1960年Maimanによってルビーレーザーの開発が行われ, その後, Nd : YAG, CO
2, 半導体, He-Ne, Excimer, Argon, そして, 遂に, 硬組織が容易に切削可能なEr : YAGレーザーの開発が成功し, 臨床に応用されるようになった.今回, 米国Luxar社の開発した波長2.94μmのEr : YAGレーザーを8Hz, 最大出力約500mJ/pulseの出力, 条件下で照射し, 臨床的に5級窩洞を形成し, その安全性と臨床成績を検討したところ, 次のような結果を得た.尚, 本治験に使用した被験歯は40人の患者の60歯であった. 1.今回使用したEr : YAGレーザーは臨床に十分使用できる装置であった.2.全症例において, 副作用は認められなかった.3.60症例中48例 (80%) は全く痛みなく5級窩洞を形成することができた.4.軽度から強度の痛みを訴えた12症例は, いずれも, 術前の診査で歯頸部象牙質知覚過敏を訴えていた症例であった.5.本装置によって完了した症例は60症例中58症例 (91.7%) であった.6.窩洞形成後にレジンを充填して約30日間経過を観察したところ特記すべき臨床所見は観察されなかった.7.窩洞形成に要した時間は, 窩洞の大きさや深さに多少左右されたが, 約10秒から約3分以内であった.8.有用性に関する判定では, 安全性に関しては問題はなかったが, 極めて有効が49例で81.7%であった.
抄録全体を表示