昭和歯学会雑誌
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8 巻, 3 号
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  • 吉木 周作
    1988 年 8 巻 3 号 p. 247-255
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
  • 五島 衣子, 久野 斉俊, 岡 秀一郎
    1988 年 8 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ブトルファノール, ハイドロキシジンの前投薬効果を検索するため, 健常成人10名にブトルファノール0.02mg/kg, ハイドロキシジン1mg/kgを筋肉内投与し, 10分, 30分, 60分, 120分に血圧, 脈拍, 動脈血液ガス, 血中カテコールアミンの変動および鎮静状態について検索した.その結果, 血圧に有意な変動はなく, 脈拍は30分, 60分に, Pao2は30分, 60分に, アドレナリンは60分, 120分にコントロールに対し有意に低下, Paco2は120分間を通し上昇がみられた.6例の鎮静状態は良好, 3例は過度, 1例は不良であった.副作用もほとんどみられなかった.しかし, 今回ブトルファノールの投与量では鎮静過度が3例あり, やや過量と考えられ, 若干の検討を要すると思われた.
  • 鈴木 浩
    1988 年 8 巻 3 号 p. 260-273
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    ヒト乳歯の生理的な歯根吸収過程における破歯細胞の形態的ならびに機能的分化を知る目的で, 抜去乳歯を化学固定後, 酸性ホスファターゼ活性の電子顕微鏡的検出を試みた.酸性ホスファターゼ活性は, 電顕的には電子密度の高い沈着物質として観察され, そのX線分析ではリン酸鉛が検出され, 酵素活性の細胞内局在を反映していることがわかった.乳歯の歯根象牙質の吸収組織中には, 多くの単核および多核の前破歯細胞が分布していた.これらの前破歯細胞は波状縁rufnedborderを形成せず, 細胞内小器官の分布にも極性が認められなかった.前破歯細胞の酵素活性は弱く, 少数のライソゾームと空胞に反応物質が観察された.この前破歯細胞が吸収象牙質表面に接すると, 象牙質表面に向けて, 無数の細胞突起を派生し, 波状縁様の構造を形成した.同時に強い酸性ホスファターゼ活性が, ゴルジ装置, 粗面小胞体, ライソゾームそして空胞に認められ, 空胞の多くは波状縁様構造物の基部の細胞質に集積していた.破歯細胞の形態分化がさらに進み, 象牙質に深い吸収窩を形成すると, 吸収窩に対して典型的な波状縁を形成し, また, 強い酸性ホスファターゼ活性を示した.さらに酵素活性の反応物質は, 波状縁の細胞間隙と吸収象牙質表面に沿って検出され, 波状縁の基部では, 酵素の開口分泌縁が観察された.しかし, 破歯細胞のクリアゾーンには, 反応物質はまったく認められなかった.また, 髄腔内吸収における未石灰化象牙前質の吸収に際しては, 破歯細胞は強い酸性ホスファターゼ活性を示すが, 形態的には, クリアゾーンのみを形成し, 波状縁は形成しなかった.また象牙質への酵素の分泌像も認められなかった.細胞化学的対照実験では, 酵素活性は, 基質 (trimetap hosphate) に依存し, 阻害剤であるフッ化ナトリウムによって完全に抑制された.以上の実験結果から, 破歯細胞の形態的分化が酸性ホスファターゼの活性化と平行して進むことがわかった.また破歯細胞の多核化は, 象牙質から離れた吸収組織内で進行するが, クリアゾーンの形成には, 象牙質の未石灰化有機基質が関与し, また波状縁の形成には, 前破歯細胞が象牙質の石灰化基質に接することが必須の条件であると考えられた.さらに, 破歯細胞の酸性ホスファターゼは, 細胞外における象牙質の有機性基質の分解と, その細胞内消化機構の双方に関与していることが示唆された.
  • IV級欠損における支持について
    岡田 正述, 豊島 義博, 五十嵐 順正, 芝 〓彦
    1988 年 8 巻 3 号 p. 274-282
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯の欠損部の両端に残存歯が存在する単なる中間欠損であっても遊離端欠損と同様な設計上の配慮を必要とする症例が臨床で多く認められる.これはKennedy IV 級欠損や, 欠損部の経過が弓状を呈した症例に認められ, ポンティックには回転モーメントが生じ, 支台歯にはトルクが発生することが懸念される.この場合, 義歯の支持, 支台歯の負荷については従来臨床経験から判断されてきたのみであり, 支台歯の負荷という観点からの検討が必要と考えられた.そこで実際のIV級欠損症例において検討を加えた。同一欠損長で, 4種の前方突出度を有する被験ブリッジを, 支台装置は全部冠, ポンティック部はプロフィルワックスにて調製し, パラジウム合金で鋳造し, ポンティック下に顎堤に適合した有床部を付与した.測定は4種のポンティックを有するブリッジ中央部に荷重を行い, 支台歯の動揺を非接触微小変位センサーにて計測した.なお, 支台歯の生理的動揺量はMühlemannによる5009荷重下での動揺量を基準とした.測定の結果, 突出度の増大により支台歯の動揺量は増加し, 突出度の大きい場合には床による動揺の抑制効果がとくに認められた.
