昭和歯学会雑誌
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24 巻, 2 号
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  • 磁石の位置の変化が反発力に及ぼす影響の有限要素法による分析
    堀江 伸行, 渡邉 武之, 鈴木 潔, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    無歯顎難症例ではわずかな力により義歯床の偏位や移動が生じるため, 咬合調整の際の早期接触部位を検出するのは, 通常の方法では極めて困難なことが多い.筆者らはCoble intra-oralbalancerをもとに, 磁石の反発力を利用した咬合調整用補助装置を考案した.本装置は中心咬合位付近で反発力が最大となり, 口腔内で上下顎義歯床を顎堤粘膜に確実に圧接できるため, 義歯床は偏位, 移動することなく安定し, 中心咬合位での早期接触部位を正しく検出できる.しかし, 反発する磁力が顎位あるいは義歯の偏位に及ぼす影響は明らかではなく, 義歯の移動量によっては反発力が逆転する可能性もある.そこでこれらを明確にするために, 垂直間距離あるいは水平間距離を変化させた場合と, 下顎運動をシミュレーションした場合に反発力の大きさと方向がどのように変化するかについてを有限要素法を用いて検討した.その結果, 磁石間を平行に保った状態で垂直的に磁石を離していくと, 反発力は距離の自乗に反比例して減少した.磁石を上下義歯の中央に設置し下顎運動をさせた時に, 磁石が接触しないためには磁石間距離は5mm必要であり, その時の垂直反発力は974gfとなった.磁石間距離を5mmに保ち水平的に磁石を移動させたところ, 10mmで水平反発力の方が垂直反発力よりも大きくなった.口腔内の運動を想定した場合, 開口運動では開口量が大きくなるに従って垂直反発力は減少し, 水平反発力は増大した.開口量40mmで垂直反発力が水平反発力よりも小さくなった.前方, 側方運動では垂直反発力は移動量が大きくなるにしたがって減少し, 水平反発力が増大したが, その値はhorizontal condylar indicationの角度が大きくなるにしたがって, その減少は大きかった.したがって義歯の偏位, 移動を考慮すると開口量は30mm以内, 前方運動では8mm以内, 側方運動では16mm以内の移動量とする必要があることが判明した.この範囲の移動量であれば実際の臨床に応用可能であることが示唆された.
  • 安藤 正実
    2004 年 24 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    エアータービンハンドピースを介する院内感染を防止するため, 加熱媒体としてシリコンオイルあるいは流動パラフィンを用いるエアータービン専用の殺菌装置を開発し, Staphylococcusaureus (黄色ブドウ球菌) とEscherichia coli (大腸菌) を被験菌として殺菌効果を検討した.その結果, 130~140℃, 2-4分間の加熱処理によってハンドピース内の細菌を効果的に殺菌できることが明らかになった.これによってS.aureusと同程度の耐熱性を持つとされるB型肝炎ウイルスに対しても, 同等の処理で十分な不活化効果があることが示唆された.
  • 新實 一仁, 金石 あずさ, 芝 〓彦, 塚崎 弘明, 岩佐 文則, 平田 智秀
    2004 年 24 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    オゾンジェルを歯科領域で応用するため, 各種の微生物を用いて, 生成後24時間以内のオゾン濃度の異なる3種類のオゾンジェルと強電解酸性ジェルハードタイプの殺菌効果の比較および生成後24時間以内のオゾンジェルと生成後2か月間室温中に保存したオゾンジェルの殺菌効果について比較検討を行った.オゾンジェルの殺菌効果は10 ppmオゾンジェルでは作用直後E.. coli, P.aeruginosa, S.mzatans, B.subtilis, C.albicansの5菌株に殺菌効果が認められ, 検出限界以下の殺菌効果を認めたのがC.albicansのみであった.作用時間6時間経過後はE.coli, K.Pnezamonine, P.aeruginosa, S.mutans, S.aureus, C.albicansの6菌株に検出限界以下の殺菌効果が認められた.この殺菌効果は強電解酸性ジェルハードタイプよりやや優れていることが判明した.100ppmオゾンジェルでは10 ppmオゾンジェルと比較して殺菌効果は大きく, 1000ppmオゾンジェルではE.. coli, K.Pnezamonine, P.aerzaginosa, S.mUtans, S.aurezas, MRSA, S.epidermidis, C.albicansの8菌株に対して作用直後に検出限界以下の殺菌効果が認められた.生成後24時間以内のオゾンジェルと生成後2か月室温保存したオゾンジェルでは作用時間にかかわらず, E.coli, S.azarezasに対しての殺菌効果には相違が認められなかった.以上の結果から, オゾンジェルは即効性, 持続性の殺菌作用を有することからその応用範囲は拡大し, 臨床における応用に関しても有用であることが示唆された.
