昭和歯学会雑誌
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22 巻, 2 号
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  • DentaScan®による再構築画像を用いた骨形態計測学的検討
    歌門 美枝, 代田 達夫, 山崎 正貴, 大野 康亮, 道 健一
    2002 年 22 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯科インプラントの術前検査などで, 顎骨の評価のために用いられているDentaScan®の再構築画像は, 下顎骨全周の皮質骨の厚さ, 顎骨の高径, 幅径あるいは下歯槽神経走行などに関する精度の高い情報を得ることが可能である.そこで本研究では, 加齢が下顎骨骨量に及ぼす影響を明らかにするために, 再構築画像を用いて下顎骨皮質骨の厚さや骨髄腔の大きさの変化について骨形態計測学的に解析した.対象はインプラントの術前検査としてパノラマX線写真およびDentaScan®による下顎骨の評価が施行された症例のうち, 年齢が40~70歳代で, 下顎第二小臼歯より後方歯が欠損した患者39名, 50側である.本研究ではオトガイ孔より2.0cm後方のスライス画像を使用し, 下顎骨皮質骨の厚さ, 骨髄腔の幅径を計測し, 年齢によるそれぞれの値の変化について解析した.また, パノラマX線写真を用いた従来法による骨量評価との比較検討も行った.その結果, パノラマX線写真を用いた計測では年齢による下顎骨骨量の変化は明らかではなかった.しかし, DentaScan®による再構築画像を用いて解析した結果, 男女とも加齢によって下縁部皮質骨, 中央部頬側皮質骨および下部頬側皮質骨の厚みが減少することが明らかとなった.特に女性の下顎骨では加齢に伴い皮質骨内面の吸収が進行し, 骨髄腔は拡大するものと考えられた.
  • 種々のワイヤー形状によって発生する矯正力の特徴について
    宮崎 芳和, 槇 宏太郎, 薄井 俊朗, 柴崎 好伸, 李 元植, 宮崎 隆
    2002 年 22 巻 2 号 p. 96-112
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    様々な形態のアーチワイヤーを歯列に適用した際の矯正力の分布を把握する目的で, 真鍮棒とストレインゲージを用いた歯列モデルを製作し, 定量的な矯正力の計測を行った.計測方法は, 同一モデル上に (1) 左右対称なプリフォームのステンレススチールワイヤー, (2) 第二大臼歯部に5°のtoe-in bendを加えたもの, (3) 第二大臼歯部に8°のtip-back bendを加えたもの, (4) 第一大臼歯部に8°のcrown lingual torqueを加えたもの, (5) 前歯部に1 mmのstep bend (圧下) を加えたもの, の5種類のアーチワイヤーを適用した際の真鍮棒の歪みを測定し, 荷重への換算を行った.ワイヤーのサイズは016"×016", 016"×02211,017"×025"のものを用いた.さらに, 各ブラケットにかかる荷重の大きさを算出し, 歯根表面積の平均値をもちいて単位面積あたりの矯正力の大きさを算出した.実験結果から, 矯正力の分布はアーチワイヤーの形態と, 隣接するブラケットの位置関係とによって決定されることが示された.ワイヤーに加えた屈曲は, ワイヤーサイズによって一定の効果を示さなかった.また, 単位面積当たりの矯正力は最大で2026.2mN/cm2であった.以上の結果から, 矯正臨床上好ましい効果を発現するように, ワイヤーのサイズ選択には注意が必要であることが示唆された.また, 矯正臨床において, 至適矯正力よりも大きな力が適用されていることが明らかになった.
  • Reiko SHIBAZAKI, Koutaro MAKI, Haruhisa NAKANO, Yoshinobu SHIBASAKI, A ...
    2002 年 22 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    In hemifacial microsomia (HFM), the major deficiency is seen in the mandible, but other craniofacial bony structures can be involved as well. This study was designed help establish baselines regarding Japanese craniofacial symmetry in the case of HFM symptoms that incorporate the deformity of not just the mandible but also of other craniofacial skeletal features. Six subjects between the age of 7 and 13 years were studied via three-dimensional computed tomography (3DCT) images and their occlusion. The subjects were classified as being of Pruzansky's Type II A, II B, or III. The Mandibular Deformity Scoring System (MDS), the Cranial Deformity Scoring System (CDS), and the Craniofacial Deformity Scoring System (CFDS) developed by Vaandrager are based on 3DCT reconstructions, which suggests that craniofacial morphological characteristics of HFM can be marked as the total score. We investigated the relationship between CFDS, 3D bone structure, and distinctive occlusion on each subject. The result indicated that the influence of dysplasia appeared mostly on the nasomaxillary component and on the corpus length and full length of the mandible. There were only minor differences in the lengths of ramus and lateral cranial base among the types by Pruzansky. The position of the temporomandibular joint was high compared with that of the control side because of nasomaxillary dysplasia. Therefore, regardless of the ramus length, the mandibular midline was shifted to the affected side. In the cranial area, in patients with Pruzansky type II B, the marlar bone, zygomatic arch maxilla part, and temporal part could have a much more severe appearance than in the patient with Pruzansky type II A. The CDS score for patients with Pruzansky type III were very different from patients in the other categories. CDS was conversely related to MDS; the Pruzansky's classification was not directly proportional to the CDS score.
