昭和歯学会雑誌
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20 巻, 3 号
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  • 藤島 昭宏, 山本 麗子, 宮崎 隆, 秋月 弘道, 道 健一
    2000 年 20 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    プレート材料に対するベンディング処理の影響について調査するため, 市販の顎骨固定用チタン製およびステンレス鋼製ミニプレートを用いて, プレート平行部に60°ならびに20°のベンディング処理を施してから, 表面のSEM観察を行った.60°のベンディングでは, プレート辺縁部においてクラック発生が明瞭に観察され, 特に表面仕上げの状態が劣るプレートでは, クラック発生が顕著に大きかった.プレート表層部では製造工程に残存したキズや刻印から, 応力集中によるクラックの進展が観察された.20°のベンディングにおいてもクラックの発生を生じるプレートがあったが, 顕著ではなかった.また, プレート辺縁部におけるクラックの発生は, ステンレス鋼製よりもチタン製の方が大きかった.これらのベンディング処理によって発生したマイクロクラックは, 生体内におけるプレート破折の一因になると推測されるため, チタン製プレートに対するベンディング操作には, ベンディング方法や角度に慎重に配慮する必要性が示唆された.
  • Tetsutaro YAMAGUCHI, Koutaro MAKI, Yoshinobu SHIBASAKI
    2000 年 20 巻 3 号 p. 288-293
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    There is a correlation between bone mineral density (BMD) and craniofacial morphology. Polymorphisms in the 3' end of the vitamin D receptor (VDR) gene have demonstrated a correlation with the bone mineral density (BMD) of several skeletal sites, but the relation of VDR polymorphisms to craniofacial morphology is not known. In this experiment, the correlation between VDR polymorphisms and 5 linear measurements (cranial base length, N-S; maxillar length, A'-PTM'; mandibular ramus length, CD-GO; mandibular corpus length, GO-POG'; and overall mandibular length, CD-GN) concerning craniofacial morphology was examined in a normal Japanese female population. Genomic DNA as a template was extracted from the blood of each subject, and the VDR polymorphism was determined by polymerase chain reaction-restriction length polymorphism (PCR-RFLP) with three restriction enzymes (BsmI, ApaI, TaqI). Five linear measurements from a lateral cephalogram and body height were also assessed for each subject. Although VDR is known to play important roles in regulating bone growth and BMD, which influence craniofacial morphology, no statistically significant correlation was observed between VDR polymorphisms and 5 linear craniofacial measurements or body height. The polymorphisms of the VDR gene do not play a significant role in determining craniofacial morphology. The strategy of this study would be useful for evaluating a genetic background in craniofacial morphology.
  • 城戸 秀美
    2000 年 20 巻 3 号 p. 294-309
