床試験を行った.その結果, 共振振動数の検出には高い再現性が認められた.またsimulation実験においては, 正常歯を想定した人工歯植立模型に比べて歯根吸収模型, 歯槽骨吸収模型, 歯根膜腔拡大模型の共振振動数は低下することが判明した.さらに臨床試験においては, 非治療群に比べて矯正治療群における共振振動数の低下が認められた.以上のことから, 共振振動数は歯周組織の変化を反映しており, 矯正治療による歯周組織の変化を定量的に計測できる可能性が示唆された.
  • 五十嵐 順正, 河田 守弘, 金 鮮妃, 芝 〓彦
    1991 年 11 巻 3 号 p. 353-361
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    咬頭嵌合位における下顎位は, 下顎「支持域」と呼ぼれる小, 大臼歯の咬合接触によって構成されている.これらの接触が失われた遊離端欠損症例においては義歯の製作時, 上下顎の咬合記録を行うため咬合採得処置が実施されている.以下の実験的研究においてはこの咬合採得処置において咬合床の条件, 咬合力の条件を種々変化させた際に下顎位がどのように変化するかを下顎穎頭位の変化として記録した.その結果, 咬合床は可及的に残存歯と連結させること, 咬合力は軽度でタッピング程度とし咬合記録を採得することが穎頭位の変化に及ぼす影響が最も小さいことが明らかとされた
  • Anna Marie, A. ARRASTIA, Takashi MACHIDA, Koukichi MATSUMOTO
    1991 年 11 巻 3 号 p. 362-366
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    A thermometric study was conducted on two experimental (Trial device and Panals 1000; National/Panasonic) and two commercially available (Semilaser Nanox LX-801; G.C. Co. and Trinpl D; Yoshida) semiconductor lasers. This study was carried out in order to verify whether or not these laser types produce any substantial amount of heating during its application on tooth structure. Temperature measurements were done in vitro, using a thermal camera (Thermovision 870; AGEMA) and a thermocouple sensor (Hi-temperature tester). Maximum temperature elevations were recorded during a 60,120, and 180 second laser exposure. Results showed that factors such as exposure time, power level and operation mode of the laser device, influenced the thermal effects during irradiation. Although the semiconductor laser devices evaluated demonstrated thermal effects, the intrapulpal temperature elevation was not sufficient to cause pulp al damage in vivo.
  • 藤原 理彦, 村上 正治, 佐々 竜二
    1991 年 11 巻 3 号 p. 367-374
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本学小児歯科来院患者の実態調査は, さまざまな角度から, すでに3報まで報告してきた.今回, 近年の新患来院患者について, 主訴, 来院の動機, 月別, 曜日別の来院状況などから, 本学の最近の小児歯科の動向について調査検討した。対象は, 平成元年 (1月-12月) の1年間の新患来院患者839名である.1) 来院患者の内訳としては, 健常児631名, 心身に何らかの障害を持った者80名, 唇顎口蓋裂児128名である.2) 来院患者の平均年齢は, 健常児5歳7か月, 障害児6歳9か月, 唇顎口蓋裂児2歳5か月である.3) 主訴については, 編蝕治療を希望する者が圧倒的に多く, 歯列不正, 検診と続いていた.4) 月別の来院数を比較すると, 3月に最も多く, 次いで7月, 12月と続いていた.5) 曜日別の来院数では, 月曜日に最も多く集中していた.健常児のみを対象とすると, 木曜日が最も多かった.6) 主訴別に各曜日に特徴があるか調べたところ, 鶴蝕治療に関しては, 曜日別の来院数とほぼ同様な傾向を示し, 歯肉腫脹では週の後半, 歯列不正では週の前半に多い傾向があり, 外傷に関しては月曜日の来院が最も多く, 火曜日以降週末にかけて徐々に増加していた.
  • 吉村 節
    1991 年 11 巻 3 号 p. 375-377
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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