日本皮膚科学会雑誌
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101 巻, 2 号
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  • 金 芬香, 岩月 啓氏, 堀口 大輔, 菅谷 圭子, 中山 富紀子, 小出 まさよ, 滝川 雅浩, 山田 瑞穂
    1991 年 101 巻 2 号 p. 89-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    成人T細胞白血病(ATL)細胞と,HTLV-1感染細胞株におけるウイルス抗原の発現様式について検索した.私達が作製した単クローン性抗P19抗体,抗P24抗体は,ともにHTLV-1粒子のcoreと反応した.精製したヒト抗HTLV-1抗体は,HTLV-1粒子ばかりでなく,細胞質に局在するウイルス粒子の前駆体とも反応した.ATL患者血液中より分離した直後の腫瘍細胞には,ウイルス抗原は認められなかった.しかし,患者リンパ球を短期間培養すると,3~5%の細胞にP19またはP24 抗原の発現が認められた.ヒト抗HTLV-1抗体を用いると5~10%が陽性を示した.5-iodo-2'-deoxyuridine(IdUrd)の添加により細胞増殖は抑えられたが,ウイルス抗原陽性細胞の割合は増加した.一方,HTLV-1感染細胞株では,短期培養のATL細胞とくらべ,ウイルス抗原陽性細胞は約20~30%に増加し,細胞形態からも,本来のATL細胞から逸脱したものが認められた.
  • 佐藤 伸一, 竹原 和彦, 石橋 康正
    1991 年 101 巻 2 号 p. 97-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    抗セントロメア抗体(anticentromere antibody,以下ACA)陽性29例を,①全身性強皮症(systemic sclerosis,以下SS)或いはレイノー現象のみを有する患者(SS/Ray群)16例,②SS以外の膠原病(CTD群)7例,③上記①②に属さないその他(Other群)6例に分類した.各群について,免疫グロブリンクラス別ACA力価,C3及びproperdin結合性ACA力価を間接蛍光抗体法にて測定した.また,補体活性化能の指標としてC3-fixing ACA(C3-FACA)/IgG ACA及びproperdin-fixing ACA(properdin-FACA)/IgG ACAを用いた.以上の点から,ACAの諸性質の相違を各群間で検討した.SS/Ray群の全免疫グロブリンは全例1,024倍以上の高力価を示したが,properdin結合性ACAは全例256倍以下の低力価であった.これとは対照的に,他の2群の全免疫グロブリン力価には大きなばらつきが認められ,CTD群及びOther群では13例中4例で512倍以下であった.C3-FACA/IgG ACAでは,Other群がSS/Ray群より有意に高値を示し,properdin-FACA/IgG ACAではCTD群及びOther群はSS/Ray群に比べて有意に高値であった.また,IgM型ACAについては,SS/Ray群により高頻度に陽性となる傾向が認められた.以上より,全免疫グロブリンで低力価を呈するか,或いはproperdin結合性ACAで高力価を呈する例は62%の感受性,100%の特異性をもって,SSの疾患スペクトラムに属さないこと,また,CTD群,特にOther群ではACAの補体活性化能が高いことが示唆され,ACAの出現機構はいまだ解明されてはいないが,SS/Ray群とそれ以外で認められるACAは異なる性質を有することが示唆された.
  • 小黒 啓子
    1991 年 101 巻 2 号 p. 105-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    ボーエン病(BD),光線角化症(AK),基底細胞上皮腫(BCE),有棘細胞癌(SCC)の各腫瘍について,ラミニン(LN),Ⅳ型コラーゲン(CIV),ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG),コンドロイチン6硫酸(C6S)に対する抗体を用いて,間接蛍光抗体による二重染色法を施行し,腫瘍基底膜の構成成分を検討した.BDでは,各基底膜成分は表皮真皮境界部に,線状,連続性に認められた.AKでは,LN,CIV,HSPGは線状,連続性に認められたが,C6Sは断裂している症例が存在した.BCEでは,LNとCIVは腫瘍巣の全周に連続性に認められたが,HSPGとC6Sは症例により染色パターンに差を認めた.SCCでは,LN,CIV,HSPGは,連続性のものと断続性のものがあり,悪性度の高いものほど断続性となる傾向があった.C6Sは,ボーエン病様の組織像を示すSCC(SCC-BD)では腫瘍巣周囲の一部に認められたが,その他のSCC(SCC-NB)では全く欠如していた.以上より,各腫瘍により基底膜構成成分に差が認められ,腫瘍の浸潤様式に差異があることが示唆された.
