昭和歯学会雑誌
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13 巻, 4 号
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  • 成長予測モデルの適用可能性について
    金 乗燦, 大塚 純正, 福原 達郎, 大隅 昇
    1993 年 13 巻 4 号 p. 339-364
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    咬合の形成過程において, 顎顔面頭蓋の成長変化は極めて重要な役割を果たしている.骨格系の不調和に起因する咬合異常の矯正治療の成否の鍵は, いかに顎顔面頭蓋の成長変化を捉え, それらを的確に予測するかにあるといっても過言ではない.従来, 成長発育の事象を観察する方法として, 年齢を基盤とした絶対成長による平均成長の評価が用いられてきたが, 微妙でかつ個性的な個成長の変化を把握するには, 天文学的年齢よりも相対成長研究の立場にたつ生物学的年齢によるものの方が有用だとされている.そこで, 本研究では相対成長研究の手法により個人の身長や手根骨などの身体のある部分によって, 顎顔面頭蓋の成長発育の評価が行えるものか否か, さらにはこれらを用いた成長予測の可能性について統計学的見地より検討した.資料は6歳から18歳までの, 正常咬合を有する韓国人男子447名, 女子339名についての横断的資料で, これらについての側貌頭部X線規格写真と, 同時期に得られた手腕骨X線写真ならびに身長の測定記録を用いた.頭部X線規格写真からは顎顔面頭蓋に関する12項目の計測を, また手腕骨X線写真からは骨の成熟度の評価 (SMI) を行い, 暦齢と骨成熟度との関連ならびに骨の成熟度を基盤にした身長や顎顔面頭蓋の成長様相を検討した.その結果, 以下の知見を得た.1.年齢よりみた男女のSMIは, 増齢につれて高くなり, その傾向は平均で男子の10歳, 女子の8歳頃より急激に高くなった.また, 女子は男子に比較して2.2歳程度先行し, 両者の差はSMI4, 5の時期において最も大きかった.2. SMIの区分による身長ならびに顎顔面頭蓋の成長変化は, 性別のほか顎顔面を構成する部位によって多様性を示した.3. SMIの対応分析による数量化を行うと, 男女においてこれらと下顎骨長とに高い相関が見られた.さらに, これらの関連は全般的な年齢区分の基では変動幅が大きいが, 年齢の数量化得点による新しい年齢区分では高い相関があり, 限定した時期での成長予測の可能性が示唆された.
  • 御郷 信也
    1993 年 13 巻 4 号 p. 365-374
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 歯科領域において中高年者の意識や行動に関する研究の必要性が認識されつつあるが, その背景となるわが国の社会構造の特殊性を分析し, 歯科との関連を報告した実証的研究はほとんど行われていない.本研究は, 補綴科に来院した中高年患者を対象にして口腔内診査および面接調査を行い, 社会的因子としての教育水準 (学歴) ・婚姻状況 (配偶者の有無) の歯科における行動や意識に及ぼす影響を検討したものである.学歴についてはわが国の社会階層の特殊性との関連で, また配偶者については, 支援のネットワークの核として把握した上で歯科との関連を論じたものである.調査の結果, 教育水準が高いほど対象者の口腔内状態は良好であり, 歯科に対する意識も高かった.また配偶者のいない者は義歯の非装着率が高かった.教育水準や婚姻状況は口腔内状態, 歯科に関する意識や行動に強い影響を与えており, 歯科における社会学的分析の有用性が示唆された.
  • Tetsuo KODAKA, Yuki OHARA
    1993 年 13 巻 4 号 p. 375-379
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Hexagonal disk-shaped crystals were found in caries-arrested enamel as well as in early and old dental calculi with scanning electron microscopy. The crystals which were constructed with wafer-like laminations linked together, formed rosette-like structures, or aggregated with each other. The main components were calcium phosphate with a small amount of Mg under energy-dispersive X-ray microanalysis. The crystals were frequently coexistent with Mg-containing whitlockite (WH) while no WH crystals were observed in the early calculus; thereby, the pH range of the formation sites might be lower than that of WH crystals.
