昭和歯学会雑誌
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26 巻, 4 号
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  • 亀澤 初水, 馬谷原 光織, 佐々木 崇寿
    2006 年 26 巻 4 号 p. 323-333
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    破骨細胞の分化と機能発現には, 問質細胞が発現するRANKLと破骨細胞のRANKの結合が必須である.破骨細胞分化抑制因子であるオステオプロテゲリン (osteoprotegerin : OPG) は, RANKに競合してRANKLと結合し, 破骨細胞分化と骨吸収機能を抑制する.本研究では, 矯正用顎間ゴムを用いた加圧刺激による歯の移動に伴う, 歯槽骨吸収と破骨細胞分化に対する, 可溶性OPG局所投与の効果を組織化学的に解析した.生後8週齢のWistar系雄性ラットの両側上顎第一・第二臼歯の歯間接触点の問にゴムを挿入し, 歯問分離を行った.ゴム挿入後, 右側第一・第二臼歯問の頬・口蓋側歯根膜にOPGを連日局所投与した (0.3mg/kg).対照側として, 左側同部位に同量の生理食塩水を投与した.OPGまたは生理食塩水投与1日後と4日後にラットを灌流固定し, 採取した顎骨を脱灰後にパラフィン包埋した.切片作製後, H-E染色, TRAP染色, RANKL免疫染色を行い, さらに破骨細胞数と歯槽骨量の骨形態計測を行った.また破骨細胞の透過電顕観察とH+-ATPaseの免疫電顕観察を行った.その結果, OPG投与側の歯槽骨量は対照側に比較して有意差がなかったが, 単位歯槽骨周長および歯槽骨面積あたりのTRAP陽性破骨細胞数に関しては, OPG4日間投与側が対象側に対して有意に低値を示した.OPG投与側の破骨細胞は波状縁構造が未発達なものが多く, H+-ATPaseの発現も散在性であった.以上の実験結果から, OPG局所投与は, 歯槽骨における機械的加圧刺激による破骨細胞形成と破骨細胞機能を抑制することが示唆された.
  • 佐藤 裕二, 北川 昇, 赤坂 恭一朗, 瀬沼 壽尉, 金原 大輔
    2006 年 26 巻 4 号 p. 334-337
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    立体構造の認識能力は, 診査・診断, 治療方針の決定, カルテの記載, 技工指示書の作成, 患者への説明図の作成にとって重要である.そこで, 今後の学生教育を考える指針とするために, 学生の立体認識・描写能力の現状を調査し, 学生の抱える問題点を明らかにした.歯学部第6学年の学生103名を対象とし, 上顎金属床義歯の写真を配布し, 義歯と口腔組織の切断面を描写させた.回収した図について, 10項目を評価した.さらに問題演習 (補綴系88問) の試験成績との対応も検討した.その結果, 学生間の能力差は非常に大きかった.外面から理解できる形態については比較的良好であったが, 金属床義歯の内部構造や口腔組織との関係に関しては不十分であった.問題演習の試験成績とは有意な関係を示さなかった.これらのことより, 立体認識・描写能力の養成の必要性が示唆された.
  • 栗原 規剛
    2006 年 26 巻 4 号 p. 338-347
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    オゾン軟膏, 電解酸1生機能水, 強電解酸性ジェルおよびオゾンジェルを創傷治癒の促進基剤として歯科臨床での応用を目的として基礎的研究を行った.材料として4週齢雄性Wistar系ラット16匹, オゾン軟膏, マクロゴール軟膏, オゾンジェル, 強電解酸性ジェル, 電解酸性機能水を用いた.ラットにエチルエーテルにて吸入麻酔をかけ, その後デルマパンチ®(スティーフェル・ラボラトリウム社製) を用いて背部皮膚に4か所, 直径5.0mm, 深さ約1.0mmの創傷部位を作製した.作製した創傷部位に1日2回 (午前9時と午後9時), 各種のジェルおよび機能水を塗布し, 1日1回 (午後9時) 直径を計測した.直径の計測にはデンタルキャリパス® (寸法精度0.1mm, YDM社製) を用いた.実験開始から1, 3, 5, 7日後に各々4匹ずつ屠殺し, 創傷部位を摘出し, 標本を作製した.パラフィン切片標本はH.E.染色, Azan染色, Pas染色を施し, 顕鏡した.オゾン軟膏とマクロゴール軟膏を塗布した実験における肉眼的観察において, 日数の経過に伴いオゾン軟膏およびマクロゴール軟膏においても創傷面積の縮小をみとめた.しかしながら, オゾン軟膏例で創傷部位の縮小が促進され, 特に, 7日例ではオゾン軟膏と対照群との間には縮小率に有意な差が認められた.組織学的観察ではオゾン軟膏例において良好な所見を認め, オゾンを含まないマクロゴール軟膏例と比較し, より強い創傷治癒促進効果があることが考えられた.また, 電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェル, オゾン軟膏を創傷に塗布した実験では, 特に7日例において電解酸性機能水とオゾンジェル, 電解酸性機能水とオゾン軟膏, そして強電解酸性ジェルとオゾン軟膏の問に有意差が認められた.組織学的観察においてもオゾン軟膏例が最も良好な所見を呈しており, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順に良好だった.