昭和歯学会雑誌
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24 巻, 3 号
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  • 岡野 友宏
    2004 年 24 巻 3 号 p. 241-254
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    英国における歯学教育の現況を視察すること, および問題基盤型学習 (PBL) を導入したクラスに参加することによって, 今後の本歯学部における新しい歯学教育を展望できる資料を得ることを目的とした.英国歯科評議会 (General Dental Council, GDC) を訪問し, 英国における歯科医療の質の確保, ことに歯学教育の質的保証について, その考え方を把握した.そこでは2002年に出版されたThe First Five Yearsを取得し, その内容について後日, 検討した.PBLを導入したリバプール大学・マンチェスター大学を訪問し, 教育担当教員と協議し, また学生との話し合いの機会をもった.また取得した資料については後日, 検討した.その結果, GDCの役割は歯科医師を含むすべての歯科専門職の教育基準と資格の授与を通じて, 歯科医療の水準を確保し, 患者を保護することにあり, GDCは歯学教育の質的保証を果たしていると思われた.一方, PBLについてはこれを導入した歯学部はすでに従来の専門領域別の授業はなく, 学期ないし学年ごとに統合型であり, また最初の2年間は医学部との同-・プログラムをその約半分の時間に導入し, からだの構造・機能と疾患についてPBLを通じて有機的に学んでおり, 多くの学生の賛同を得ていた.PBLを導入する場合にはその「下地」作りが重要と思われた.
  • 森崎 弘史, 五十嵐 武
    2004 年 24 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus aclinomycetemcomitansが産生する細胞致死膨化毒素 (Cytolethal Distending Toxin : CDT) は, 哺乳動物細胞の増殖を阻害し, 細胞膨化と細胞死を引き起こすタンパク毒素である.本研究では組換え大腸菌で産生した、A.aclinomycetezcomitansのCDTを用いて, ヒト培養細胞 (HeLa細胞およびヒト胎児肺線維芽細胞TIG-7) のCDT感受性を, 細胞形態および細胞数の変化から評価した.CDT処理の細胞形態への影響を調べたところ, HeLa細胞は処理2日目で丸みを帯び, 処理4日目で大きさが約5倍以上に膨化していた.これに対して, TIG-7細胞では処理2日目では形態変化が観察されず, 処理4日目でも若干の膨化を示すにすぎなかった.しかし, どちらの細胞もCDT処理後, 増殖停止が観察された.次に, CDTの処理濃度を変化させて細胞数の変化を調べたところ処理濃度の違いによる目立った変化は認められなかった.しかし, CDT処理後の生存率はHeLa細胞とTIG-7細胞で大きく異なり, 処理7日目の生存率はHeLa細胞で5%以下, TIG-7細胞で約20%を示した.加えて, 生存したTIG-7細胞は, その後の継代で増殖はしないが死滅することなく生存し続けた.これらの結果は, A.actinomycetemcomitans のCDTは宿主細胞に対して細胞膨化と長期間の細胞増殖停止を誘導することで, 感染促進因子としても働く可能性を示唆した.
  • 表面硬さの影響
    赤坂 (水島) 彩子, 吉元 奈美恵, 割田 研司, 石浦 雄一, 樋口 大輔, 川和 忠治
    2004 年 24 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 前装冠用硬質レジンは歯冠色補綴材料として広く臨床で使用されているが, 色調安定性にはいまだ改善の余地があることが知られている.著者らは6種類の前装冠用硬質レジンをコーヒー液に浸漬した結果, 1週後からすべてのレジンに肉眼的に認識できる色調変化が観察されたこと, また, デンティン色よりもエナメル色で, 研磨面よりもガラス面で色調変化が大きかったことを報告した.そこで本研究では, 前報で用いた試料を用いて, レジンの重合度の指標として試料表層の硬さを測定し, 前装冠用硬質レジンのコーヒー液浸漬による色調変化と試料表面の硬さとの関連について検討した.その結果, 同一製品内においては, ガラス面に比べ表層の重合度がより高いと思われる研磨面では色調変化は小さく, 表面硬さは大きくなる傾向を示した.しかしながら, 製品間でみると一定の傾向はみられず, 製品ごとに特徴があると思われた.また, レジンの組成と色調変化および表面硬さとの間にも関連性はみられなかった.
