最近の高解像度デジタルカメラの開発やコンピュータ処理能力の著しい向上により, 口腔内写真は, これまでの銀塩写真フィルムによるスライド写真から, デジタルカメラを用いたデジタル記録へと移行しつつある.さらに, 口腔内写真を添付した治療計画書作成や将来的な電子カルテの移行を勘案すると, 今後は画像の蓄積や加工に有利なデジタルカメラでの写真記録が一般化していくものと予測される.一方, デジタル記録環境は, 記録媒体であるハードディスク (HDD) の高速化や大容量化などにより整備されてきたとはいえ, 高解像度のデジタル画像化に伴うコストや時間的問題を無視できるものではない.同時に, 既存の銀塩スライド写真をデジタル化することも求められる.これまでに口腔内写真のデジタル化の検討には, 主として機器の性能に主眼が置かれ, 画像の保存や利用についての議論が十分ではなく, 臨床応用は十分に体制が整っているとはいい難い.そこで, 本研究では現在のデジタル・アナログ混在での口腔内写真の臨床応用を目的として, 必要最低限のデジタル写真撮影条件を検討した.その結果, デジタルカメラは640×480ピクセル (VGA), 内蔵ストロボ, マクロモード, デジタルズーム, 自動焦点での撮影により, 十分な画質のプリントや画像閲覧が可能であり, 臨床の場に必要な画像情報利用の可能性が示唆された.
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