昭和歯学会雑誌
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18 巻, 1 号
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  • 口腔機能の評価法の開発
    道 健一
    1998 年 18 巻 1 号 p. 1-37
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯科医学は医学から分離した当初から機能回復に重点がおかれていた.しかし, 研究・治療の対象は主として歯の欠損による機能障害であり, より広範な口腔・顎・顔面の機能回復についてはほとんど関心が払われていなかった.近年になって器質的疾患の治療成績が向上するにつれて, 治療後のリハビリテーションが重要視されるようになったが, 口腔疾患と機能障害との関連を検討した報告は少なく, 口腔機能障害の実態, 機能障害に対する治療法, 治療効果などについては未だ不明な点が多い.これまで口腔機能障害についての研究が進まなかった理由の一つは口腔機能を客観的あるいは定量的に表現する方法が十分ではなく, 病態, 治療効果などを評価することが難しかったからであろうと思われる.そこで, われわれは口腔機能障害の診断と治療に関する研究を進めるにあたって, まず, 口腔機能の客観的な評価方法を確立することが重要であると考えて研究を行ってきた.本報においては口腔の2大機能である言語と摂食 (咀嚼・嚥下) 機能の評価方法を分類し, われわれが開発した方法の特徴と意義を明らかにした.
  • Takeshi IGARASHI, Hiroshi IDA, Ayako YAMAMOTO, Ryuji SASA, Nobuichi GO ...
    1998 年 18 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Streptococcus sobrinus and Streptococcus downei are closely related cariogenic species. A DNA fragment (1.2 kb) of a central region of the S. sobrinus dextranase gene (dex) was amplified by polymerase chain reaction and utilized for a DNA probe to differentiate S. sobrinus and S. downei. The dex probe was dot-hybridized to the reference strains (17 strains of 5 species) of mutans streptococci and other related strains (13 strains of 9 species). The probe hybridized only to both S. sobrinus and S. downei at a highly stringent condition, but to none of the other mutans streptococci nor other gram-positive cocci. To differentiate S. sobrinus and S. downei, Southern blot hybridization was carried out against restriction fragments of chromosomal DNAs with the dex probe. The probe showed species-specific hybridization patterns to the EcoRI, EcoRV, HindIII and PvuII-fragments. This result suggests that hybridization analysis with the dex DNA probe is useful for the detection and differentiation of S. sobrinus and S. downei.
  • Tetsuo KODAKA, Tsuneyoshi SANO, Ryoichi MORI
    1998 年 18 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    The transverse cut and polished surfaces of a cow longbone were observed by backscattered electron (BSE) imaging, and then they were treated with a combined treatment of sodium hypochlorite (NaOCl) and ethylenediamine tetra-acetic acid (EDTA). The samples were observed again by BSE or by scanning electron microscopy (SEM). The combined treatment strongly eroded young hypocalcified osteons, and they were compared with older osteons. Some young osteons before treatment contained hypocalcified lines along the Haversian lamellas. The hypocalcified lines were more strongly eroded than the neighboring lines in the NaOCl-EDTA/ BSE method. In addition, a developing small osteon or a Haversian lamella showed a loose structure in the NaOCl-EDTA/SEM method. Thus, it was revealed that hypocalcified osteons and incremental lines, containing either a large or a smaller amount of collagen fibers, were strongly eroded by the combined treatment of NaOCl and EDTA. From such findings, it is suggested that the hypocalcified lines of spherical and linear laminate structures in human dentin are more strongly eroded than the hypercalcified lines in the NaOCl-EDTA/SEM method. Though we have previously suggested the positive correlation between the concentration of collagen fibers and the degree of calcification in the dentin, the correlation may be negative if the lower the concentration of collagen fibers is, the higher the degree of calcification as suggested by an author. On this correlation, further investigations will be necessary.
  • 平成7年度分について
    山内 真紀子, 中田 好久, 樋口 大輔, 稲富 康真, 梅澤 正樹, 船登 雅彦, 川和 忠治
    1998 年 18 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, 平成7年度に昭和大学歯科病院第一補綴科で装着されたクラウンおよびブリッジに関して, その総製作数, 種類および割合, 支台数の有髄, 無髄等を統計的に調査し, 歯冠補綴治療の現状を把握することを目的として行われ, 以下の結果が得られた.1.クラウンとブリッジの総数は1,135個で, クラウンが922個 (81.2%), ブリッジが213個 (18.8%) であった.2.クラウンにおいて最も多いのは全部鋳造冠550個 (59.7%) であった.次いで陶材焼付鋳造冠166個 (18.0%), レジン前装鋳造冠149個 (16.2%) であった.3.クラウンは前歯部ではレジン前装鋳造冠と陶材焼付鋳造冠, 小臼歯部では全部鋳造冠と陶材焼付鋳造冠, 大臼歯部では全部鋳造冠が大部分を占めた.4.ブリッジは臼歯部に約60%, 前歯部および前歯部から臼歯部にわたるものが, それぞれ約20%ずつ装着されていた.5.ブリッジは前歯部, 臼歯部, 前歯部から臼歯部にわたるもの, いずれも1歯欠損2本支台歯が最も多かった.6.クラウンにおける保険診療は75.7%であり, ブリッジにおいては68.1%であった.7.クラウンの支台歯における無髄歯は88.5%, インプラント支台は2.2%, ブリッジにおいては無髄歯が67.3%, インプラント支台は2.3%であり, 初めてブリッジの支台にインプラント支台が使用された.