  • 渡辺 仁資, 伊東 大典, 住谷 要, 岩瀬 正泰, 山本 剛, 入江 太郎, 立川 哲彦, 南雲 正男
    2004 年 24 巻 3 号 p. 267-272
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    神経鞘腫は有髄神経のSchwann細胞の増殖からなる良性腫瘍であり, 多くは周囲組織との境界が明瞭な腫瘤として認められる.好発部位は中枢神経系で, 口腔領域での発症はまれである.今回われわれは, 口腔内に発症した神経鞘腫6例を経験したので, その概要を報告する.患者はいずれも口腔内の腫瘤あるいは小腫瘤を主訴として来院した.性別は男性1名, 女性5名, 発症部位は舌4例, 口唇2例であった.全例局所麻酔下にて摘出術が行われ, 病理組織学的には, Antoni A型が4例, Antoni B型が1例, Antoni A型・B型混在型が1例であった.今回経験した6例すべて再発の徴候はなく, 予後は良好である.
  • 樋口 大輔, 川和 忠治, 久保田 雅人, 槇 宏太郎, 鍛治田 忠彦, 渡辺 昌明, 胡田 由美子, 大野 育代, 石田 和弘
    2004 年 24 巻 3 号 p. 273-276
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    上顎側切歯欠損を伴う唇顎口蓋裂患者に対して, 形状記憶合金を併用した接着ブリッジを用いて補綴処置を行った.削除量が少ない接着ブリッジは, 上顎前歯部一歯欠損に対して理想的な補綴方法の一つとして考えられた.
  • 松井 義郎, 大野 康亮, 松浦 光洋, 山崎 善純, 代田 達夫, 片岡 竜太, 森 紀美江, 道脇 幸博, 高橋 浩二, 立川 哲彦
    2004 年 24 巻 3 号 p. 277-286
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍患者に対する治療の有効性, 問題点を明らかにするために, 昭和大学歯科病院旧第一口腔外科で治療を行った口腔扁平上皮癌1次症例251名の治療成績をI期 (1990年以前) とII期 (1991年以降) に分けて検討した.その結果, I期症例の累積生存率は5年時に77.4%, 10年時に71.8%であったのに対し, II期は5年時, 10年時とも79.4%と全体では治療成績の向上が認められた.部位別の累積生存率は頬粘膜, 舌, 下顎歯肉で高く, 上顎歯肉で低かった.I期と比べII期のT分類別5年累積生存率は, T2では上昇したものの, T3, 4では低下していた.I期と比べII期のN分類別累積生存率は, NOで上昇し, N1, 2で低下していた.I期と比べII期のStage分類別5年累積生存率は, StageIIで上昇していたが, StageI, III, IVで低下していた.治療法別累積生存率は, 手術単独あるいは手術と化学療法併用のほうが, 三者併用療法よりも高かった.以上の結果から今後, とくに進行癌患者に対する新たな治療法を積極的に開発するとともに, 一定以上の治療技術を持つ人材を育成することの必要性が示唆された.
  • 高橋 由香, 代田 達夫, 松浦 光洋, 宇山 理紗, 松原 太明, 松井 義郎, 南雲 正男
    2004 年 24 巻 3 号 p. 287-290
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    鼻腔内に歯冠が萌出した逆生歯を1例経験した.症例は22歳男性で, 鼻腔内の精査を希望して当院を受診した.本症例の確定診断は内視鏡検査によって得られたが, 逆生歯の萌出位置, 形態および周囲組織との関係などに関する詳細な診断には, コンビームCTが有用であった.今回の症例は逆生歯の萌出位置が比較的後方部に位置していたため, 全身麻酔下で口腔内から摘出した.その後, 合併症を伴うことなく, 良好な結果が得られた.
  • 荒木 和之, 岡野 友宏
    2004 年 24 巻 3 号 p. 291-294
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 24 巻 3 号 p. 355-359
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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