昭和歯学会雑誌
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5 巻 , 2 号
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  • 秋田 智雄
    1985 年 5 巻 2 号 p. 81-97
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    舌粘膜上皮の分離培養を行い, 発癌剤9, 10-dimethy1-1, 2-benzanthracene (DMBA) を投与し, 細胞膜および細胞間結合についてフリーズ・フラクチャー法を用いて検索した.細胞膜は発癌剤投与後6時間で一過性に膜内粒子の減少を認め, 12時間から2日の間では逆に膜内粒子の増加を認めたが, その増加はとくにE面に顕著であった.3日以後になると膜内粒子の全体数が減少し, 対照群とほぼ同様な値になったが, P面とE面の分布を比較するとE面は粒子の増加を維持したままであった.Gap junctionは発癌剤投与後6時間より細胞膜にしめる割合が45-80%と減少を示し, また電気生理学的にもcoupling ratioが投与後12時間より対照群と比較し約60%の減少を認めたことから, 細胞間連絡の欠如あるいは減少が示唆された.Desmosomeは超薄切片法により種々の破壊像を認め, 同時に細胞膜にしめる割合も発癌剤投与後12時間より35-60%の減少を認めた.以上のことから, 発癌とは非常に早期より細胞膜および細胞間結合に変化が起こり, それらの破壊と修正をくり返しながら細胞が母集団から逸脱し, 無制限の増殖を示すようになることと考えられ, したがって細胞膜および細胞間結合の変化は発癌過程の一つの重要な表現形質であることが示唆された.
  • 山之内 正高
    1985 年 5 巻 2 号 p. 98-112
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    鶏胚脛骨の形成過程における軟骨内骨化部を光学顕微鏡および電子顕微鏡的に観察した.前期軟骨内骨化期 (10-15日鶏胚) では未石灰化軟骨が吸収されて骨髄の形成が進展し, 吸収部軟骨表面では軟骨基質の脱却が認められた.未石灰化軟骨・骨髄境界部には, 2種類の細胞が観察され, それぞれA型細胞群, B型細胞群とした.A型細胞群は紡錘形で, 軟骨基質表面に密着し, 光顕組織化学的にアルカリフォスファターゼ活性を有していた.3H-prolineのオートラジオグラフィーで観察すると, 程度は低いが未石灰化軟骨・骨髄境界部にその取込み能が認められた.さらに, A型細胞群は電顕的に粗面小胞体やゴルジ装置の発達がよく, 細胞膜にアルカリフォスファターゼ活性が認められたことから, 前骨芽細胞に相当するものと考えられた.一方, B型細胞群は, 類円形または卵円形で光顕組織化学的に酸フォスファターゼ活性を有していた.電顕的にはしばしば2核の細胞もみられ, ミトコソドリアやゴルジ装置の発達がよく, また電顕組織化学的にも酸フォスファターゼ活性をみることができた.さらに, horseradish peroxidase (HRP) の取込み能も顕著であることから, B型細胞群は前破骨細胞に相当するものと考えられた.後期軟骨内骨化期 (16-21日鶏胚) では, 軟骨の石灰化が経日的に進行し, 吸収部軟骨の石灰化の進行に伴って, 石灰化軟骨・骨髄境界部に典型的な骨芽細胞および破骨細胞が出現し, 3H-prolineの取込み能も増加し, 軟骨内骨化が進展していた.以上のように, 鶏胚脛骨の形成過程において, 未石灰化軟骨の吸収がみられる前期軟骨内骨化期では, 未石灰化軟骨・骨髄境界部に前骨芽細胞と前破骨細胞に相当する細胞が出現し, 後期軟骨内骨化期では, 吸収部軟骨の石灰化に伴って骨芽細胞と破骨細胞が出現した.したがって, 鶏胚脛骨の軟骨内骨化部では, 軟骨基質の石灰化が骨芽細胞および破骨細胞の分化・成熟に密接な関連をもつことが示唆された.
