昭和歯学会雑誌
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20 巻, 4 号
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  • 清水 美帆, 佐々木 崇寿
    2000 年 20 巻 4 号 p. 435-448
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    欠損歯列に対する補綴方法の選択肢の1つとして, 歯槽骨を支持組織とするインプラント治療が行われている.従って, インプラント治療に伴う抜歯処置において, 歯槽骨がインプラント体の支持組織となり得る程度に修復するか否かを知ることは臨床診断上重要である.近年の高齢化社会において, インプラント治療は閉経をむかえた中・高年の女性患者にも多く適用されているが, 閉経による急激なエストロゲン欠乏が, 抜歯後の顎骨組織に与える影響は十分に解明されていない.そこでエストロゲン欠乏型骨粗鬆症の実験モデルとして広く用いられている, 成熟・卵巣摘出 (OVX) ラットと偽手術 (Sham) ラットを用い, 術後60日目に上顎第一臼歯の抜歯を行い, 抜歯後4~60日における抜歯窩歯槽骨を含む上顎骨体部の修復状態と骨構造の変化を, 光学顕微鏡, 走査型電子顕微鏡, 反射電子検出器による組成像をもとにした観察と骨形態計測, さらに微小部X線分析法によって評価した.その結果, 骨粗鬆症モデルラットの上顎臼歯抜歯後の抜歯窩歯槽骨を含む上顎骨体部の構造変化において, (1) OVX群では, 抜歯後の早期に骨形成が活性化されるが, 全期間を通じては骨吸収が増加した. (2) 骨形成と骨吸収は抜歯窩内のみならず, 抜歯窩周囲の骨表面の特定の領域で起こり, かつ互いに密接な部位的関連性が認められた. (3) OVX群において新生骨の骨量は, 骨形成が認められた抜歯窩周囲の頬側の骨表面と抜歯窩内ともに, Sham群に比べ有意に低下していた. (4) OVX群における新生骨の石灰化度は, 既存の骨膜により形成された抜歯窩周囲の頬側の骨基質でSham群より有意に低下していたが, 新たに分化した骨芽細胞により形成された抜歯窩内の新生骨では有意差が認められなかった. (5) 従って, OVXによる急激なエストロゲン欠乏は, 抜歯窩歯槽骨を含む上顎骨体部の修復と骨強度維持に対して危険因子となることが示唆された.
  • 柴垣 博一, 若月 英三
    2000 年 20 巻 4 号 p. 449-465
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    モンゴロイド集団というのは, 大きく分けて2つのグループに分けられるという.1つはSinodont (中国型歯形質) とよばれるもの, もう1つはSundadont (スンダ型歯形質) である.日本では, このSundadontをもつ縄文人が1万年ほど前に渡来した.しかし, その後, 約2000年前にSinodontをもつ弥生人が朝鮮半島経由で渡来し, 混血して現在のようなSinodontが優性な日本人が形成されたといわれている.そこで著者らは, モンゴロイドの基盤となる集団と近縁であると考えられるSundadontに属する南方系のフィリピン人とSinodontに属する日本人と日本人の起源と関係の深い北方系の中国人の各々の上顎口腔内石膏模型を作製した.これらの上顎口腔内石膏模型をレーザー計測装置SURFLACER VMS-150R-D (UNISN社) を用いて三次元的に計測し, パソコン上で画像解析ソフトSURFACER (米国IMAGEWARE, INC) で, 歯列弓の大きさと口蓋の深さ (前頭断面, 矢状断面) について解析し, これらを統計学的に検討した.その結果, 日本人が中国人に近い項目は歯列弓の大きさの項目が多く, 日本人がフィリピン人に近い項目は口蓋の前頭断面の中央部と口蓋の矢状断面の後方部で, 日本人が両者の中間の項目は第二大臼歯の歯列弓幅で, 日本人が大きい項目は, 前歯列弓長, 犬歯弦であった.以上を要約すると, 現在の日本人の歯列弓の大きさと口蓋の深さは北方系の中国人と南方系のフィリピン人の要素が複雑に混血しているが, 歯列弓の大きさは中国人に近く, 北方系弥生人の要素が強く, 口蓋の深さ (前頭断面の中央部, 矢状断面の後方部) はフィリピン人に近く, 南方系縄文人の要素が強い.さらに, 日本人の口元は出っ張り気味で北方系弥生人の要素が強いことが示唆された.
