産卵期のウズラの骨髄骨には活性型ビタミソD
3 [1α, 25 (OH)
2D
3]と特異的に結合する3.5S蛋白の存在が認められた.Scatchard解析から, この蛋白質と1α, 25 (OH)
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3の結合の解離定数 (Kd) は1.85×10
-10M, 最大結合量 (Bmax) は85fmol/mg蛋白であることが示され, 骨髄骨が1α, 25 (OH)
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3の標的器官であることが示唆された.そこで, ビタミソD欠乏のウズラを作成し, 骨髄骨形成におけるビタミソD
3の各種代謝産物の役割を検討した.まず, 産卵期のウズラをD欠乏食で16日間飼育すると, 大腿骨の骨髄骨部分のカルシウム量は著しく減少した.しかしながら, 同じ動物の皮質骨部分のカルシウム量はほとんど変化しなかった.組織学的検索からもビタミンD欠乏食の飼育により骨髄骨の石灰化部分は著しく減少し, 類骨組織が著明に増加することが認められた.次に, ビタミソD欠乏のウズラにビタミンD
3の各種代謝産物を投与し, 骨髄骨のカルシウム量の変化を検討した.骨髄骨のカルシウム量は25 (OH) D
3投与によって最も効果的に回復し, 次いで1α, 25 (OH)
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3投与が有効であった.24R, 25 (OH)
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3投与による有意な骨髄骨のカルシウム量の増加は認められなかった.以上の結果から, 産卵期の鳥類の骨髄骨は1α, 25 (OH)
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3の標的器官であり, 骨髄骨の石灰化に1α, 25 (OH)
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3が直接関与していることが示唆された
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