  • 小花 照之, 丸谷 善彦, 塚崎 弘明, 金石 あずさ, 松崎 孝徳, 玉置 幸道, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 110-118
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 歯科医療従事者への感染対策の一つとして, 印象および模型の滅菌, 消毒が注目されてきている.電解酸性機能水は従来の消毒薬と比べても遜色ない殺菌, 消毒効果を有していることからアルジネート印象体の殺菌, 消毒に有効であり特にアルジネート印象材の練和液として使用すると, 極めて有効であると報告されている.しかしアルジネート印象材への電解酸性機能水の練和液として使用した際の理工学的性質の変化についての研究はない.そこで本研究では電解酸性機能水を用いて練和したアルジネート印象材の硬化時間, 永久歪み, 弾性歪み, 寸法変化について比較検討を行った.各電解酸性機能水で練和したアルジネート印象材は硬化時間が短くなる傾向が認められた.弾性歪みおよび永久歪みともにJISの規定している範囲内であり, 水道水練和したものとほぼ同等の値を示した.また寸法変化は水道水練和と比べて差異 (p<0.05) は認められなかった.以上の結果から, アルジネート印象材への電解酸性機能水による練和は, 臨床に使用可能であることが示唆された.
  • 小門 茂, 岩佐 文則, 若林 克敏, 尾関 雅彦, 芝 〓彦, 立川 哲彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    当教室では, 高分子電解質錯体 (PEC) を用いた顎骨の再構築および骨組織の補填を目的とした研究を進めてきている.今回新たに開発したPECと粒径の異なる2種類 (直径200~500μm, 1000μm, 気孔率約35%) のハイドロシキアパタイト顆粒 (HAP) を用いてPEC-ハイドロシキアパタイトハイブリット体 (HAPEC ball) を作製し, 動物実験でHAP顆粒, PEC, HAPECballの生体親和性, 生体適合性および骨充填材基質としての可能性について検索した.その結果, HAPECballはHAP穎粒単独と比較して細胞の遊走を強力に促進させた.また時間の経過と共に炎症反応が減少し, 特に8週例では炎症性細胞浸潤はほとんど認められなかった.さらにHAPEC ballからのHAP顆粒の拡散, 流出は全く見られず, HAP顆粒の粒径による比較では200~500μmのHAPEC ballが1000μmのものよりも埋入時の形態を維持しており, 粒径が大きい1000μmのHAP顆粒の方が異物反応が大きかった.以上の結果から今回新たに開発したPECは生体親和性, 生体吸収性を有し, かつ細胞の遊走を強力に促進していた.また粒径200~500μmのHAP顆粒を用いることによりHAPECballの形態維持が大きく向上した.よって, HAPEC ballは生体材料として有用であることが示唆された.