  • 伊藤 和雄, 和久本 貞雄
    1985 年 5 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンの重合方式, 環境温度, およびフィラ-含有量が象牙質に対する接着性に与える影響を検討するために, 従来型, マイクロフィラーまたはサブミクロソフィラーを含有する化学重合型および可視光線重合型合計5種類のコンポジットレジソを用いて, 象牙質円柱窩洞内でのwall-to-wall contraction gap を比較計測した.その結果, 今回用いたコンポジットレジンの象牙質窩壁への適合性は, 重合方式および環境温度に影響を受け, 24±1℃の条件下では可視光線重合型レジンの象牙質に対する接着性は, 化学重合型レジンに比較して有意に劣っていた.しかしながら, 試片作製および観察を36.5±1℃の温度条件下で行うと, このような重合方式による接着性の差は見られなかった.すなわち, 可視光線重合方式によると, 重合が比較的短時間に完了するために, 低温 (24±1℃) では, 窩壁と十分に密着しながら硬化することが不可能であろうと考えられた.
  • 新村 明達, 江川 薫
    1985 年 5 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    成長過程のラットの下顎頭を材料として, 下顎頭の軟骨内骨化による骨基質形成層の立体超微形態を, 高分解能の走査電子顕微鏡によって観察した.下顎頭はDMSOで包埋し, 液体窒素によって凍結割断を施した.割断面に残存している細胞と, 無定形の有機性基質はトリプシン溶液で消化させ, 基質の表層を露出させた.下顎頭の肥大層には小骨髄腔が形成されており, 縦走基質は索状を呈していた.索状の縦走基質の中心部は, 石灰化度の高い軟骨索で形成されていた.石灰化軟骨索の表層に付加されている骨基質形成層は, 疎な膠原細線維網で形成されている部分と, 網状構造を呈している密な膠原細線維層によって形成されている部分と, 束状の膠原細線維が交織している部分とが認められた.疎な膠原細線維網で形成されている骨基質形成層の深層の石灰化軟骨基質は, 顆粒構造を呈していた.網状構造を呈している密な膠原細線維層によって形成されている骨基質形成層の膠原細線維上には, 直径が500-800Åの微細穎粒が付着していた.束状の膠原細線維が交織して形成されている骨基質形成層の膠原細線維上には, 微細顆粒が付着しており, 膠原細線維東間は, 密な顆粒構造を呈していた.石灰化軟骨索の表層に骨基質が多量に付加されている骨梁では, 骨基質の最表層から約5μmは, 直径が500-800Åの微細顆粒が付着している膠原細線維層で形成されているが, 線維層より深層の石灰化骨基質は, 均質な穎粒構造を呈していた.石灰化軟骨基質と骨基質とでは, 高濃度分布のCaとPの2元素が検出されたが, 石灰化基質を形成している微細顆粒は, CaとPの2元素の比からハイドロキシアパタイトの結晶で構成されていると考えられる.また, 骨基質形成層に付着している微細顆粒も同一のものと考えられる.石灰化軟骨索に付加された石灰化骨基質の骨小腔壁は, 顆粒構造を呈している石灰化骨基質で形成されていたが, 石灰化骨基質に埋入されている膠原細線維が認められた.