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ラット臼歯の生活歯髄切断後の治癒過程, 特に修復象牙質と象牙質橋の形成に対する各種歯髄覆軍剤の効果を, 光学顕微鏡ならびに透過型電子顕微鏡を用いて経日的に観察した.覆軍剤には水酸化カルシウム製剤, フォルムクレゾール製剤および高分子ヒアルロン酸製剤を用いた.麻酔下の雌性ラットの上顎臼歯冠部歯髄を歯科用タービンで除去し, 上記のいずれかの覆軍剤で直接歯髄覆軍を行った.覆髄面はグラスアイオノマーセメントで修復した.水酸化カルシウム製剤で直接歯髄覆軍を行った場合, 断髄後2日では断髄面は血餅を含む壊死層に覆われ, 下部の歯髄には好中球やマクロファージ等の炎症性細胞が浸潤していた.断髄後7日には, 断髄面下部の歯髄内には線維芽細胞様細胞や象牙芽細胞様細胞が分化・増殖し, 象牙芽細胞様細胞は既存の象牙質壁に球状の石灰化球を形成した.断髄後30日および60日には修復象牙質の形成が歯髄腔全体に拡大し, 断髄面下部には明瞭な象牙質橋が形成された.フォルムクレゾール製剤で直接歯髄覆軍を行った場合は, 断髄後7日から14日には断髄面下部の歯髄内に象牙芽細胞様細胞が分化し, 既存の象牙質壁に球状の石灰化球を形成した.断髄後30日および60日には, 修復象牙質の形成が歯髄全体に拡大し, 断髄面下部に明瞭な象牙質橋が形成された.高分子ヒアルロン酸製剤で直接歯髄覆軍を行った場合は, 象牙芽細胞様細胞の分化・増殖と修復象牙質の形成は良好であったが, 明瞭な象牙質橋の形成が認められなかった.これらの実験結果は, ラット臼歯の生活歯髄切断後の治癒過程において, 水酸化カルシウム製剤, フォルムクレゾール製剤および高分子ヒアルロン酸製剤は, いずれも歯髄内の未分化間葉細胞から象牙芽細胞様細胞の分化・増殖を促進し, 石灰化球の形成に始まる修復象牙質の形成に適した微小環境を形成することを示唆している.また水酸化カルシウム製剤とフォルムクレゾール製剤は共に, 局所的な組織壊死に続く象牙質橋の形成に優れた効果を有することが示された.一方, 高分子ヒアルロン酸製剤は組織為害性がなく, 修復象牙質の形成に優れ, 歯髄覆軍剤のキャリアーとして有用であることが示唆された.
  • 林 幸枝
    2000 年 20 巻 3 号 p. 310-321
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯の支持機構を, 組織形態学見地から検討する目的で, 雑種成犬の上顎第三切歯を近心方向に約150gで7日間移動させ, 歯根各領域における歯根膜線維の観察を行った.歯根膜の4領域 (1, 歯頚側近心部2, 歯頚側遠心部3, 根尖側近心部4, 根尖側遠心部) の観察部位における歯根膜およびシャーピー線維進入部の立体構造を歯の移動前後で比較した.対照群歯頚側における光学顕微鏡観察では, 一定方向に規則的配列を示す歯根膜コラーゲン線維と, 歯軸方向に沿ってコラーゲン線維束に直交する弾性線維が観察された.根尖側では不規則に交錯する線維束が網状構造を呈していた.歯槽骨, セメント質移行部では集束したシャーピー線維が深部にまで到達し, 歯頚側においてより密で細い束であった.実験群における歯根膜コラーゲン線維は圧迫側で屈曲, 牽引側で伸張を示し, ともに疎になっていた.一方, 弾性線維は増加, 配列変化を示した.電子顕微鏡観察にて各領域の詳細を得た結果, 特に牽引側の弾性線維は配列変化が著明で, 多方向に伸張, 伸展を示していた.移行部のシャーピー線維の変化は線維束の減少と直径の小型化が顕著で, その傾向は根尖側より歯頚側で, 牽引側より圧迫側で, セメント質側より歯槽骨側でより顕著であった.以上の所見は歯根膜線維と歯根膜シャーピー線維の改築機構が, 歯根膜における応力の分布, 方向性, 強度を反映した組織構造の適応であることを示唆している.
  • Zutai ZHANG, Atsushi OZAWA, Yukimichi TAMAKI, Qazi HARUN, Takashi MIYA ...
    2000 年 20 巻 3 号 p. 322-326
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    In order to develop an ammonia-free phosphate-bonded investment, Mg (H2PO4) 2 nH2O and MgO were used as a binder. The ratio (wt%) of MgO to Mg (H2PO4) 2·nH2O was designed from 3 to 0.5. Setting time and compressive strength were examined to determine a suitable distribution. A mixture with the ratio of 1.0 and 1.2 showed excellent properties as the binder. The setting time became shorter and compressive strength became lower as the ratio increased. X-ray diffraction appeared MgHPO4·3H2O after setting and Mg2P2O7 after heated at 800°C. These results suggested that Mg (H2PO4) 2·H2O can be applied for dental investments.