  • 遊離端義歯における顎粘膜支持の影響について
    五十嵐 順正, 河田 守弘, 芝 〓彦
    1988 年 8 巻 3 号 p. 283-296
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    咬頭嵌合位における下顎位は下顎「支持域」と呼ぼれる小・大臼歯部の咬合接触によって構成されている.これらの咬合接触が失われた場合, すなわち遊離端欠損歯列となった場合, これを義歯により再構成することは顎口腔系の機能の保全という観点から重要である.遊離端義歯の顎粘膜支持要素が下顎「支持域」の回復に及ぼす影響を検討するため義歯の維持装置をレストなしワイヤークラスプとレスト付鋳造2腕鉤の二つとし, 有床部の印象法を粘膜静態印象粘膜加圧印象の2種床外形の設定を全部床外形, 部分床外形および床粘膜面を削除の3種とし, それぞれの組合せの実験補綴物を装着し, この時の義歯床人工歯列による下顎「支持域」の回復の状態を測定した.
  • 瀬川 和之, 町田 尚道, 飯倉 智, 北村 昌三
    1988 年 8 巻 3 号 p. 297-306
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    活発に基質が形成されている胎生中期の胎児の下顎体部を材料として, 骨基質の超微形態上の変化を, 高分解能の走査電子顕微鏡で観察するとともに, あわせて未石灰化および石灰化骨基質を透過電子顕微鏡で観察した.骨芽細胞下には最表層から約10μmにわたって未石灰化骨基質が形成されていた.骨基質の最表層の大部分は, 疎または密なコラーゲン細線維網で形成されていたが, しばしぼ直径約300-500Åの穎粒状構造物が散在性に付着したコラーゲン細線維束で形成されている部分も観察された.コラーゲン細線維網の深層は, 規則的に配列されたコラーゲン細線維束で形成されていた.したがって, コラーゲン細線維は, 逐次網状から束状へと改変されると考えられる.骨基質の表層には, しばしば穎粒状構造物が堆積してコラーゲン細線維の構造が消失している部分も認められた.穎粒状構造物は骨基質の深層にいくとともに徐々に増加し, 最表層から約10μmよりも深層では, 願粒状構造物によって埋没された不明瞭な線維様構造物以外は, ほとんど大部分が均質な穎粒構造を呈していた.最表層から約10μmと20μmの深さの骨基質のX線分析の結果を比較すると, 約10μmの領域は約20μmの領域よりもCaとPの濃度が低かったが, 両領域の穎粒状構造物はCa・P比から石灰化物か石灰化物を含有する構造物であると考えられる.
  • 横田 芳彦, 江川 薫
    1988 年 8 巻 3 号 p. 307-315
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    未成熟骨, 成熟骨および老齢骨の表層基質の立体超微形態を観察し, 増齢に伴う骨表層基質の変化を明らかにする目的で, 生後4週齢, 20週齢および62週齢のWistar系ラットの大腿骨幹部を材料として, 高分解能の走査電子顕微鏡を用いて観察した.未成熟骨の最表層は, 密な網状構造を呈する未石灰化のコラーゲン細線維で形成されていた.コラーゲン細線維は直径が約700Åで, 約600Åの周期的な横紋構造が認められた.成熟骨の表層基質は, 骨の長軸方向に走行する未石灰化の束状のコラーゲン細線維か, 直径が約200-700Åのきわめて多量の顯粒状構造物が付着しているコラーゲン細線維束かで形成されていた.穎粒状構造物は, 深層部基質を構成するハイドロキシアパタイトの結晶で形成された石灰化顯粒と同様の構造物であると考えられる.表層基質のコラーゲン細線維に付着している石灰化穎粒が相互に融合している部分も認められた.また, 束状の隷ラーゲン細線維に石灰化穎粒が分節状に集積している部分も認められた.老齢骨の表層基質は, きわめて多量の直径が200 Å前後の石灰化顯粒が付着したコラーザン細線維束で形成されていた。また, 石灰化穎粒が相互に融合して均質な穎粒構造を呈する表層基質も認められた.未成熟骨は表層から1.5-2.0μmはコラーゲン細線維の層で形成されているが, 老齢骨の大部分は表層まで石灰化していた.