  • 保存液へのトレハロースの添加
    大山 裕子, 大山 明博, 若林 克敏, 丸谷 善彦, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 127-138
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯の移植・再植の成功は歯根膜組織が密接に関与しており, これまで我々は臓器保存液であるUW液 (University of Wisconsin Solution) を使用して歯根膜組織の活性を長期間保持することを可能にした.そこで我々はさらなる長期保存方法を確立することを目的として, 保存液であるUW液と生理的食塩水にトレハロースを添加し, 氷温保存および凍結保存したヒト歯根膜由来線維芽細胞の生物学的活性を検索した.その結果, 細胞接着性試験および細胞増殖性試験のいずれにおいても, 生理的食塩水保存例と比較してUW液保存例が良好であった.また保存方法では氷温保存群が凍結保存群と比較して良好であり, 長期間の保存でも細胞の機能を保持することが可能であった.トレハロースは添加濃度の違いによる明らかな差異を認めなかったが, 接着および細胞増殖試験において良好な結果を得られたことから, 有用であることが示唆された.
  • 波多野 浩之, 平田 智秀, 石川 俊哉, 川島 玄登, 丸谷 善彦, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 139-152
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年臨床に応用されてきているキャスタブルセラミッククラウンは審美性, 生体親和性に優れ, 低熱伝導性, ロストワックス法により製作することができる長所を有しているが, 一方強度の不足により破折が生じるという問題が指摘されている.そこで今回我々は, キャスタブルセラミッククラウンの強度に接着性レジンセメントの硬さが影響を及ぼすかどうかを明らかにすることを目的として, 三次元有限要素法を用いて応力解析を行った.応力解析モデルは右側下顎第一大臼歯が存在する下顎骨標本を用いた.キャスタブルセラミッククラウンはキャスミッククラウンを想定して, 合着材はヤング率が異なる接着性レジンセメントを想定した.荷重点は頬側咬頭の外斜面および咬頭頂, 荷重方向は歯軸方向, 頬側20°方向および舌側20°方向に変化させた時のキャスタブルセラミッククラウン, 支台歯, 周囲組織に生ずる内部応力の差異について三次元有限要素応力解析法を用いて比較検討を行った.以上の結果から次の結論を得た.1.キャスミッククラウンに生じる引張応力は荷重点および測定点が変化すると, セメントのヤング率の大きさによる影響は変化した.2.荷重点が同じでも荷重方向が変化するとキャスミッククラウンに生じる引張応力はセメントのヤング率の大きさによる影響が変化した.3.臨床ではキャスミッククラウンは合着するセメントのヤング率が大きいほど破折の危険が小さくなることが示唆された.4.セメントのヤング率が大きい方がヤング率が小さいものより歯髄周囲象牙質部に与える影響は小さいことが示唆された.5.歯根膜ではセメントのヤング率の大きさによる影響は少ないことが示唆された.
  • 加瀬 智夏, 塚崎 弘明, 原 由利子, 金石 あずさ, 小林 茉莉, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 特殊な電解装置を用いてグリセリン水溶液に食塩を加え電気分解して生成される強電解酸性ジェルが開発された.このジェルは創傷治癒効果を有し, グラム陰性通性嫌気性桿菌に対して殺菌効果を示すのみならず耐性菌の出現がないことが報告されている.そこで我々は強電解酸性ジェルを歯周病治療の歯周ポケット内への局所投与に応用することを目的として, invitroで歯周病原性が強いとされるグラム陰性偏性嫌気性桿菌Porphyromonas gingivalis と、Fuasobacterium nucleatum の2種4菌株に対する殺菌効果と, in vivoで歯周ポケット内に強電解酸性ジェルを投与し, その臨床症状と歯周ポケット内の細菌および黒色色素産生性嫌気性桿菌に対する影響について検討を行った.in vitroでは強電解酸性ジェルソフトタイプ (グレープ無) は4菌株全てにおいて作用直後から殺菌効果が認められた.強電解酸性ジェルハードタイプ (グレープ有) は標準株2菌株に対して作用時間10分から殺菌効果を示し, 臨床分離株2菌株においては作用直後から殺菌効果を示した.強電解酸性ジェルハードタイプ (グレープ無) は臨床分離株P.gingivalisに対して作用直後から殺菌効果が認められ, その他3菌株に対しては作用時間10分から殺菌効果を示した.in vivoでは強電解酸性ジェルソフトタイプ (グレープ無) は歯周ポケット内投与1, 3, 7日後で投与直前と比較して有意に菌数の減少を示した.これはペリオフィール®とほぼ同墜の結果であった.孟の他3種のジェルでは有意差が認められなかった場合でも菌数の減少傾向をmした.また, 投与剛後の臨床症状の変化には有意差は認められなかった.以上の結果から強電解酸性ジェルはグラム陰性偏性嫌気性桿菌に対して強力な殺菌効果を示し, 歯周ポケット内細菌を減少させる効果があることがわかった.
