昭和歯学会雑誌
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8 巻 , 2 号
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  • 山下 義久, 横田 芳彦, 大野 茂, 高橋 修
    1988 年 8 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    生後30-60週齢のICR系マウスの下顎体部を用いて, 骨基質表層の立体超微形態を観察した.トリプシンにて骨芽細胞と無定形有機性基質が除去され, 骨基質最表層が露出した.最表層はコラーゲン細線維で形成されていたが, 増齢とともにコラーゲン細線維上に長径7nm, 短径5nmほどの楕円体形の微細穎粒が付着し, 各所で集合して直径10-30nmの穎粒を形成しはじめる.その後, さらにコラーゲン細線維間にも穎粒が密集するとともにその直径を増し, かつ穎粒の存在領域を拡大していくことが明らかとなった.これは骨基質表面に存在する骨芽細胞が, 骨の成熟に伴いコラーゲン細線維の形成を減じ, 石灰化基質の付着のみが長期にわたり徐々に進行したためと考えられる.これらの微細穎粒は骨小腔においても認められた.一方, コラゲナーゼによって骨表面のコラーゲン細線維が除かれ, 多数の穎粒が分節的に集積する部分が観察されたが, 長期にわたる石灰化よりもやや急速に石灰化している部分と思われる.深層の骨基質が割断後のトリプシン処理によって露出し, 微細穎粒の集合した直径20-50nmの穎粒が集積していた.X線元素分析により微細穎粒はハイドロキシアパタイトの結晶であり, この結晶が集合して穎粒構造となり, この穎粒が集積して石灰化骨基質となることが明らかとなり, 骨基質最表層と骨小腔内壁における石灰化が裏付けられた.
  • 野上 浩志
    1988 年 8 巻 2 号 p. 152-160
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍の放射線治療の副障害の一つに唾液腺機能障害がある.これは唾液腺が照射野に含まれることが多くこのため放射線により唾液腺の腺房組織が破壊された結果と考えられている.このような唾液腺障害を軽減させるためには, 唾液腺を避けた線量分布を与える放射線の使用が好ましい.陽子線は組織透過中にBragg curveを形成するため, 優れた空間的線量分布を与える.この陽子線による頭頸部の放射線治療はすでに一部で臨床応用されているもののまだ一般的ではなく, したがってその副障害についての報告はない.本研究はラット顎下腺に陽子線を照射し, その急性障害を病理組織学的に検索することにより, 障害の程度と特徴を知ることを目的とし, X線照射によるラット顎下腺の障害像との比較を行った.用いた陽子線は40MeVでその深部線量分布がspread-out peakを呈するものとmono-peakを呈するものの2種類であり, X線は80kVpであった.顎下腺の吸収線量はともに10Gy, 30 Gyおよび45 Gyとした.これらの線量を1回照射後, 顎下腺を光顕下で観察した.その結果, spread-out peak陽子線照射群では, 腺房の萎縮, 崩壊, 消失および導管上皮の変性や崩壊を認めた.これらの所見はX線による障害像とほぼ同様であった.Mono-peak陽子線照射群での障害は他の群とほぼ同様であったが, この群のみに導管に扁平上皮化生がみられた.その原因はmono-peak陽子線のLETがspread-out peak陽子線やX線に比べて高いためと思われた.以上の実験結果から陽子線照射による唾液腺の組織学的変化はX線照射によるそれとほぼ同-であり, また線量の増加とともにその障害の程度が増すことが判明した.