  • 大城 卓寛, 塩谷 あや, 横谷 浩爾, 佐藤 友紀, 柴崎 好伸, 佐々木 崇寿
    2002 年 22 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ヒト乳歯の生理的歯根吸収の細胞機構を調べるため, 破歯細胞における液胞型H+-ATPase, カテプシンK, MMP-9, RANKLの免疫組織化学的発現を調べた.H+-ATPase, ライソゾーム性のタンパク分解酵素であるカテプシンK, MMP-9はそれぞれ, アパタイト結晶の脱灰と1型コラゲンの分解に重要な酵素群である.さらにRANKLは, 破骨細胞の形成と機能発現に重要な調節分子の一つである.破歯細胞は吸収中の歯根象牙質表面に, 波状縁と明帯を広範囲に形成した.免疫電子顕微鏡像では, 液胞型H+くATPaseの発現を示すコロイド金粒子の分布が破歯細胞の空胞の限界膜と波状縁の形質膜に沿って観察された.破歯細胞におけるカテプシンKは, 空胞内, ライソゾーム内, 波状縁の細胞間隙, および吸収面の象牙質表層の基質に観察された.破歯細胞におけるMMP-9の発現はカテプシンKの発現と類似していた.RANKLは象牙質吸収面に局在する単核の間質細胞と破歯細胞の両方に見出された.これらの結果から, (1) 破歯細胞はH+-ATPaseによるプロトンイオンの能動輸送によるアパタイト結晶の脱灰, そして (2) カテプシンKとMMP.9の両方による象牙質1型コラゲンの分解に直接関与しており, (3) 破歯細胞の分化と活性は, 少なくとも部分的には, RANKLによって調節され, さらに (4) RANKLは吸収組織において単核の間質細胞と破歯細胞自身によって生成されていることが示唆された.このように, ヒト乳歯の生理的歯根吸収における細胞機構は破骨細胞性骨吸収機構と極めて類似していることが明らかとなった.
  • 塩谷 あや, 大城 卓寛, 横谷 浩爾, 佐藤 友紀, 柴崎 好伸, 佐々木 崇寿
    2002 年 22 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    破骨細胞分化因子receptor activator of NFkB ligand (RANKL) は, 単核前駆細胞から破骨細胞への分化とその機能発現における重要な調節分子の一つである.著者らはラット臼歯の実験的移動時において, 歯周組織の構成細胞におけるRANKLの局在を免疫細胞化学的に明らかにした.歯槽骨に矯正的な負荷を加えるため, 歯科矯正用顎間ゴムを上顎第一, 第二臼歯間に4日間挿入した.歯の移動実験終了後に採取した上顎骨を化学固定および脱灰後, 作製した光顕用および電顕用切片を用いてRANKLの組織, 細胞内局在を免疫細胞化学的に観察した.RANKLタンパクの発現は, 骨芽細胞, 骨細胞, 線維芽細胞, そして吸収窩に存在する破骨細胞に認められた.骨芽細胞, 骨細胞, 線維芽細胞ではRANKLの局在は主に細胞質, 粗面小胞体, 形質膜に沿って観察された.破骨細胞ではRANKLは波状縁の膜に沿って, また明帯を含む細胞質に発現した.以上の結果から, 歯の矯正移動の間における破骨細胞の分化と活性化は, 骨芽細胞/問質細胞が産生するRANKLによって調節されることが考えられた.
  • 齋藤 茂, 田中 憲男, 三河 雅敏, 柴崎 好伸
    2002 年 22 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究では感圧型咬合紙のデンタルプレスケールを用い, 各種不正咬合患者の咬合接触面積 (OcAr) と咬合力 (OcFr) が器械保定中にどのような変化を起こすのかを縦断的資料によって比較検討した.対象は昭和大学歯科病院矯正科に通院中で, 以下の1-5) を満たすものをI, II, III級 (Cl.I, II, III) さらに外科的III級 (S-Cl.III) に分類した.1) 顎口腔系に臨床的な機能異常がなく, 2) 顔面の極端な非対称を呈さず, 3) 唇裂, 口蓋裂がなく, 4) 上下臼歯部に欠損や著しい歯冠崩壊がなく, 5) 第二大臼歯がすべて萌出, 咬合しているもの.以上の患者はすべてマルチブラケット装置による治療を終え器械保定中であり, デンタルプレスケールの採得は保定初期 (保定開始6か月未満), 中期 (同6か月以上1年6か月未満), 後期 (同1年6か月以上) の計3回行った.その結果, 男女のすべての不正咬合型に, 保定期間中のOcArとOcFrの有意な増加がみられた.OcArとOcFrの増加率には各不正咬合間に大きな差はなかったが, 男女ともS-Cl.III>Cl.I>Cl.II>Cl.IIIの順であった.従って男女ともR1ではCl.III>S-Cl.IIIであったOcArやOcFrはR3においては逆転した.女子におけるOcArとOcFrは各保定時期においてCl.I>Cl.II>Cl.III≒S-Cl.IIIの順であるが, 男子ではCl.IIが最も低く他の3型はほぼ同等であった.以上より, マルチブラケット装置による矯正治療を終え, 器械保定を行っている患者のOcArやOcFrは男女とも抜歯の有無や不正咬合型にかかわらず経時的に増加することが明らかになった.