  • 外冠の厚み, 使用金属の変化と維持力との関係について
    小六 英斗, 塚崎 弘明, 丸谷 善彦, 大森 悠, 椎名 幸恵, 芝 〓彦
    2004 年 24 巻 2 号 p. 160-171
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    コーヌスクローネの外冠金属の厚さ (0.4, 0.6, 0.8mm) を変化させ, また硬さの異なる2種類の金属 (白金加金・デグロールM, チタン含有コバルトクロム合金・デンチタン) を外冠に適用してコーヌス角 (4°, 6°, 8°, ), 内冠の高径 (2, 4, 6, 8, 10mm), 荷重量 (5, 10, 15kgf) の組合せを変化させて, コーヌスクローネの維持力への影響を検討することを目的として基礎的実験を行った.その結果, デグロールMはすべてのコーヌス角, 荷重条件下において, 外冠の厚さが厚くなるに従って維持力は小さくなる傾向を示したが, その減少率は荷重量が増えるに従って各コーヌス角ともに一定の値を示した.また, いずれの厚さの外冠においても, コーヌス角が大きくなるに従って維持力の平均値および標準偏差が減少する傾向を示し, また荷重量の増加に伴って維持力が増加する荷重依存性を示した.デンチタンの維持力は, デグロールMと同様コーヌス角が小さくなるに従ってまた高径が高くなるに従って維持力が増大する傾向を示した.しかしデグロールMと比較して各コーヌス角および各高径による維持力の差は小さく, 低い高径および大きいコーヌス角にもかかわらず高い維持力を示した.またすべての外冠は荷重増加に従って維持力が増加する荷重依存性を示した.デンチタンはすべての高径においてデグロールMと比較して強い荷重依存性を示した.また金属の違いにより維持力の発現傾向は異なった.デンチタンは歪みそのものに関わってくる荷重量の影響を大きく受けたが, コーヌス角や高径などの影響はデグロールMほど端的には現れなかった.
  • 太田 亮, 丸谷 善彦, 芝 〓彦, 鈴木 潔, 平田 智秀, 玉置 幸道, 宮崎 隆
    2004 年 24 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    タンは耐蝕性, 生体親和性に優れ, 機械的性質はタイプIV金合金と近似しているため歯科用金属として望ましい性質を備えているが, 融点が高く, 高温時の化学的活性が高いので鋳造性の困難さと, 難削材料であるため研磨の困難さが指摘されている.このようなチタンを用いて合理的に高精度な歯冠補綴物を製作するため, 歯科用CAD/CAMシステムが用いられているがその適合精度に関しては課題が残されている.そこで, パターンモデルの計測データから作製された切削パスをX軸, Y軸, Z軸に対して, 0.3%, 0.5%, 1.0%の拡大を行い, クラウン内面の適合性について比較検討した.その結果, 1.0%拡大で製作した純チタンクラウンのマージン部のセメント被膜厚さの平均値および標準偏差は51.6±28.1μmであり, 内面全体のセメント被膜厚さの平均値と標準偏差は35.9±14.7μmであった.以上のことから1.0%拡大で製作した純チタンクラウンが臨床に応用できる可能性があることが示唆された.