  • 山本 綾子, 浅賀 恵美子, 秋山 悦子, 五十嵐 武, 後藤 延一
    1998 年 18 巻 1 号 p. 60-70
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口腔トリコモナス (Trichomonas tenas ; T.tenax) を特異的に検出するDNAプローブあるいはT. TenaxのcDNAライブラリーからcysteine proteinase (CP) 遺伝子を保有するクローンを選択するためのプローブを開発する目的でCP遺伝子断片をクローニングし, その塩基配列を決定した.まず最初に, 各種の原虫が保有するCPのアミノ酸配列をアライメントし, その保存領域から2種類の混合プライマーを作成した.次にこれらのプライマーを使ってT. tenaxの染色体DNAを鋳型にしてpolymerase chain reaction (PCR) を行い, 得られた約550bpサイズの断片をpGEM-Tベクターにクローニングしてクローンを150個分離・選択した.それぞれのクローン化した断片の塩基配列を決定すると498-513bpであった.その配列から推定アミノ酸配列に変換すると, stop codonが含まれないクローンは26個であった.26個の塩基配列を相互に比較すると3グループに分類できた.各グループのアミノ酸配列を他の真核生物由来の各種のCPファミリーすなわちpapain, ヒトのcathepsin BとL, ならびにT. vaginalisE. histolyticaが保有するCPのアミノ酸配列と比較したところ同じ属であるT. vaginalisのCPアミノ酸配列と高い一致率 (75-79%) を示した.以上の結果ならびに得られたクローンがいずれもCP特有の保存領域のアミノ酸配列をもつことから, PCRで増幅して得られた断片はT. tenaxのCPをコードするものと推定された.
  • 福原 恵美
    1998 年 18 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    不正咬合および咀嚼障害を診断し, 適切な治療法を決定するためには, 頭蓋顎顔面を構成する骨の成長に伴った変化や個々の形態的な特徴を正確に把握することが必要である.従来, 顎顔面形態の解析方法としては, セファロ分析が用いられている.しかし, それらの分析法では解剖学的基準点間の角度・距離計測がなされているが, 顎顔面領域における成長変化には複雑な部位特性があり, これを除外して構成骨の成長過程を評価することは不可能である.さらに, 異なった次元量を組み合わせて行う解析方法自体に数学的な問題点がある.本研究では, 顎顔面の成長変化について従来のセファログラム分析法では評価し得なかった下顎骨体の形状差異を『形』の変化として, 数学的座標変換法を用い, “定量的” かつ “視覚的” に捉える新しい方法を開発することを目的とし, 既存のセファログラム資料から下顎骨の形態差の抽出および, 片側性唇顎口蓋裂患者とその両親とにおける下顎骨形成の類似性についても検討した.本研究の評価方法に関しては, より “自然” な重ね合せを行うため考案された座標系移動のための評価関数を設定し, 得られた差異を対応点の変位ベクトルとして抽出した.現段階で, セファログラムを用いた臨床上の手法という制限のもと骨体内部の成長量を抽出することは不可能であり, したがって数学的理論に裏付けられた本研究における評価関数の設定には妥当性, 有用性があるといえる.本研究における, 口唇口蓋裂患者の成長発育とその両親との類似性については, 下顎骨の成長は遺伝的支配に影響されている可能性が高く, 特に母親の遺伝的影響が大きいと示唆された.