  • 山下 義久, 田所 克己, 佐々木 崇寿, 滝口 励司
    1988 年 8 巻 2 号 p. 161-168
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    無水的化学固定法 (anhydrous fixation) を用いて, 異なる分化段階にある象牙芽細胞 (pre-, young, 0ld odontoblasts) の細胞質および象牙前質においてEDX分析を行った.その結果, 細胞および象牙質基質の微細構造はよく保存され, さらにCa, P, Sのスペクトルピークはバックグラウンドから明確に識別でき, 各元素の細胞質内における濃度勾配が検討された.Preodonto blastとyoung odontoblastの細胞質ではCaの濃度勾配は認められないが, Sはyoung odontoblastの遠心端の細胞質と細胞質突起で, わずかながら他の細胞質よりも多く, また基質小胞でさらに多いことがわかった.0ld odontoblastでは, Caの濃度勾配は細胞の中央部と遠心端の細胞質で高く, 細胞質突起と近心端の細胞質で低かった.Pは各分化段階を通じて細胞の中央部と近心端の細胞質で多いが, とくに基質小胞で多かった.したがって, 象牙芽細胞内のCaは, プロテオグリカンと結合して基質小胞内に蓄積され, あるいは直接象牙前質へ分泌され, さらに基質小胞ではCaとP濃度が上昇して初期石灰化を引き起こし, その後の添加性石灰化では, プロテオグリカンに結合したCaが象牙芽細胞から象牙質へと分泌されると考えられた.一方, 遊離のCa2+は細胞間隙を通って象牙質へ拡散すると推測された.
  • 鮎瀬 節子, 柴崎 好伸, 福原 達郎, 立川 哲彦
    1988 年 8 巻 2 号 p. 169-179
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    上顎骨の側方拡大は, 上顎骨の狭窄を伴う咬合異常の治療として不可欠なものとなっている.この治療法に対する基礎的な研究は, これまで大型動物 (イヌ, ネコなど) を使用した実験が多いため, 経時的に十分な組織学的検索をすることが困難であった.今回著者は小型動物における上顎骨側方拡大法を試行し, 拡大後の組織変化について検討を加えた.その結果, ラット用拡大装置を長期間口腔内に固定することが可能であり, また拡大後の保定装置としても同時に使用できる実験法であることが判明した.拡大時の口蓋粘膜の組織学的所見は, 膠原線維が分離し, 細線維となり, 口蓋骨の骨膜線維は側方に傾斜した状態を示した.装置装着後2週間では, 矯正力が0となり, 拡大後の保定が十分になされている状態を示した.
  • 松本 光吉, 西濱 亮介, 小野寺 篤, 若林 始
    1988 年 8 巻 2 号 p. 180-184
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    象牙質の知覚過敏は, 臨床においてよく遭遇する疾患である.なかでも歯頸部象牙質知覚過敏症はハブラシの誤用により生じ実質欠損も少なく, 歯質も硬く充填処置を行うほどではないことが多い、これらの疾患の治療法としては, 薬剤の塗布, イオン導入, レーザー治療磁気治療などがあるが, まだ確立された治療法はない.そこで今回われわれはタカラベルモント社製のソフトレーザー (He-Neガスレーザー : CW, 6mW, λ≒632nm) を使用し, 二重盲検法により歯頸部象牙質知覚過敏を伴った60症例に照射したところ, 照射群30症例中4例が著効, 23例が有効で, 無効は3例であった.有効以上が27例で90%において知覚過敏の誘発痛緩和が認められた.非照射群においては有効が30症例中8例で27%であった.統計学的に処理したところP<0.001で有意差が認められた.以上のことから今回使用した6mW, CW, λ≒632nmのHe-Neガスレーザーは歯頸部知覚過敏症に対して誘発痛緩和作用があることが臨床的に確認された.
  • 鈴木 潔
    1988 年 8 巻 2 号 p. 185-202
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    義歯床の維持安定と唾液の性状, とくに唾液の粘性との関係について研究を行った.試料には全唾液を用い, 電気泳動法により唾液タンパクの分析を行い, 同時に回転粘度計を用いて粘度の測定を行った.電気泳動法による全唾液タンパク分析の結果, その分画は27のバンドに分かれ, 推定分子量は100万以上のものから, 1.8万まで幅広い値を示した.糖タンパク分画では25のバンドに分画され, 推定分子量はタンパクバンドと同様の幅広い値であった.タンパクパンドと糖タンパクバンドの比較では糖タンパクバンドのほうが高分子バンドで濃染された.全唾液の粘度は平均で14.92mPa・sであった.また全唾液のタンパク濃度は平均66.5mg/dlであった.全唾液のタンパク濃度と粘度との関係には, 相関関係がみられなかった.粘度の高い値を示す唾液では推定分子量90万と80万の高分子バンドが濃染された.また全唾液の放置時間による粘度の低下では, 放置時間3時間後には採取時よりも約44%の粘度の低下を示した.そして粘度の低下とともに染色性が低下したパンドは推定分子量80万, 90万, 100万のバンドで著明に現われた.