  • 谷内 茂徳, 江川 薫
    1985 年 5 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    老齢のSD系ラットの下顎体部を材料として, 老化骨の表層基質の立体超微形態を, 高分解能の走査電子顕微鏡によって観察した.骨基質の表層に接している骨芽細胞と, 無定形の有機性基質をトリプシソ溶液で消化させ, 老化骨の表層基質を露出させた.老化骨の表層基質の大部分は, ほぼ同方向に平行に走向している膠原細線維束で形成されていた.膠原細線維束は, 直径が約800Åで, 約500Åの周期的な横紋構造の認められる未石灰化の膠原細線維で構成されていた.各膠原細線維束の最表層の膠原細線維は, 部分的に隣接した膠原細線維束に移行しており, 膠原細線維束の間隙には, 紡錘形の骨細管が開口していた.老化骨の割断面では, 膠原細線維束で形成されている表層より深層部の基質には, 直径が約500Åの微細顆粒が集積しており, 均質で密な顆粒構造を呈していた.顆粒構造を呈している深層部の基質を構成しているCaとPの比から, 微細顆粒はハイドロキシアパタイトの結晶で構成されていると考えられる.割断面では顆粒構造を呈している石灰化基質は, EDTAによってエッチソグを施すと, 表層基質と同方向に走向している膠原細線維が認められた.老化骨の表層基質を形成している膠原細線維束には, 直径が約500Åの微細顆粒が散在性に, またはきわめて多数集積している部分が認められた.老化骨の表層基質が, 石灰化骨基質の割断面と同様に顆粒構造を呈しており, 基質を形成している膠原細線維が認められない部分もある.また, 老化骨の表層基質を形成している膠原細線維束が分節的に顆粒構造を呈していて, 石灰化している部分も認められた.表層基質を形成している膠原細線維束に付着している微細穎粒は, EDTAでエッチングすることによって消失することから, 表層基質に形成されている微細顆粒は, 深層部の均質で密な顆粒構造を呈している石灰化基質を構成している微細顆粒と同様に, ハイドロキシアパタイト結晶で構成されている石灰化顆粒と考えられる.
  • 五十嵐 順正, 原田 雅弘, 稲用 隆史, 芝 〓彦
    1985 年 5 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    「支持域」という概念は, 上下顎の咬頭嵌合関係を大臼歯部, 小臼歯部の左右4ヵ所における咬合接触が規定しているとしたものである.この4ヵ所の「支持域」がしだいに失われると咬頭嵌合位は不安定となり, 下顎位の変位が生じることが予測される.そこでわれわれは口腔内で直接に「支持域」の定量化について検索を行った.上下顎おのおのに両側第一大臼歯, 両中切歯間の3点を結ぶ二つの三角形を想定した.その結果顎位の変化はこの二つの三角形を含む平面の傾斜として表示することができ, その変化の測定は3標点間の上下的変位を記録すればよい.頬側に嵌合位での咬合接触を阻害しないようにパラオクルーザルシーネをレジソにて調製し, 下顎3点に変位計, 上顎3点に対向板を設定した.変位計にはストレインゲージ応用の小型変位計を用いた.まずシーネの安定性について次の二つの実験を行った.シーネ側面に渦電流応用の非接触微小変位計を設置し, 開口, 閉口に伴うシーネの変位をみたところ, シーネは内側へそれぞれ30, 60μm変位した.また全顎シーネと測定点部のみの部分シーネを用いて顎位の変化を比較検討したところ, 部分シーネのほうがいずれの点においても大きく変位したが, その差違は約10μmであった.次に (7) 6 (5) 1 (4) 5 6 (7) 欠損をブリッジで補綴する患者について顎位の変化を測定したところ, 「支持域」を構成する咬合接触の喪失に伴い下顎位も変位することが明らかとなった.
  • Akira MATSUMOTO, Kazuhiro DEBARI
    1985 年 5 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    An analysis of calcium and strontium in the enamel and dentin of incisor of rat maintained on the diets added strontium in the diets with the different calcium contents was performed, using X-ray microanalyzer. In control rat, the difference between the level of line of calcium deposition in enamel and that in dentin was seen, and the level in dentin was lower than that in enamel. Strontium element was hardly detected in enamel and dentin. In low Ca rat, the appearance of line analysis of calcium and strontium was similar to that of control rat, but the difference between the level of line of calcium deposition in enamel and that in dentin was greater than that of control rat. Strontium element was not almost detected as that of control rat. In Sr rat, calcium deposition decreased in the area where strontium deposition increased. The relationship of extent of decrease or increase of calcium and strontium deposition showed the inverse one in enamel and dentin. In Sr-Ca rat, the appearance of line analysis of calcium and strontium was almost the same one as that of Sr rat, but the extent of decrease or increase of calcium and strontium in enamel or dentin was lower than that in Sr rat.