  • 沓沢 亨, 瀬川 和之, 滝口 励司
    1998 年 18 巻 1 号 p. 79-91
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    下顎頭軟骨の生涯的機能には, 三相の異なる段階が存在する.胎生期から出生直後までの期間には, 下顎頭軟骨は成長能力に依存する成長軟骨として機能する.この段階の下顎頭軟骨には, 線維層, 増殖層と, 幼若軟骨細胞, 成熟軟骨細胞, 肥大軟骨細胞および石灰化軟骨層を含む軟骨層の顕著な各層区分が存在する.ラットの下顎頭軟骨では, 生後4日から30日頃までの期間は, 成長機能の減退と関節機能の促進が認められる機能移行期に相当する.生後30日以降の段階のラット下顎頭軟骨は, ほぼ完全に関節軟骨として機能する.本研究では, 関節軟骨機能の最終段階にある80週齢から120週齢までの老齢ラットの下顎頭軟骨におけるコラーゲン細線維を主に走査電子顕微鏡で観察し, 細線維の立体構築における老齢変化の過程について検討した.細線維の立体構築を明らかにするために, 下顎頭軟骨の液体窒素によるDMSO凍結割断と線維間基質の酵素による消化を行った.老齢ラットの下顎頭軟骨には線維層, 増殖層および軟骨層による層区分が認められた.下顎頭軟骨の厚径は加齢とともに減少していた.線維層では加齢とともに線維芽細胞が減少していた.細線維は関節面に平行に配列された束状構築を形成していたが, 加齢による細線維束の構築変化は認められなかった.この線維構築は, 比較観察のために用いた成熟期ラットの線維層のものと同様であった.これは, 常時外来刺激を直接に受ける線維層では, 増殖層や軟骨層の保護のために, 線維層の細線維の基本構築が比較的早期に成熟することを示唆する.線維層の深部の細線維束は斜走あるいは縦走しており, 一部の細線維束の下端は, 網状の線維構築を有する増殖層あるいは軟骨層中に進入していた.軟骨層の細胞構成は, 80週齢では大部分が大型で卵円形の成熟軟骨細胞によって占められていたが, 軟骨層深部には小型で円形の線維軟骨細胞が出現していた.90~100週齢の軟骨層では成熟軟骨細胞は増殖層の直下に少数介在するだけで, ほぼ全域が線維軟骨細胞によって占められていた.線維軟骨細胞は出現初期には比較的乱雑に配列しているが, 徐々に上下方向に規則的に配列変化していた.110~120週齢のラットでは, 軟骨層の線維軟骨細胞の多くは, 関節面に垂直方向に上下的に柱状配列しているが, 下顎頭軟骨の厚径の減少に伴って減少していた.浅部を除く軟骨層では, 中隔基質に細線維束が認められた.特に, 縦中隔基質における縦走あるいは斜走する細線維束の形成が顕著であった.細線維束は加齢とともに発達, 増加していた.100週齢を越えるラットの軟骨層では, 縦走あるいは斜走する細線維束が複雑に交錯する緻密な線維構築が形成されていた.軟骨層深部における細線維の直径は, 80週齢ラットの約45nmから, 120週齢ラットの約60nmに増加していた.軟骨層における細線維の直径の加齢変化は, 成熟期以降, 軟骨細胞の代謝機構の変化とともに随時行われる可能性があり, 80週齢頃に明瞭に出現する線維軟骨細胞の増加によって急進展すると考えられる.軟骨層における細線維の直径の増加や線維構築の緻密化は, 下顎頭軟骨の外力緩衝構造の発達と関連する加齢現象であると考えられる.110週齢ラットの下顎頭軟骨の1例に異常構造が観察された.この下顎頭軟骨では, 外側に線維層の肥厚と多量の線維束を含む軟骨層の存在が認められた.内側には, 菲薄化した線維層と肥厚した軟骨層が認められた.内側の軟骨層における軟骨細胞群は, 多数の線維軟骨細胞と線維軟骨細胞群の直上に介在する大型で卵円形の成熟軟骨細胞群によって構成されていた.これらの異常構造は進行性および退行性リモデリングからなる顎関節リモデリングの過程を示唆する状態であると考えられる.
  • 加藤 一郎, 角田 左武郎, 住谷 要, 真鍋 真人, 新谷 明幸, 福永 秀樹, 南雲 正男
    1998 年 18 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 骨粗鬆症はその患者数の増加にともない注目される疾患の一つになっている.この疾患においては, 骨吸収が相対的に骨形成を上回っているため, デンタルインプラントを用いる際には十分な配慮が必要である.今回, 我々は骨粗鬆症患者に埋入されたデンタルインプラントが上顎洞内に迷入した症例を経験した.そこで, 上顎に植立されたデンタルインプラント体を摘出したところ, 左右共に小臼歯から大臼歯部にかけて広範囲にわたり歯槽骨が喪失した.通常の総義歯では咬合機能の回復が困難だったため, インプラントを再埋入し, それに磁性アタッチメントを応用して義歯を維持し, 咬合機能の回復を試みた.インプラントの植立部位は, デンタルスキャンを用いて歯槽骨の幅を測定し, 比較的歯槽骨に厚みがある犬歯部に埋入した.現在, 最終治療後1年以上経過したが, インプラントは弛緩することなく義歯の安定性も良く, 患者の満足が得られている.
  • 関 健次, 花澤 智美, 荒木 和之, 岡野 友宏
    1998 年 18 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 18 巻 1 号 p. 101-116
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 18 巻 1 号 p. 117-127
    発行日: 1998/03/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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