  • (第二報) セメント材料の諸物性
    池田 訓子, 藤島 昭宏, 斎藤 茂, 水本 貴子, 宮崎 隆, 柴崎 好伸, 佐々 龍二
    2000 年 20 巻 3 号 p. 327-334
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    矯正用接着システムとして用いられているレジン系セメント (SB), 化学重合型 (FO) および光重合型 (LC) のレジン添加型グラスアイオノマー (RMGI) セメントを実験に用い, 硬化時間の測定, 粉末およびセメント硬化体のSEM観察, 組成分析, 機械的性質の測定を行い, 以下の知見を得た.硬化時間は約4分-6分の範囲であり, 光未照射のLCが最も長い硬化時間を示した.EPMA分析の結果, Al/Si比がFO : 0.68に対しLC : 0.51であり, 粉末組成に差が認められた.SEM観察の結果RMGIセメント硬化体は, 比較的大きなサイズ (10-20μm程度) の粉末間に微粉末が高密度に存在する構造を呈していた.また, FOではセメント硬化体中に分離したレジン構造が観察された.RMGIセメントの機械的性質は, 引張特性, 曲げ特性においてSBよりも低く, 弾性率と破断までの塑性変形量から, SBよりも脆性的材料であることが認められた.これらの特性が, ブラケットのディボンディング時における破断状態, ならびに残留セメントの除去特性に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
  • 藤島 由香里, 廣嶋 ふみ子, 藤島 昭宏, 五十嵐 武, 宮崎 隆, 後藤 延一, 芝 〓彦
    2000 年 20 巻 3 号 p. 335-343
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    グロー放電処理 (GDT) を歯科補綴領域に応用するため, 交流電源を用いた試作GDT装置を用いて金属被着面に対する表面処理効果について検討を行った.接着性モノマー (MDP) を含有するレジン系セメントを用いて, 4種類の金属被着体 (cpTi, CoCr合金, AgPd合金, AgSn合金) に対して引張接着試験を行った.GDT時間の影響について検討した結果, GDTを施すことによりすべての金属において, GDT未処理に対して明らかな接着強さの増加 (p<0.05) が認められた.GDT後の被着面における残留セメント量もすべての金属において顕著に増加 (p<0.05) し, GDTにより破断状態も大きく変化することが認められた.これらの結果から, GDTは金属被着面に対し, 接着性を向上させる有効な表面処理法であることが認められた.さらに, 唾液を付着させたcpTi試験片を用いてGDTを行った結果, 細菌数の顕著な減少が示され, SEM像からもGDT後の表層の清浄化が明瞭に観察されたため, GDTは歯科補綴物に対する清浄, 滅菌法への応用も期待された.
  • 有島 常雄, 斎藤 茂, 石橋 薫, 小倉 有美子, 塩谷 あや, 柴崎 好伸
    2000 年 20 巻 3 号 p. 344-354
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    部分無歯症は, 永久歯列の一部が欠損したときに用いられる用語である.歯の先天欠如は多くの場合家族的に発現し, その原因は遺伝的傾向が強いという報告が多く, 部分無歯症も例外ではない.今回, 母親と三人の娘全員に発現した部分無歯症のうち, 多数歯欠損を伴う長女と三女の矯正治療を経験した.治療対象となった両名は上唇小帯の強直, 正中離開, 短根歯など極めて類似した口腔内所見であり, 欠損歯数は長女が14歯, 三女が13歯であった.マルチブラケット法による矯正治療では個々の歯の移動を2-3mm以内とする治療目標のみを設定したが, 長女の治療期間には2年以上を要し, 保定開始後短期間で正中離開の再発を招いた.長女の治療結果をふまえた三女の治療は動的期間を短縮化し, 1年1か月でほぼ満足の得られる状態となった.保定期間は逆に2年2か月と長女より長く設定した.両者とも保定後にブリッジによる治療が必要であったが, 今後は矯正学的にもまた補綴学的にも長期的な咬合の管理が必要と考える.
  • 昭和大学方式の変遷
    平川 崇, 大塚 純正, 柴崎 好伸
    2000 年 20 巻 3 号 p. 355-360
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 20 巻 3 号 p. 425-429
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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