  • 宮田 昌和, 小林 誠, 滝口 尚, 高田 貴虎, 長谷川 紘司
    2004 年 24 巻 2 号 p. 179-186
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 骨誘導タンパク (BMP) の歯周組織再生治療への応用が検討されている.これまでに我々は, BMP-2がヒト歯根膜細胞 (HPDL細胞) の骨芽細胞様分化を促進し, またこのBMP-2の作用はプロスタグランデインE2 (PGE2) により促進的に制御されることを明らかにしている.そこで本研究では, このPGE2によるBMP-2依存的な骨芽細胞様分化の促進の機序について検討したところ以下に示す結果が得られた. (1) PGEレセプター (EP) 2, EP4の各アゴニストはPGE、と同様にHPDL細胞におけるBMP-2依存的なアルカリフォスファターゼ (ALP) 活性の上昇をさらに充進する. (2) PGE2やEP2, EP4の各アゴニストによるBMP-2依存的なALP活性の上昇の充進にはcAMPが関与している可能性がある. (3) PGE2やEP2, EP4の各アゴニストはプロテインキナーゼA (PKA) を介してBMP-2依存的なALP活性の上昇を充進する. (4) EP2/EP4-cAMPを介したシグナルはCREBをリン酸化し, 一方BMP-2シグナルはSmad1をリン酸化する.以上の結果から, ヒト歯根膜細胞においてPGE2はEP2/EP4-cAMP依存的PKAカスケードを介してBMP-2依存的な骨芽細胞様分化の促進を助長することが確認された.
  • 倪 雪岩, 伊田 博, 五十嵐 武, 後藤 延一, 鈴木 基之, 長谷川 紘司, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2004 年 24 巻 2 号 p. 187-195
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は, 小児口腔内からPorphyromonas gingivalis (P.g.), Actinobacillus actinomycetemcomitans (A. a.), Prevotella intermedia (P. i.) , およびBacteroides forsythus (B.f.) の4菌種をPCR法で検出し, その検出結果と臨床診査との関係について検討した.被験児は本学小児歯科外来を受診し, 全身的に健康な小児37名とし, 上顎右側中切歯 (FDI11) と上顎右側第一大臼歯 (FDI16) の近心唇側・頬側面から歯肉縁上プラークを採取した.細菌の検出は, プラーク抽出DNAを鋳型とし, 菌種特異的なプライマーを用いたPCR反応により行った.また, 臨床診査は口腔内診査, ProbingDepth, およびBOPの有無について行った.臨床診査結果から対象とした小児37名は, いずれも歯周疾患に罹患していなかった.本研究における歯肉縁上プラーク中の歯周病関連細菌の検出結果では, P.gで21.6%, A.a., P.i, B.f., の3菌種では55~58%の検出率であった.年齢別でみると, A.a., P.i, B.f.の検出率は混合歯列期に高く, 永久歯列完成期では低い傾向を示した.また, BOPの有無と検出率との関係では, P.g.ではBOP (-) 群とBOP (+) 群の検出率に差はなかった.、A.a., P.i, B.f.では, BOP (一) 群に比べ, BOP (+) 群の方が高い傾向を示した.本研究では, 6~18歳の小児の歯肉縁上プラーク中に歯周病関連細菌が高頻度に存在したことが示された.また, 歯周疾患の予防の点から将来歯周疾患に罹患するリスクの高い小児を早期にスクリーニングし, 小児期から対処する必要性が示唆された.
