昭和歯学会雑誌
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26 巻, 2 号
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  • 黒滝 眞依子
    2006 年 26 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    4種類のdentin primer (2-HEMA, P-GM, TEGMA, PEGMA) が象牙質の知覚に与える鈍麻効果を検討するために, ウサギを用いて電気生理学的実験を行った.下歯槽神経の分枝である歯髄枝上に発生した活動電位発生頻度を調べた結果, TEGMAと2-HEMAにおいては, コントロールとプライマー塗布, およびプライマー塗布と生理的食塩水による洗浄後に, 機械的刺激で発生した活動電位頻度の間に統計学的有意差が認められた.TEGMAと2-HEMAおよびp-GMによるプライマー塗布後の活動電位発生頻度の間には統計学的有意差は認められなかった.p-GMではコントロールとプライマー塗布における活動電位発生頻度間でのみ統計学的有意差が認められた.
  • 日向 あすか, 堀口 英之, 八上 公利, 安原 理佳, 趙 宝紅, 山田 篤, 南雲 正男
    2006 年 26 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    腫瘍壊死因子α (Tumornecrosis factor-α, TNF-α) は免疫応答, 炎症反応, アポトーシスなどに関与する代表的な炎症性サイトカインで, 関節リウマチなどの炎症性疾患の原因因子の1つであると考えられている.我々は, 当教室にてヒト骨肉腫より樹立した軟骨細胞様細胞USACを用い, 軟骨細胞においてTNF-αで誘導されるアポトーシスとNF-κBの活性化との関係を検討した.TNF-α処理によりUSAC細胞内では1κB-αのリン酸化および分解に伴うNF-κB活性化が認められた.また, NF-κBのサブユニットであるp65の核移行を特異的に阻害する物質, caffeic acid phenethyl ester (CAPE) で処理したところ, TNF-αにより誘導されるNF-πBの核移行が完全に阻害された.CAPEによりNF-κBの活性化が阻害された細胞では, TNF-αにより誘導されるアポトーシスが充進し, その生存率は有意に低下した.以上の結果から, USAC細胞においてNF-κBはアポトーシスの抑制に関与している可能性が示唆された.
  • 西馬 伸幸, 角田 左武郎, 吉澤 泰昌, 八上 公利, 南雲 正男
    2006 年 26 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    グルココルチコイドは関節リューマチや各種関節疾患の治療に広く用いられているが, 大腿骨骨頭壊死あるいはステロイド骨粗籟症による骨折などの重篤な副作用が問題となっている.口腔外科領域においても, グルココルチコイドの副作用として下顎頭骨頭壊死が報告されている.我々は過去にin vivoin vitroで軟骨細胞あるいは骨芽細胞の形質を発現する細胞株 (USAC) を樹立することに成功した.本研究では, USACの増殖と骨芽細胞様細胞あるいは軟骨細胞様細胞への分化に対するdexamethasone (DEX) の効果を検討した.その結果, DEXは細胞増殖を濃度依存的に抑制した.コンフルエント直前にDEXを添加すると, 24時間後には軟骨細胞や骨芽細胞の分化マーカーであるムコ多糖, タイプIIコラーゲン (Col II) およびオステオカルシン (OC) の産生が促進された.しかし, 石灰化の開始に重要であるアルカリフォスタファーゼ活性の上昇はみられなかった.一方, DEXを添加して3日間, あるいは7日間培養すると, OCとCol II のmRNAの発現およびそれらのタンパク質産生は減少した.BMP-2にて前処理した細胞でも, DEXはOCとCol IIの発現を促進した.その発現変化は, Col IIよりもOCで著明であった.以上の結果から, DEXはUSACの細胞増殖を抑制するだけでなく, 細胞の分化も調節することが示唆された
  • 前田 昌子, 鶴岡 正吉, 井上 富雄
    2006 年 26 巻 2 号 p. 141-151
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    青斑核からの下行性ニューロンの活動は三叉神経脊髄路核および脊髄後角で痛覚信号を抑制する.青斑核からの下行性投射は両側性である.最近, 反対側の脊髄後角に投射する新たな青斑核ニューロンの存在が示唆されている.本研究の目的は, 青斑核からの新たな下行性投射の存在を確認することと, このニューロンの軸索が脊髄内を下行する経路を明らかにすることである.ペントバルビタールで麻酔し, 人工呼吸下で管理されたラットの脊髄後角から単一ニューロンの応答をガラス管微小電極法により細胞外記録した.抑制効果は受容野に与えた熱侵害刺激に対するニューロン応答の減少により評価した.ニューロン記録部位と反対側の青斑核に電気的に刺激 (100Hz, 100μA, 0.1ms矩形波) を加えるか, あるいはニューロンの細胞体を活性化するグルタミン酸 (50nM, 1μ1, pH6.8) を注入すると, 後角ニューロンの熱受容応答に対する抑制は依然として観察された.この抑制効果は青斑核の破壊で消失した.また, ニューロン記録部位と反対側の脊髄後角にヨヒンビン (α2受容体拮抗薬, 1.0mM) を投与してノルアドレナリン伝達を阻止したときも, 後角ニューロンの熱受容応答に対する抑制効果はみられた.ニューロン記録部位と反対側の後外側索の切断は, 後角ニューロンの熱受容応答に対する抑制効果に影響を与えなかった.一方, 前外側索の切断および前外側索への塩酸リドカイン (4%, 1μ1) 注入による可逆的伝導ブロックにより, 青斑核刺激による抑制効果は消失し, 60分後に回復した.これらの結果は, 青斑核からの軸索が同側の脊髄前外側索を下行し, 脊髄内で正中線を横切って反対側へ投射する青斑核ニューロンの存在を示唆している.