  • 平井 俊二, 影下 登志郎, 中村 尚, 吉井 章, 木村 達, 荒尾 龍喜
    1991 年 101 巻 2 号 p. 115-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    ヒト正常皮膚における血液型物質関連抗原(Lewis A,B,CA19-9,sialyl SSEA-1)の局在をモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討した.正常表皮細胞はすべて陰性であったが,粘膜上皮では,Lewis A,Lewis B抗体により上皮細胞膜に一致した陽性所見が得られた.エックリン汗器官では,表皮内および真皮内導管上皮の細胞質すべてに,Lewis A,Lewis BおよびCA19-9の抗体で陽性所見が得られた.同分泌部では,腺上皮細胞質にLewis B抗体で過半数に陽性所見が認められた.また,Lewis A抗体陽性の場合にのみ,CA19-9の抗体で陽性所見が得られた.シアリルSSEA-1の抗体は,エックリン汗器官に対しては,わずかに顆粒状に陽性を示した.また,Langerhans cellと思われる樹枝状細胞と,浸潤リンパ球の一部で,陽性所見が得られたことは興味深い.いずれの場合にも,末梢のLewis式血液型との関連は認められなかった.
  • 滝口 好彦, 伊藤 信夫, 鈴木 正夫, 金子 史男, 皆川 知紀
    1991 年 101 巻 2 号 p. 121-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    水疱性類天疱瘡(BP)の水疱液中から,γ-interferon(IFN-γ)が検出され,免疫組織学的に病変部浸潤T細胞胞体にはIFN-γの存在を証明できることを既に報告した.このたびは,さらに,IFN-γが正常皮膚に与える影響について観察するため,正常皮膚器官培養を行って,光顕的・免疫組織学的に検討した.その結果,培養液中に高濃度のrecombinant-IFN-γ(r-IFN-γ)を添加することにより,器官培養皮膚にはBP類以のdermal-epidermal separation(DES)が生じ,表皮細胞のHLA-DR発現率も経時的に増加傾向を示した.さらにr-IFN-γ添加器官培養皮膚にて,DES部に線溶現象が認められた.以上から,BP病変部においては,刺激されたT-cellの分泌するIFN-γが水疱形成に一役を演じていると考えられる.このことは,BPでは水疱形成機序に,血清免疫反応に加えて,遅延型反応も関与していることを,示唆する.
  • 矢島 ゆかり, 末木 博彦, 藤澤 龍一
    1991 年 101 巻 2 号 p. 129-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病患者皮膚においては暦年齢に比し,角質細胞面積の増大,角層turnoverの遅延が認められ,暦年齢に比し老化の亢進した状態にある可能性を検討することを目的とした.各年代の糖尿病患者50名,各年代の健常人43名を無作為に抽出した.角質細胞は,下腿伸側皮膚表面よりTriton X-100リン酸緩衝液に浮遊させて採取し,methylen blue,rhodamine Bにて染色後,1名につき27±3個の角質細胞面積を測定し平均値±標準誤差値を算出した.次に糖尿病群,control群より無作為に各々7例を抽出し,採取された角質細胞数を測定し,何層分の角質細胞が採取されたかを算出し,両群を比較した.control群においては,暦年齢と角質細胞面積との間に有意の相関関係が認められたのに対し,糖尿病群においては,暦年齢と角質細胞面積との間に有意の相関関係が認められなかった.角質細胞面積は,control群に比し,糖尿病群で大きく,30,60,70歳代では統計学的有意差が認められた.糖尿病の重症度,治療法,糖尿病に伴う皮膚病変それぞれと,角質細胞面積との間には,いずれも有意の相関関係は認められなかった.採取された角質細胞数は,control群2.21±0.47×105個,糖尿病群2.49±0.55×105個であり,両群間に有意差は認められなかった.以上の結果より糖尿病患者下腿皮膚における角質細胞面積は同じ暦年齢の健常人のそれに比し,有意の増大傾向が認められ,角層turnoverが遅延しているものと考えられた.
  • 1991 年 101 巻 2 号 p. 135-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
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