  • 口蓋裂患者の補綴処置経過中の観察
    秦 博文, 山縣 健佑, 積田 正和
    1993 年 13 巻 4 号 p. 380-404
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口蓋裂症例について咬合改善処置に伴うパラトグラムの変化を画像処理法によって観察し, パターンの異常の程度を数値化して比較した.口蓋および歯列咬合面を覆う黒色の特殊塩化ビニールによる記録板にアルジネートの粉末を散布し, 口腔内に装着して被験音を発音させる.舌の接触部の粉末が湿って透過し, 黒色となる (パラトグラム).これをCCDカメラによって録画する.この操作を同一一被験音について5回繰り返した.この画像を画像処理装置 (TVIP-20000日本アビオニクス社製) に入力し, 画像解析および計測を行った.まず5枚中3枚に共通する部分のみを抽出し, これをその時点でのその個人の平均的パターンとした.これらのパターンを3名の検者が観察して異常度の評価を行った.すなわち, 1) 口蓋部, 2) 歯列部, 3) 音産生上の重要部について, それぞれ, a;外形異常, b;接触不足, c;接触過剰の程度を, 異常無し (0), やや異常 (1), かなり異常 (3), 全く異常 (5) の4ランクに分けて記録し, 3名の検者の平均値を求めて異常指数とした.唇顎口蓋裂患者5名について補綴処置前 (有), 仮義歯装着時 (B), 最終義歯装着時 (C) の3段階で評価を行った.その結果, パラトグラム異常度は一般的には術前に大きく, 仮義歯, 最終義歯の順に減少し, 多くの場合には正常パターンに近付いた.
  • 大井手 伸行
    1993 年 13 巻 4 号 p. 405-421
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺および舌下腺組織内に発現分布する弾性線維の発現走行状態, 形状を明らかにし, さらにその線維が加齢的に変化がみられるかを光顕的に検索を行った.材料は, 生後0日齢から78週齢まで飼育したSD系ラットを用いて, 左右側の顎下線, 舌下腺を摘出し, 弾性線維染色を行い, 検鏡に供した.また, それらの線維が弾性線維であるかを確認するため, Elastaseを用いて消化試験を行った.観察部位は腺房間と導管系の介在部, 線条部, 小葉問導管, 小葉外大導管の各周囲である.その結果, 顎下腺では, 腺房問には生後1週齢から78週齢まで小葉間結合組織より侵入する弾性線維が少量認められた.介在部周囲には弾性線維の発現は全週齢に認められなかった.線条部周囲では, 生後9週齢から少量の弾性線維が穎粒状に認められ, 26週齢から78週齢までは中等度の発現量を示し, その線維の形状は穎粒状, 蛮曲状, 蛇行状, 輪状を示した.小葉間導管周囲では, 生後1週齢で少量の繊細な弾性線維が認められ, 2週齢から20週齢までは中等度の発現量を示し, 26週齢から78週齢までは多量の弾性線維の発現が認められた.弾性線維の発現量は増齢とともに増加の傾向がみられ, 線維の太さも増齢的に太くなる傾向を示した.その弾性線維の形状は直線状, 蛮曲状, 蛇行状, 波濤状, 輪状, 分岐状, 束状などを呈していた.小葉外大導管周囲では, 生後1週齢で弾性線維が発現し, はや中等度の発現量を示した.そして3週齢から78週齢までは多量の弾性線維の発現を認めた.その線維の走行形態, 形状は小葉間導管周囲に発現したものとほぼ同様であった.弾性線維の加齢的変化は線条部, 小葉間導管, 小葉外大導管の各周囲部において認められた.舌下腺では, 腺房間に発現する弾性線維は顎下腺と同様に生後1週齢から78週齢に至るまで少量発現していた.介在部周囲においても顎下腺と同様に全週齢を通して弾性線維の発現は認められなかった.線条部周囲に発現した弾性線維は, 顎下腺より早く生後1週齢で少量認められ, 26週齢で中等度の発現量を示した.小葉間導管周囲では, 顎下腺と同様に生後1週齢から弾性線維の発現が認められ, また多量に発現するのが顎下腺より早く, 5週齢から78週齢まで認められた.小葉外大導管周囲の弾性線維の発現は最も早く生後0日齢で少量の発現が認められた.その後の発現状態は顎下腺と同様であった.弾性線維の走行状態, 形状は顎下膜とほぼ同様であったが, 線条部周囲に発現した輪状に走行する弾性線維は, 顎下腺のものより明瞭に観察された.なお, 動脈および小葉間導管周囲にみられる弾性線維について, Elastaseを用いた消化試験では, 完全にその線維が消失したので, 本線維が弾性線維であることを確認した.
  • 小溪 徹彦
    1993 年 13 巻 4 号 p. 422-432
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は歯肉溝浸出液に注目して歯肉炎患者の歯肉溝浸出液の量とその中に含まれている酵素 (LDH, LDHアイソザイム, アルカリ性フォスファターゼ, β-グルクロニダーゼ, アリルスルファターゼ) との関係を検索した.さらに実験的に歯肉炎を起こさせ, 臨床的指標 (プラーク指数, 歯肉炎指数, プロービングの深さ, 歯の動揺度) および歯肉溝浸出液量とその中に含まれている酵素との関係を検索した結果, 以下の結論を得た.1.歯周炎患者のペリオトロン値とLDH活性値およびβ-グルクロニダーゼ活性値の間に正の相関が認められた.2.実験的歯肉炎者においてプラーク指数, 歯肉炎指数, プロービングの深さは経時的に上昇を示した.またGCF量は3週目まで上昇したが, 4週目では低下が認められた.3.LDHアイソザイムは歯周炎患者ではLDH5が全体の約50%を占めた.また実験的歯肉炎者では2週目からLDH5の分画が出現した.4.実験的歯肉炎者ではLDH活性値は1週目に上昇し, 2週目に減少後, 3, 4週目と上昇した.アルカリ性フォスファターゼは1週目に著明に上昇後, 2, 3, 4週目と経週的に減少した.