  • -音響分析法による検討-
    杉山 智美, 井上 美津子, 鈴木 規子, 齋藤 浩人, 佐々 龍二
    2006 年 26 巻 2 号 p. 152-162
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    学童期まで完成しにくいといわれている [s] 構音について, 構音器官の1つである歯の交換の影響を検討することを目的として, 音響分析を行った.被験者は健常小児42名および健常成人男性7名とし, すべての被験者に対して口腔内診査と随意運動検査を行った.小児に関してはHellmanの歯齢に加えて切歯の連続性に着目して3群に分類し, さらにすべての被験者に対して聴覚印象による診断を加えて分類, 検討した.音響分析は, 不偏推定法によるケプストラム平滑化対数スペクトルを用い, 描出されたスペクトル包絡の音圧が最も高い値を示した部位の周波数値 (以下最大ピーク値とする) について検討を行った.また, 同じサ行音である [∫] 構音についても同様に分析を行い, [∫] 構音との比較を行った.被験音としては先行および後続母音を [a] とするVCV音節 [asa] [a∫a] を用いた.結果は以下のとおりである.1.構音時の聴覚印象では, 乳切歯で連続性の保たれている群 (乳切歯群) においては, 構音が発達途上の小児が過半数を占め, 永久切歯で連続性の保たれている群 (永久切歯群) では構音が完成した小児が大半を占めていた.2. [s] 構音が完成している小児の [s] 構音の最大ピーク値の平均値は成人より高く, また [∫] 構音時と比較すると [s] 構音時の最大ピーク値は小児, 成人ともに高かった.3.小児の [s] 構音完成群では, [s] [∫] 構音時の最大ピーク値はともに成人より高い値を示した.また, [∫] の最大ピーク値は乳切歯群の方が永久切歯群より高くなっていたが, [s] の最大ピーク値は乳切歯群と永久切歯群で明らかな差異はみられなかった.4.切歯交換群の最大ピーク値を他の構音完成小児群と比較したところ, [∫] では切歯の連続性にかかわらず, 最大ピーク値が増齢的に低下する傾向がみられたが, [s] では切歯交換群を含めて小児群間での著しい差異は認められなかった.5. [s] と [∫] の音響学的相違を最大ピーク間距離によって検討した結果, 切歯交換群で最もピーク距離が短く, 永久切歯群, 乳切歯群, 成人群の順で長くなる傾向がみられた.以上の結果より, 今回用いた分析方法では, 健常小児の [s] 構音時の最大ピーク値は個体差が大きく, 切歯の交換による影響は明らかではなかった.しかし, 同一個体では, 切歯の交換期に [s] と [∫] の最大ピーク値が近似する傾向があることが示唆された.
  • 健常成人を対象として
    中山 裕司, 高橋 浩二, 宇山 理紗, 平野 薫, 深澤 美樹, 南雲 正男
    2006 年 26 巻 2 号 p. 163-174
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    音響特性による嚥下障害診断の重要な手掛かりとなる嚥下音について, その産生部位や部位に対応した音響特性は明らかとされていない.そこで嚥下音の産生部位と音響特性を明らかにする目的で, 画像・音響分析プログラムを新たに構築し, 健常者を対象として嚥下音産生時の造影画像と嚥下音音響信号データの同期解析を行った.対象は健常成人12名で, 各被験者8嚥下ずっ計96嚥下にっいて食塊通過時間の測定, 食塊通過音の識別と出現頻度の解析, および最大ピーク周波数の評価を行った.食塊通過時間は喉頭蓋通過時間 (121.7±92.4msec), 舌根部通過時間 (184.8±70.6msec), 食道入口部通過時間 (342.9±61.1msec) の順で長くなり, 舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音および食道入口部通過終了音が識別された.このうち喉頭蓋通過音が最も出現頻度が高く (96嚥下中94嚥下), 嚥下ごとの通過音の出現状況では舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音の4音が出現するパターンが96嚥下中22嚥下 (22.9%) と最も多くみられた.また最大ピーク周波数の平均値の比較では食道入口部通過開始音 (370.7±222.2Hz) が最も高く, 続いて食道入口部通過途中音 (349.1±205.4Hz), 舌根部通過音 (341.2±191.3Hz), 喉頭蓋通過音 (258.6±208.2Hz), 食道入口部通過終了音 (231.2±149.8Hz) の順であった.本研究により嚥下音の産生部位と産生喜附に対応した音響特性が明らかとなった.