  • 佐々木 寛, 五島 衣子, 山嵜 博義, 吉村 節
    2000 年 20 巻 4 号 p. 466-469
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    当院における口腔外科領域の手術のうち, 輸血を考慮する必要のある症例は, 顎矯正手術と悪性腫瘍切除手術が大半である.同種血輸血によるHIV, 肝炎ウイルスなどの感染, 輸血後移植片対宿主病 (GVHD) などの副作用を防止するために, 同種血輸血に対し最低限15~50Gyの放射線を照射して使用することや, 自己血輸血の使用が推奨されており, 当院の顎矯正手術では, 自己血輸血が普及している.しかし悪性腫瘍切除術においてはまだ, 自己血輸血はあまり普及していないのが現状である.今回著者らは, 1991年から1999年8月までの8年8か月間に昭和大学歯科病院で行われた, 悪性腫瘍切除手術301症例における輸血状況について検索し, 自己血輸血の有用性を検討した.手術中の平均出血量は971ml, 輸血症例数は301症例のうち163症例と55%を占めていた.また, 自己血輸血施行症例数は50例であった.自己血準備のある症例では, 出血量800ml未満で全例, 出血量800~1800ml未満で約半数の症例が自己血輸血のみで対応していた.出血量1800~2500ml未満では自己血のみで対応できたものは10例中2例, 出血量2500ml以上では1例もなかった.悪性腫瘍切除手術でも, 貯血式と希釈式を併用して自己血を準備することにより, 同種血輸血量の削減, また回避をすることが可能と思われた.
  • 久米 豊, 八上 公利, 竹味 利晃, 中村 雅子, 立川 哲彦, 南雲 正男
    2000 年 20 巻 4 号 p. 470-475
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 有効な抗癌剤の開発により悪性腫瘍患者の生存率が改善されてきている.しかし, 腫瘍によっては, 依然として抗癌剤の効果がないものも少なくない.腺様嚢胞癌は, 抗癌剤や放射線に対する感受性が低く, 治療法の第一選択として手術による切除が適応とされている.しかし, 進展例や切除が不可能な転移症例に対しては, 放射線照射や多剤併用化学療法に頼らざるを得ないが, その効果は判然としない.今回われわれは, 中咽頭部に再発した腺様嚢胞癌に対してシスプラチン (CDDP) を中心とした化学療法と放射線療法を施行し, 臨床的にも画像診断でも腫瘍が見られなくなった1例を経験したのでその概要を報告する.
  • 小澤 淳子, 小澤 浩之, 平出 隆俊, 柴崎 好伸
    2000 年 20 巻 4 号 p. 476-484
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    矯正臨床において使用する装置・効果ならびに, 治療期間は患者にとって関心の高い問題である.また実際の治療に対しては可能な限り短期間, かつ十分な治療効果を発揮する装置が望まれる.今回EdgewiseブラケットとBeggブラケットの長所を組み合わせることにより歯の移動に伴うブラケットとワイヤー間の摩擦力を可及的に減じ, 同時にトルク効果の付与をも可能にしたfriction-freeブラケット (3F Bracket®) を使用する機会を得た.本症例の治療期間は, マルチブラケット法による治療を開始してから1年4か月後に動的矯正治療を終了し保定に移行した.治療期間短縮の主たる要因は, 一途に犬歯の遠心移動を6か月と短期間に終了しえた点にある.すなわち結果的に犬歯と固定源 (第二小臼歯, 第一大臼歯) との固定値に大きな差を生じさせ, 固定源を維持したまま犬歯に至適矯正力に近い荷重を加えることが可能となったためと考えられる.そこで今回, 本装置の特徴と治療経過に若干の考察を加え報告する.
  • 滝沢 邦生, 上條 竜太郎, 羽鳥 仁志, 南雲 正男
    2000 年 20 巻 4 号 p. 485-488
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    A lipoma is a benign tumor derived from nonepithelial origin and may occur almost anywhere on the body. In the oral cavity, however, a lipoma is relatively rare.
    In this report, 22 cases of lipoma treated in our department during the past 15 years are reviewed.
  • 山下 登
    2000 年 20 巻 4 号 p. 489-492
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 高橋 直之
    2000 年 20 巻 4 号 p. 493-494
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 20 巻 4 号 p. 495-504
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 20 巻 4 号 p. 505-508
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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