  • 佐藤 昌史, 山下 登, 鈴木 康生, 佐々 竜二, 金子 春樹, 東 昇平
    1985 年 5 巻 2 号 p. 148-159
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    象牙質形成不全症 (Dentinogenesis imperfecta) は遺伝的因子によって, 特異的に象牙質の形成障害を起こす疾患であり, その遺伝形式は常染色体優性遺伝を示し浸透率は高いとされている.また本症は骨形成不全症を伴う場合と単独で発症する場合とが認められる.今回著者らが経験した症例は, 骨形成不全症の三大徴候がみられず単独で発症したと思われる象牙質形成不全症の女児について, 2歳2ヵ月から6歳3ヵ月まで経年的観察を行ったものである.臨床的, 組織学的に検索を行った結果, 以下のような所見を得た. 1) 遺伝的背景は問診の結果, 母親および母方の近親者に本症が疑われた. 2) 全乳歯にオパール様の独特な色調がみられ, 咬耗エナメル質の剥離が著しく認められた.X線断こは, 全乳歯に経年的に歯髄腔の狭窄する様相が観察され, 形成過程にある永久歯胚においても, その徴候がみられた. 3) 組織所見では象牙細管の走行は不規則で, 消失した歯髄腔は, 非常に細い管状構造として観察された
  • 内田 武, 井上 美津子, 向井 美恵, 鈴木 康生, 佐々 竜二, 須永 進
    1985 年 5 巻 2 号 p. 160-166
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    CorneliadeLange症候群は, 特異な顔貌, 発育障害, 知能障害, 多数の奇形を伴ったまれな疾患で1933年CorneliadeLangeによって報告されて以来, 300余例の報告がある.著者らは, 本症候群の1例を経験したので, 歯科的所見を中心に検討した.患児は5歳9ヵ月女児であり, 発育障害, 精神発達遅滞, 特異な顔貌を認め, 上肢第5指内轡, 猿線の存在などを認めた.顎顔面は, 全体的に著しく劣成長であり, プロフィログラムによる比較では2歳児相当であった.乳歯の歯数, 歯冠形態, 永久歯胚の数などに異常は認められなかったが, 歯年齢に遅れがみられた.また手根骨による骨年齢の推定でも遅れがみられた.口蓋裂および高口蓋はみられず, 口蓋は逆に浅い傾向を示していた。口腔内には多数にわたるう蝕が存在し, 歯肉炎および歯肉退縮も認められた.
  • 長谷川 昌宏, 大野 康亮, 長谷川 幸司, 舘野 孝行, 塚本 桂子, 大澤 毅晃, 斎藤 健一, 鈴木 規子, 吉田 広, 道 健一
    1985 年 5 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    われわれは顎口腔領域悪性腫瘍自験例の資料を整理, 検討し, 今後の治療における有益な指針を得, さらに治療成績の向上を図ることを目的として, 1977年6月より1983年6月までに昭和大学歯科病院第一口腔外科を受診した顎口腔領域悪性腫瘍患者40例について臨床統計的観察を行った.その結果, 性別では男性24例, 女性16例で男女比1.5 : 1であった.年齢別では19歳より95歳にわたり平均年齢61.3歳で, 40歳以上の高齢者が全体の8割を占めていた.発生部位別頻度では, 上顎27.5%, 下顎22.5%, 口底17.5%, 舌15.0%などの順でみられた.症状自覚から初診までの期間は3カ月以内が52.5%と過半数を占めていた.初発症状は腫脹42。5%, 疹痛22.5%, 出血および潰瘍各12.5%などの順であった.組織型別頻度では癌腫85.0% (うち扁平上皮癌79.4%, 腺系癌20.6%), 肉腫2.5%, 悪性黒色腫2.5%の順であった.1次症例23例のTNM分類をみるとT分類ではT1 8.7%, T2 47.8%, T3 8.7%, T4 34.8%, N分類ではN0 30.4%, N1 69.6%, M分類では全例M0であった.Stage分類では, Stage III 43.5%, StageIV34.8%, Stage II 17.4%, Stage I 4.3%の順であった.治療法では, 手術を中心とし放射線療法, 化学療法などを併用した合併療法を行った症例は79.3%, 非手術症例20。7%であり, 前者がわれわれの治療法の主体であった.治療成績は現在までのところ3年累積生存率82。1%であった.
  • 1985 年 5 巻 2 号 p. 211-226
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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