光硬化型グラスアイオノマーセメントであるフジIILCEM (FLC) は歯面処理剤として付属のキャビティーコンディショナー (CC) よりもユニフィル
® ボンドセルフエッチングプライマー (UP) やG.ボンド (GB) を使用する方が象牙質に対して安定した高い接着力を得ることができることを以前に報告した.今回はエナメル質に対する各種歯面処理剤の影響について検討を行った.セメント材料としてFLC, ビトレマー
TMR (VTM) を使用した.各種歯面処理剤として, FLCではCC, セルフコンディショナー (SC), UP, GB, エッチング液 (EE), ビトレマー
TMプライマー (VP) を使用した.また, 比較のため無処理 (NC) での接着強さも測定した.VTMではVPを使用した.80本のヒト抜去大臼歯の隣接面を削除して平坦なエナメル質面を作製した.製造者指示に従い歯面処理剤を使用した後, セメントを接着させた.24時間, 37℃に水中保管後, 勇断接着強さを測定した.FLCのエナメル質に対する接着強さ (平均±SD;MPa) は, CCで14.7±2.0, SCでは12.8±1.1, UPでは11.6±1.7, GBでは17.0±1.6, EEでは13.8±1.4, NCでは1.3±1.1, VPでは0.6±1.1であった.VTMでは7.9±1.6であった.FLC付属のCCよりも統計学的に有意に高い接着強さを示したのはGBのみであり, EEでは差は認められず, SC, UP, VPおよびNCでは有意に低い接着強さを示した.エナメル窩洞や比較的浅い窩洞であればCCで十分な接着強さを得ることができるが, 深い窩洞や象牙質窩洞では象牙質に対して安定した接着強さが得られるGBかUPを使用した方が良いと考えられた
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