  • Yukiko MAEDA, Tarou IRIE, Tadateru AIDA, Tetsuhiko TACHIKAWA
    2004 年 24 巻 2 号 p. 196-203
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Vascular endothelial growth factor (VEGF) is a factor that induces angiogenesis and lymphangiogenesis and increases vascular permeability. VEGF is important in solid cancers for their growth, and its significance as a prognostic factor in cancer patients was also found in clinical studies. c-jun N-terminal kinase (JNK) plays a large role in the regulation of VEGF expression. A human oral squamous cell carcinoma cell line that constitutively expresses VEGF-A and VEGF-C was established. This cell line was treated with an inhibitor of JNK (SP600125), and the relationship between JNK and VEGF-A/VEGF-C expression was studied by real-time reverse transcription-polymerase chain reaction and Western blotting. We found that upon the addition of SP600125, the level of VEGF-A mRNA was elevated up through 12 h in comparison with that in the untreated group, but the level of VEGF-C mRNA was elevated only at 6 h. As to the effect of SP600125 on the protein levels of VEGF-A and VEGF-C, there were reduced levels of VEGF-A and VEGF-C at 3 h and increased levels of these proteins at 6 h. These results indicate that JNK plays a large role in regulating VEGF-A expression at the transcriptional level. As to VEGF-C expression, our results suggested that a molecule (s) other than JNK regulates VEGF-C expression. It was found that SP600125 did not affect the mRNA level and protein level of VEGF-A or VEGF-C in a similar manner, and the possibilities of posttranscriptional control of these proteins and increase in secretory capacity into the culture medium were considered. It is suggested that the levels of c-jun and p-c-jun affect the expression of VEGF-A and VEGF-C in vivo. The present results showed that JNK is involved in the regulation of VEGF-A and VEGF-C expression in oral squamous cell carcinomas.
  • 久保田 雅人, 槇 宏太郎
    2004 年 24 巻 2 号 p. 204-214
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    外科的矯正の適応には数多くの要因が加味されるため, その判定基準は一定ではなく, また矯正治療単独で治療することが可能かの判定基準も曖昧である.本症例はoverjet-5mm, overbite+3.5mmで前歯部の反対咬合が認められる下顎の過成長による骨格性下顎前突症である.また正貌においては下顎の右側への偏位が認められたことから, 外科的矯正の適応症例であると思われた.しかし患者から外科矯正回避の希望があったため, 過剰歯を含む変則的な9本の抜歯を行い, 矯正治療単独で治療を行った.外科的矯正を併用しないことにより, (1) 顔貌の非対称の改善がなされていない (2) 正中線が上下で一致していない (3) overjetに左右差が認められる (4) 左右大臼歯部における頬舌的トルクの左右差が認められるなどの問題点が残された.また保定後も若干不安定な様相が認められた.骨格的な歪みを残したまま咬合の再構築を行う場合は, 顎顔面形態の3次元的把握と口腔周囲機能との関連性についてより多くの情報を解析し治療目標を設定するとともに, 従来の咬頭嵌合を確立するという目的を考え直す必要性が認められた.
  • 高江洲 慶, 松井 義郎, 松浦 光洋, 大野 康亮, 金 修澤, 佐藤 裕二, 宮下 元
    2004 年 24 巻 2 号 p. 215-222
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Branemark System® Novumは, 下顎無歯顎症例に対する即時負荷型インプラントシステムである.本システムではまず数種類のドリルとテンプレートを用いて3本のフィクスチャーを3次元的に正確な位置, 方向に埋入する.各フィクスチャーを既製のロワーバーで連結した後, その上部に人工歯を排列したアッパーバーを鋳造操作なしに連結する.このように補綴治療が簡略化されているため, 患者はフィクスチャー埋入手術当日あるいは翌日に上部構造を装着できる.われわれは歯周病のため下顎残存歯がすべて保存不可能であった62歳の男性に対し, 本人が治療期間の短縮を強く希望したために本システムを適用した.1年経過後まで特に問題はみられず, 患者も治療結果に極めて満足している.本論文は, この症例の治療経過と本システムを適応するための診断基準について記載している.下顎無歯顎症例に対して下顎無歯顎用即時負荷型インプラント (Branemark System® Novum) を適用したことで治療期間が短縮された.術後経過は特に問題なく, 患者の満足度も高かった.今後, さらに症例を重ね, 従来法と本法との比較を行っていく予定である.
  • 向山 賢一郎
    2004 年 24 巻 2 号 p. 223-225
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 24 巻 2 号 p. 227-229
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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