  • 大嶋 貴子, 平川 崇, 吉田 佳恵, 柴崎 好伸
    2002 年 22 巻 2 号 p. 144-152
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    通常補綴的処置による咬合改善が図られていた両側性唇顎口蓋裂に対して, 成人後に顎裂部骨移植を併用して咬合を再構成することにより歯科補綴条件を著しく改善した治験例を報告する.症例は両側性唇顎口蓋裂の女性.口唇形成術を生後6ならびに9か月に, 口蓋形成を1歳9か月に実施, 7歳時矯正科初診し, 暫間的な咬合治療の後, 14歳時に補綴処置を実施した.治療方針再考の後, 23歳時に顎裂部に自家腸骨移植を実施し, マルチブラケットによる咬合再構成を行った.最終的に中切歯1本分の要補綴空隙を残し, 動的治療を終了した.結果として最小限の固定式補綴物の適用で咬合改善が図れたことで, 顎裂部骨移植の至適時期を逸した症例の咬合管理の可能性と限界を示唆することになった.
  • 大塚 純正, 栗林 泰, 柴崎 好伸
    2002 年 22 巻 2 号 p. 153-164
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 成人の外科的矯正患者が増加し, このような患者の治療については歯科矯正治療の他, 外科や歯科補綴科などによるチーム医療の考え方が定着している.本学歯科病院においてはこれら関連する診療科の診断や治療方針の調整・統一を図るため, 術前矯正治療開始前, 術前矯正治療終了時に各科合同の症例検討会 (MFC : Maxillofacial Conference) を開催している.当科においては, 患者情報やMFCの検討内容について患者毎の台帳 (用紙) を作成し記録している.しかし, 予定された外科手術や術後矯正治療, 最終的な結果の評価については, MFCが開催されないため把握することができない.加えて, これらの情報は時系列による積み上げで, コンピュータなどでデータベース化されているわけではない.そのため検索には直接台帳を検索することになり, 効率も悪く貴重な医療盾報が十分に管理・活用されているとは言い難い.そこで, 今回本学のLANを利用して, 新しく外科的矯正患者のデータベースを構築し, 患者のデータ入力を容易にするとともにデータの閲覧, 追加や検索を可能にしたので, その概要, 有用性ならびにデータセキュリティを含めた将来構想について報告する.
  • 昭和大学歯科病院歯科矯正科における10年間の統計
    和田 康弘, 大塚 純正, 柴崎 好伸
    2002 年 22 巻 2 号 p. 165-174
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口唇・口蓋裂患者においては, 歯数の異常が高頻度にみられる.既に, 口蓋裂と歯の欠如を伴う遺伝子変異が報告されているが, 他の顎裂や歯種についての遺伝子は不明な点も多く, より詳細な遺伝子解析が必要と思われる.そこでわれわれは, 今後の遺伝子解析の手がかりとして, 昭和大学歯科病院矯正科における口唇・口蓋裂患者388名を対象とし, 歯数異常と顎裂部位について調査を行った.1.口唇・口蓋裂患者の裂型別分布は唇顎口蓋裂が最も多く55.4%, 次いで口蓋裂が21.6%, 唇顎裂が18.1%, 唇裂が4.9%であった.性差は口蓋裂の女子が男子の1.9倍であった.その他の裂型は男子が女子よりも多かった.また, 左右側では唇顎裂, 唇顎口蓋裂で, 左側の発症が右側の2倍以上であった.2.顎裂部位については, 1▼3の型の顎裂部位が46.8%と最も多かった.次に1▼23の型が40.6%, 12▼3の型が7.4%であった.3.全ての裂型における歯数異常としては, 歯の欠如 (53.9%) が最も多かった.4.裂型別の歯の欠如は唇顎口蓋裂が最も高い数値を示し69.8%であった.次いで, 口蓋裂が38.1%, 唇顎裂が31.4%, 唇裂が26.3%であった.過剰歯は唇裂が21.1%, 唇顎裂が14.3%であった.5.口唇・口蓋裂患者全体における歯i数異常の歯種別発現頻度は, 上顎側切歯の欠如が220歯数と最も多く, 次いで, 上顎第二小臼歯120歯数, 下顎第二小臼歯の25歯数であった.6.裂型と歯種別発現頻度は, 唇裂は上顎側切歯の過剰が最も多かった.次いで上顎第二小臼歯の欠如であった.唇顎裂および唇顎口蓋裂は片側性, 両側性ともに上顎側切歯の欠如が多かった.口蓋裂の欠如は, 上顎第二小臼歯, 上顎側切歯の順に多かった.7.口唇・口蓋裂患者における歯の欠如は一様ではなく, 裂型によって異なる歯種欠如であった.
  • 東光 照夫, 星野 睦代, 久光 久
    2002 年 22 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 22 巻 2 号 p. 179-180
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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