  • 若林 始, 西濱 亮介, 中村 幸生, 立花 均, 松本 光吉
    1988 年 8 巻 3 号 p. 316-324
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    編蝕や充填物のない, 根管未処置のヒト抜去歯の根管壁象牙質の形態を縦断面と横断面に分け, 走査型電子顕微鏡で観察した.根中央部から根尖部にかけて, 定型的な石灰化球の配列のほか, 樹枝状または網状の石灰化構造および部分的な隆起が壁面に観察され, 横断面では象牙細管の走行の変異や乱れがそれらに付随してみられた.これらの形態は病的なものではなく, 根管の狭窄に伴い象牙細管の直線的な走行が部分的に障害されることによって生じた生理的なものであると考えられた.また, 根管中央部から下部にかけては多くの側枝, 分岐が存在した.
  • 人工歯根の考案,試作と組織学的検討
    大野 康亮, 杉本 明, 代田 達夫, 宮本 宰, 松井 義郎, 道 健一, 大谷 俊一, 秦 博文, 山縣 健佑
    1988 年 8 巻 3 号 p. 325-336
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口腔癌手術後の顎補綴に応用するために上下顎前歯・第1小臼歯部用の2ピースタイプ, 円柱型, 上顎臼歯部用のサンドウィッチ型, および下顎臼歯部用の円盤型の3型の緻密質ハイドロキシアパタイト金属 (チタン) 複合体人工歯根を考案, 試作した.2ピースタイプ, 円柱型人工歯根では埋入1か月でアパタイトと周囲骨との間で線維骨による骨性癒合が見られ, 7.5か月以後には層板骨による骨性癒合が見られた.人工歯根の周囲粘膜には上皮の深行増殖, 病的ポケットの形成などが見られた.人工歯根の穿孔部周辺の鼻腔底, 上顎洞底粘膜には炎症などの異常所見は見られなかった.一部の人工歯根のアパタイト表面で, 単核あるいは多核の細胞による吸収と非細胞性と思われる吸収とが観察された.今回, 組織学的に検討した3型の人工歯根の中では2ピースタイプ, 円柱型が最もよい成績を示した.
  • 人工歯根の臨床応用
    大野 康亮, 松井 義郎, 代田 達夫, 杉本 明, 吉田 広, 道 健一, 大谷 俊一, 秦 博文, 山縣 健佑
    1988 年 8 巻 3 号 p. 337-348
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    口腔癌治療後の3例の顎補綴難症例に2ピースタイプ, 円柱型アパタイト金属 (チタン) 複合体人工歯根を応用した.アバットメント手術を行った3例の人工歯根はすべて臨床的にosteo-integrationが認められた.上部構造は3症例ともオーバーデンチャータイプとした.人工歯根と上部構造との結合様式はOPアンカータイプのアタッチメントで, 特殊ゴム製のリングとラバーキャップからなる緩衝機構を内蔵させた.人工歯根を応用した顎補綴物の機能検査の結果では3症例とも咀特能力の向上が認められた.これらのことは, 2ピースタイプ, 円柱型アパタイトチタン複合体人工歯根の顎補綴への応用の可能性と有用性を示すものと考えられた.
  • Yumiko ETOH, Mitsuyoshi TAKAHASHI, Ayako YAMAMOTO
    1988 年 8 巻 3 号 p. 349-354
    発行日: 1988/09/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    Asaccharolytic, gram-negative, anaerobic vibrios, which require formate and fuma-rate for growth in broth culture have been isolated from plaque in gingival crevice of adults without periodontal disease. They were suspected to be Wolinella species phenotypically from guanine-plus-cytosine (G+C) contents. Seven isolates were compared with Wolinella curva ATCC 35224, Wolinella. recta ATCC 33238 and Wolinella succinogenes ATCC 29543 with respect to cellular and colonial morphologies, biochemical and serological characteristics, G+C content of DNAs, and DNA homology. Five strains were identified as W. curva, and the remaining two strains had some distinct features from all three species. The major distinctions were : 1) several flagella at one end of the cell observed by electron microscope; 2) biochemical and biological characteristics including ability to decompose H2O2, growth at 25°C, growth in the presence of sodium fluoride, and reduction of neutral red or benzyl viologen; 3) serological difference by whole cell agglutination tests; and 4) absence of DNA homology. We propose the name Wolinella curva subsp. intermedius as a new subspecies for these two strains.
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