  • Masahiko KISHI, Kenshiro TAKAMORI
    1988 年 8 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Reduced minus oxidized difference spectra of 9 different species of anaerobic gramnegative bacteria were examined spectroscopically. The cytochrome b-type spectra, with an a-absorption band at 565 nm and a Soret band at near 433 nm, were determined in all of the following bacteria, Bacteroides oralis, Bacteroides asaccharolyticus, Bacteroides intermedius, Bacteroides loescheii, Bacteroides fragilis, Capnocytophaga ochracea, Fusobacterium nucleatum, Veillonella parvula and Veillonella atypica. In B. oralis, a b-type cytochrome and a CO-binding pigment which may be an o-type cytochrome were present in the membrane. However, the absence or minor presence of cytochrome c was observed in the membrane and soluble fractions. The b-type cytochrome of B. oralis was reduced by NADH, succinate and malate but not by fumarate. The reduction of the b-type cytochrome by NADH was inhibited by HOQNO and amytal.
  • 万代 倫嗣
    1988 年 8 巻 2 号 p. 210-220
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセレストア・クラウンの基礎的検討として適合試験および強度試験を行った.適合試験では, 臼歯を単純化した全周ショルダー・タイプの歯型上でセレストア・クラウンと金属焼付ポーセレン冠を製作し, 冠辺縁の垂直変位量を測定した.測定は各製作段階およびセメント合着後に行い, 冠辺縁部の測定後, 試料を切断して内面の適合状態を観察した.セレストア・クラウンの垂直変位量は, コア焼成後では11μm, 歯冠色陶材焼成後では19μm, セメント合着後では34μmと金属焼付ポーセレン冠の垂直変位量の約1/4の値を示し, セレストア・クラウンの適合性は良好であった.強度試験はインストロン万能試験機を用いて3点曲げ試験を行った.セレストアの陶材の破折強度は, コアでは1,835kg/cm2, デンティンでは1,386 kg/cm2, エナメルでは1,175kg/cm2であり, ビタ・デュールの陶材と比較して約30%大きな値を示した.また, コア, デンティン, エナメルを3層に焼成した試料のセレストアの陶材の破折強度は, 歯冠色陶材引張側では1,732kg/cm2とビタ・デュールの陶材と比較して約50%大きな値を示し, 歯冠色陶材圧縮側では1,189kg/cm2とビタ・デュールの陶材と同程度の値を示した.以上の結果から, セレストア・クラウンは, 良好な適合性および十分な強度を有しており, 臨床応用が可能であることが判明した.
  • 大草 信人, 高橋 修, 江川 薫, 瀬川 和之
    1988 年 8 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    胎児の顎骨の歯槽縁に形成される軟骨様骨細胞を, 塩酸・コラゲナーゼ法と, 低濃度四酸化オスミウム溶液で細胞内小器官を露出させるODO法とによって処理して, 軟骨様骨細胞の表面形態と細胞内小器官の立体超微形態を, 高分解能の走査電子顕微鏡を用いて観察した.軟骨様骨組織は軟骨細胞様の微細な突起を有するさまざまな形態の細胞と豊富なコラーゲン細線維とによって構成されていた.軟骨様骨の中央部の典型的な軟骨様骨細胞は多面体形で, 細胞の周囲には微細な突起を備えていたが, 隣接細胞との突起による連絡は観察されなかった.また, 細胞質は主に粗面小胞体, ミトコンドリアなどの細胞内小器官によって構成されていることから, 軟骨様骨細胞は基質形成に関与する細胞であることが示唆された.軟骨様骨組織の頂部, 唇, 頬側および舌側の表層には, 骨芽細胞様の細胞が歯胚側には, 一様な方向性を示す扁平な線維芽細胞様の細胞が認められ, いずれの細胞も細胞質突起は少数であった.軟骨様骨組織と通常の骨組織との移行部には, 細胞質突起は少ないが幼若骨細胞様の豊満な細胞が存在していた.軟骨様骨組織の細胞間基質を形成する不規則なコラーゲン細線維は, 軟骨様骨細胞によって添加されるものと考えられる.