  • 椎名 泰三, 江川 薫
    1993 年 13 巻 4 号 p. 433-442
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    骨基質を構成するコラーゲン細線維の構築を研究する目的で, 表層の骨基質を高分解能の走査電子顕微鏡で観察した.材料としては生後3年齢の成体のカニクイザルの上腕骨, 擁骨, 尺骨, 大腿骨, 脛骨の長骨と, 肋骨体部および頭頂骨を使用した.試料は固定後, 実体顕微鏡下で骨膜の線維層を剥離し, 1%トリプシン溶液で骨芽細胞と無定形有機性基質を消化させて骨基質の表層の基質線維を剖出した.長骨骨幹部, 肋骨体部および頭頂骨の表層基質は束状を呈するコラーゲン細腺維で構成されていた.細線維束は長骨および肋骨ではほぼ骨の長軸方向に配列し, 頭頂骨では頭頂結節から骨の周縁に放射状に走行していた.細線維束の直径は0.7~1μmを呈し, 細線維東間には多数の長円形の骨細管が開口していた.細腺維束の一部は骨細管の周囲で隣接する細線維束に移行していた.最表層を構成する細線維束が比較的疎な領域では, 走行の異なる細線維束が深層に認められた.表層基質が走行の異なる交錯したコラーゲン細線維束で形成されている部位も散在性に認められた.交錯した細線維束で構築されている骨表層基質はわずかな隆起部や陥凹部で認められた.局所的な突出部の表層基質では, 細線維束の走行は不規則で相互に交錯していた.交錯部では細線維東間の骨細管は類円形を呈しており, 細線維は骨細管を取り囲むように走行していた.また, 血管孔の開口部の周縁の基質では細線維束は血管孔を取り囲むように走行していた.
  • Teuku SYAFIUDDIN, Takeshi IGARASHI, Hiroshi SHIMOMURA, Hisashi HISAMIT ...
    1993 年 13 巻 4 号 p. 443-449
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    The antibacterial effect restorative materials is important for obtaining good prognosis. The purpose of this study was to evaluate the antibacterial effect of trial composite resins which were made with Clearfil SC II and antibacterial powder as a filler. Four kinds of antibacterial powder were used : two kinds of Cellewall; far infrared radiating ceramic materials YYT 1 and YYT 1A, Bactekiller; antibacterial zeolite and Zeomic; zeolite with antibacterial ion were mixed with Clearfil SC II at the content of 5, 10, 15, 20, 30, 40, 50 wt %. Cariogenic bacteria Streptococcus mutans Ingbritt, was used in this experiment. Disks were placed in petri dishes and the width of inhibitory zone was evaluated after 24 hours. In order to evaluate the effect of saline solution, the disks were stored in saline solution for 24 and 48 hours and the inhibitory zone were also evaluated same condition. The conclusion is that the new composite resins containing Zeomic had a strong antibacterial effect against S. mutans and this effect of Zeomic was not reduced after storage in saline solution.
  • 小野寺 滋也, 大島 修, 山口 真吾, 杉森 正英, 木村 義孝, 南雲 正男, 池田 通, 山口 朗
    1993 年 13 巻 4 号 p. 450-453
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    われわれは, まれな歯原性腫瘍であるエナメル上皮線維歯牙腫の症例を経験したので報告した.症例は12歳女児で, 左下顎第一人臼歯の未萌出と左下顎部の腫脹の精査のため当科を受診した.口腔外所見では, 左側小臼歯部から下顎角部にかけて瀕慢性の腫脹がみられた.口腔内には, 左側下顎第二小臼歯の遠心から下顎枝前縁にかけて歯肉に発赤を伴った弾性硬の膨隆が認められた.X線所見では, 左側下顎第二大臼歯遠心から下顎角部にかけてのX線透過像と不透過像の混在, および左側下顎第一大臼歯, 第二大臼歯の埋伏と位置の異常が認められた.全麻下に腫瘍摘出術および左側下顎第一大臼歯, 第二大臼歯の抜歯を施行し, 病理組織診断にてエナメル上皮線維歯牙腫の診断が得られた.術後約2年経過しているが, 再発は認められず経過は良好である.
  • 尾関 雅彦, 芝 〓彦
    1993 年 13 巻 4 号 p. 455-457
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 割田 研司
    1993 年 13 巻 4 号 p. 459-460
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 13 巻 4 号 p. 461-472
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 13 巻 4 号 p. 473-475
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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