  • 関 健次, 荒木 和之, 木村 幸紀, 佐野 司, 花澤 智美, 松田 幸子, 山本 実佳, 田谷 あつ子, 原瀬 裕一, 辻有 里子, 土 ...
    2006 年 26 巻 2 号 p. 175-184
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    X線CTは口腔・顎・顔面領域の疾患の診断に有用であり, 昭和大学歯科病院にも1990年に導入されたのちに, 2003年に多列検出器CT装置 (MDCT) に更新された.CT設置後15年が経過したので, これまでの検査の概要を集計し, 本院におけるCTの適用にっいて検討するとともに, 費用・収入についても検討した.検査件数は徐々に増加し, 現在は年間1,200例程度で推移している.特に多いのは, 悪i生腫瘍およびインプラントに関連した検査である.悪性腫瘍の症例では初診時における診断や, 治療方針の決定から, その後の経過観察にいたるまで頻繁に利用されていた.インプラントの症例では, 術前評価にCTが有用であり, 学内外から, 多くの検査依頼があった.この他には, 顎骨周囲の蜂窩織炎や膿瘍の症例で検査依頼があった.装置購入費と維持経費のみをCTの支出とすると, CTの収支は収入が支出を大いに上回った.これは一般開業歯科医との連携による検査紹介が多いためであった.本院においては今後, 腫瘍や炎症の診断にはMRIや超音波検査が, またインプラントにはコーンビームCTの活用が予測されるが, 現時点ではCTは本院における必須の装置と考えられ, また病院収入に寄与していることが示唆された。
  • 能村 俊吾, 平出 隆俊, 愼 宏太郎
    2006 年 26 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    今回, 筆者らは上下顎前歯部に叢生を有する成人女性に対し, マルチブラケット法により大臼歯の遠心移動を行うことでスペースを獲得した症例を経験した.大臼歯の遠心移動により上顎前歯の唇側傾斜をきたすことなく叢生の改善を図ることができた.その結果, 口元の突出を伴うなどの好ましくない側貌の変化を伴わずに良好な治療結果を得たが, 若干の歯根露出, 歯根吸収も認められた
  • 平成14年度分について
    樋口 大輔, 菅沼 岳史, 佐藤 淑美, 佐々木 彩子, 山下 倫台, 吉田 耕平, 蛭間 有紀子, 須川 洋一, 船登 雅彦, 川和 忠治
    2006 年 26 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, 平成14年度に昭和大学歯科病院冠橋義歯学講座 (診療科名クラウンブリッジ科, 現在は歯科補綴科) で装着されたクラウンおよびブリッジに関して, その総製作数, 種類および割合, 支台歯の有髄, 無髄等を統計的に調査し, 歯冠補綴治療の現状を把握することを目的として行われ, 以下の結果が得られた.1.クラウンとブリッジの総数は739個で, クラウンが595個 (80.5%), ブリッジが144個 (19.5%) であった.2.クラウンにおいて最も多いのは全部鋳造冠の279個 (46.9%) で, 次にレジン前装鋳造冠の154個 (25.9%), 陶材焼付鋳造冠の151個 (25.4%) であった.3.クラウンは前歯部ではレジン前装鋳造冠と陶材焼付鋳造冠, 小臼歯部では全部鋳造冠と陶材焼付鋳造冠, 大臼歯部では全部鋳造冠が大部分を占めた.4.ブリッジは臼歯部に82個 (56.9%), 前歯部から臼歯部にわたる部位に38個 (26.4%), 前歯部に24個 (16.7%) 装着されていた.5.ブリッジは前歯部, 臼歯部, 前歯部から臼歯部にわたる部位, いずれも1歯欠損2本支台歯が最も多かった.6.クラウンにおける保険診療は64.2%であり, ブリッジにおいては66.7%であった.7.クラウンの支台歯における無髄歯の割合は87.7%, インプラント支台は6.7%, ブリッジにおいては無髄歯が78.6%, インプラント支台が0.8%であった.
  • 真鍋 厚史
    2006 年 26 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 金属修復材料からセラミックや高分子材料系の修復材料が多く使用されるようになった.更に歯質接着性材料も多く市販されるようになりいわゆる審美修復治療が盛んに行われるようになった.しかしながら金属と同様, 時としてモノマー系のアレルギーや刺激性も報告されたりセラミックの破折などのトラブルも皆無とは言えない.今回は現在までの審美修復材料と歯質接着性材料の密接な関係と重要性, 将来性などをご紹介させていただくとともにこれら材料の欠点, 為害性にも検討し, 予防策なども紹介させていただく.
  • 代田 達夫, 南雲 正男
    2006 年 26 巻 2 号 p. 207-209
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 26 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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