  • 南崎 信樹, 光崎 潤子, 宮澤 康, 久光 裕子, 犬井 清孝, 田中 裕子, 谷 博一, 宮下 元, 長谷川 紘司
    1988 年 8 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本実験の目的は, 水流で歯肉縁下を洗浄し臨床的変化を評価するものである.昭和大学歯科病院保存科に来院した3mm以上の歯周ポケットを有する初診の成人型歯周病患者7名 (年齢40-55歳, 平均45歳, 男性4名, 女性3名) を用いて歯周ポケット内をTeledyne Water Pik社製Water Pik Mode1300JとPerio Pik (同社製) およびマキシプローブイリゲーターを用いて水道水にて洗浄し, ブラッシング指導のみ行った対照群と歯肉の炎症軽減程度を臨床的に比較した・臨床診査は, Probing Pocket Depth (PD), Gingival Crevicular Fluid (GCF), Gingival BleedingIndex (GBI) (Ainam&Bay), Plaque Index (PLI) (Silness&Löe), Gingival Index (GI) (Löe&Silness) を用いた.実験群 (45歯面) では, とくにブラッシング指導を行わず被験歯の歯周ポケット内を洗浄器で約30秒間, 1週間に3回洗浄し, 4週間続けた.一方, 対照群 (33歯面) は, スクラビング法によるブラッシング指導のみを行った.その結果, 0週目と4週目において, PDでは両群とも, 統計学的に有意な差が認められたものの, GCF, GBI, GIにおいては実験群のみに有意差が認められた.また, PLIでは対照群のみに有意差が認められた.さらに, PDの深さにより臨床診査を分析したところ, 深いPDを示すものほど, 炎症の軽減効果が高く認められた.このことは, 水道水の水流による洗浄でも, 歯肉縁下の浮遊性プラークが減少していることを示唆している.また, 歯肉縁上プラークが歯面に付着していても, 歯肉縁下の洗浄でポケット内の炎症の軽減効果が認められた.
  • 後藤 周二, 江川 薫
    1988 年 8 巻 2 号 p. 234-241
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    頭蓋冠を構成している扁平骨の成長期における付加的な骨基質形成を検索する目的で, 幼若なWistar系ラットの頭頂骨の内外表層基質の立体超微形態を, 高分解能の走査電子顕微鏡を用いて観察した.頭頂骨の外表層基質は密な未石灰化の束状と網状のコラーゲン細線維で形成されていた.コラーゲン細線維は直径が約700Åで横紋構造が認められた.頭頂骨の内表面の中央部表層基質は外表面と同様に束状と網状のコラーゲン細線維で形成されていたが, 周辺部の大部分は吸収されており, 吸収面にはきわめて多数の不定形の吸収窩が認められた.吸収窩底には破骨細胞により断裂されたコラーゲン細線維が認められ, コラーゲン細線維には多量の穎粒状構造物が付着していた.また, 均質な穎粒構造を呈している吸収窩底も認められた.頭頂骨の内外面には, 中央部から周辺部にかけて放射状に多数の.血管腔が開口しており, 血管腔壁は密で網状のコラーゲン細線維で形成されていた.内外面の辺縁部には骨小窩が数多く認められるとともに, 骨基質の表層は網状で未石灰化のコラーゲン細線維で形成されていた.頭頂骨の中央部の割断面では最表層から約0.5μmの深さまでは未石灰化のコラーゲン細線維で, コラーゲン細線維層から約0.7μmの深層は穎粒状構造物が付着したコラーゲン細線維で, さらに深層は直径が約400Åの石灰化穎粒による均質な穎粒層で形成されていた.
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