肉眼的観察および組織学的観察から, オゾン軟膏は電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェルと比較し良好な結果が得られた.それに加えて創傷部位へ塗布しやすいなどの長所を有しているため, 創傷部位への治療薬として応用できる可能性が示唆された.オゾン軟膏の創傷治癒に及ぼす影響を観察するため, 実験的に創傷部位を作製し, その創傷に対する影響を電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェルとで比較検討した結果, 以下の結論を得た.1.オゾン軟膏例とコントロール軟膏例との比較では, H.E.染色所見から, 上皮の再生度に有意な差は認められなかったが, Azan染色所見より, 上皮下の膠原線維の形成度はオゾン軟膏例において良好な結果を得た.2.創傷部位の治癒に関する肉眼的観察では, オゾン軟膏を塗布したものが最も良好であり, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順であった.3.肉眼的観察における直径の計測では, 7日例において, オゾン軟膏と電解酸性水の間に16.0%, オゾン軟膏と強電解酸性ジェルの間に9.5%, オゾンジェルと電解酸性機能水の問に14.5%の縮小率を示した.4.組織学的観察では, H.E.染色所見による上皮の再生度の観点から, オゾン軟膏を塗布したものが最も良好であり, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順であった.また, Azan染色所見から, オゾンを含有しているものにおいて順調な膠原線維の形成が認められた.5.Pas染色所見では, 全ての組織像において再生上皮内にグリコーゲン穎粒が認められ, 特に組織の再生を阻害するような所見は得られなかった.以上の結果から, オゾン軟膏は口腔領域への応用の可能性があること, また, 創傷治癒の促進効果があることが示唆された.
  • 土谷 聡, 岩佐 文則, 川和 忠治, 若林 克敏, 尾関 雅彦, 芝 〓彦, 立川 哲彦
    2006 年 26 巻 4 号 p. 348-354
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    高分子電解質錯体 (PEC) は細胞接着や細胞増殖を阻害しないため生体材料としての応用が期待される.そこで, 本研究ではPECを培養皿にコーティングし, ヒト歯肉線維芽細胞を培養した後, 細胞接着による細胞接着分子インテグリンの発現様相およびシグナル伝達物質リン酸化チロシンを含むタンパクの発現を検索し, 歯科領域における機能性生体材料として高分子電解質錯体を生物学的に評価した.その結果以下のことが判明した.1.PECをコーティングしたデッシュを用いた細胞培養では細胞のインテグリン発現は対照群と同様に確認された.2.PECをコーティングしたデッシュを用いた細胞培養ではインテグリンおよびビンキュリンの局在はいずれも細胞全体に認められ, その発現様相は対照群と同様な像を示した.3.PECをコーティングしたデッシュを用いた細胞培養では細胞接着によるリン酸化チロシンを含むタンパクは対照群と同様に確認され, PEC上培養でも細胞内伝達機構が正常に機能していることが示唆された.以上の結果からPECをコーティングしたデッシュを用いた細胞培養ではインテグリンの発現および細胞内情報伝達を行うチロシンリン酸化反応を阻害するものではないことが判明した.
  • 入江 太朗, 立川 哲彦
    2006 年 26 巻 4 号 p. 355-360
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    レーザーマイクロダイセクション法は, 組織標本上の特定領域ないし特定の細胞を回収することにより, そこから得られた核酸や蛋白質を様々な分子生物学的解析に用いることを可能とした解析手法である.われわれは, 本法の外科病理学への応用について様々な研究を進めてきたのでその一部を紹介させて頂く.本法は形態学と分子細胞生物学の橋渡しとなり得るものであり, 病理学分野に留まらず広く学際的研究において大きな役割を果たすことが可能であると考えられる.今後の展望も含めて概説する.
  • 島田 幸恵
    2006 年 26 巻 4 号 p. 361-364
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯冠周囲過誤腫により第一大臼歯,第二大臼歯が萌出遅延している場合は,歯槽堤が発達しているか,歯肉に陥凹感や粗造感があるか診る.その場合,パノラマエックス線写真を撮影し,他の歯の萌出と明らかな相違があるか診る.また,第一大臼歯は3歳時点,第二大臼歯は7歳時点の歯胚の位置にあることが多く,歯冠上部には骨がないにもかかわらず萌出してこない場合は,その上部の石灰化物の有無を観察する.歯根形成に問題ない場合は,開窓術を施術した上で矯正用ボタンを装着する.歯根形成に問題がある場合は,開窓後牽引処置を行う.
  • 岩瀬 正泰
    2006 年 26 巻 4 号 p. 365
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 26 巻 4 号 p. 366-375
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 26 巻 4 号 p. 376-379
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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