日本皮膚科学会雑誌
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101 巻, 4 号
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  • 河合 敬一, 河合 享三, 小西 啓介, 岸本 三郎, 金光 健宅, 亀井 宣昭, 尾林 博, 岡田 富雄, 小西 宏明
    1991 年 101 巻 4 号 p. 415-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    皮膚表面上および汗中に含まれる分泌型IgA(S-IgA)をサンドイッチ酵素免疫測定法により測定した.温熱負荷により得られた汗に含まれたS-IgA値(sweat S-IgA)は,身体部位により分泌量の差があり,分泌量は顔面>胸部>前腕の順であった.また,平常安静時の皮膚表面上のS-IgA値(skin surface S-IgA)にも,身体部位より測定値に差を認め,顔面(前額部>0・煤j>胸部>手掌≒前腕>足底の順であった.また,このskin surface S-IgAは,同時に測定した角層水分量との相関は認めなかったが,皮表脂質量とは正の相関を認めた.
  • 池田 和人
    1991 年 101 巻 4 号 p. 421-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    男性における脂腺の年齢による形態的変化を明らかにするために,7歳から77歳まで16例の男性の前額部の正常皮膚の生検材料より連続切片を作成し,三次元画像解析システムを用いて脂腺腺葉の最大断面積,体積および脂腺細胞の体積,細胞数を測定した.また,電顕的に各脂腺の微細構造を検索した.脂腺の体積値は10歳代に著明に増大し,20~40歳代で最大となり,60歳代から縮小する傾向を示す.脂線腺葉の最大断面積は,20歳以後加齢による明らかな変化を示さなかった.脂線細胞の数は腺葉の体積に正の相関を示すが,細胞の大きさは同一の腺葉においても差異が大きく明らかな相関は認められなかった.しかし,脂腺細胞は16歳,45歳,77歳例の比較では45歳例が最も大きく77歳例がこれに次いだ.電顕的に,大きな脂腺の周辺細胞は,立方形で3~4層,小さい脂腺の周辺細胞は,扁平で1~2層であり,成熟脂腺細胞は大小の脂質滴が充満していた.これらの結果から男性の脂腺腺葉は,小児期から成人期にかけては脂腺細胞の数,体積とも増加して急速に腺葉の体積の増加を示すが,20~50歳代では加齢による変化は明らかではないと言える.これはこの年代の男性のテストステロン値に個人差が大きい理由も考えられるが,皮脂の分泌量で表わされる脂腺の機能が40歳代には減衰する傾向と合致せず,今後さらに検討が必要である.しかし60歳以降では脂腺細胞の数も体積も減少して腺葉が萎縮することが明らかになった.さらに,男性の脂腺の加齢による形態の変化は,女性の脂腺が20歳代を最大値として明瞭な変化を示すのと大きく異なることが明らかになった.
  • 新井 春枝, 伊藤 篤, 橋本 明彦, 衛藤 光, 西山 茂夫
    1991 年 101 巻 4 号 p. 427-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    30歳,女性.SLEの治療中に生じた脱毛斑がPSLの内服中断後に浸潤隆起し,腫瘤状となる.組織所見は蛍光抗体所見も含めループスの典型像である.特異な所見は基底層直下から中層および皮下葉間結合織内,細小血管周囲および皮下小動脈の内皮下と脈管(血栓)内に黄色腫細胞をみることである.この細胞は多数の顆粒を保有し,その顆粒数は均等でなく,ジャスターゼ抵抗性PAS陽性,免疫グロブリン陽性,sudan black BおよびⅢで陽性,nile blue染色で淡い桃色~紫紅色である.またyellow-orange色の自家発光を呈する(lipofuscin-lipid peroxidation fluorescent products).脂腺毛嚢の変化,殊に障害脂腺に対してリンパ組織球の反応がある.組織球は中性乃至酸性脂質滴を保有し,リンパ球は微細な酸性脂質顆粒を付着する.このリンパ球は細小脈管内にも認められる.リンパ球はB細胞優位であり,劣位であるT細胞の主体はサプレッサー/細胞障害性T細胞(Tc/s)であるなど従来と異なる結果を見た.免疫複合体に対し組織球とリンパ球がエフェクター細胞等として浸潤し,活性化Mφからの活性酸素の作用などで脂腺崩壊と脂腺由来脂質の酸化をきたし,黄色腫細胞が形成されたと考えた.PSLの内服で軽快した.
  • 大滝 倫子
    1991 年 101 巻 4 号 p. 439-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    1978年より1989年まで当科を受診した寄生虫妄想の患者数は94例,男34例,女60例である.44歳以下では性差はないが,45歳以上では1:2.1と女性が多い.女性では50~54歳に,男性では60~64歳にピークがある.女性では45歳より69歳までが60例中46例(77%)を占める.独居者が多く,その率は一般の3倍と高い.発症の契機は多様であるが,男性では定年退職を,女性では家族との死別,離別などによる独居を契機にした例が多い.皮膚症状の無い例は42例(45%)で,皮膚症状の有るものでは掻破痕が多く28例(29%).妄想の虫の種類はダニが最も多く58例(62%)である.皮膚の感覚錯誤が妄想の成立に関与した例は59例(63%)で,聴覚錯誤は2例(2%)であった.身近な人への本症の感染(精神科では感応という)は23件(確認出来たものは9件)ある.必ずしも感応者および被感応者は女性とは限らない.本症の治療にあたっては患者の話を良く聞くことが大事である.
  • 新澤 みどり, 真家 興隆, 浅沼 義博, 斉藤 敏昭
    1991 年 101 巻 4 号 p. 447-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    47歳,男性.初診2ヵ月前より紅斑と皮膚潰瘍,ついで筋症状が出現し,入院となる.全身の筋痛・脱力が著明で,筋逸脱酵素は異常高値を示した.大量のステロイドにて治療中,症状の再燃に引き続き盲腸部の穿孔をきたしたが,緊急手術にて救命.サイクロスポリンの併用が奏功して症状は回復に向かっている.皮膚潰瘍部の生検像では真皮から皮下組織にかけての血管炎・血管閉塞像・壊死を認め,また人工肛門閉塞術時に得られた盲腸部の組織でも同様の血管変化を認めた.皮膚症状と筋症状・消化管穿孔は共通した血管障害を基盤として生じたものと思われる.
  • 加藤 直子, 古屋 和彦
    1991 年 101 巻 4 号 p. 453-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    Transient Acantholytic Dermatosisの自験2例を報告するとともに,本邦報告20例をまとめた.報告例は男性10例,女性10例で,平均年齢は52.6歳で,40%が50台に発症していた.病悩期間が数ヵ月までで真に一過性の経過を有する症例は僅かに7例で,年余にわたり改善と増悪を繰り返すなど再発性の例が6例に及んでいた.罹患部位は,14例が腹部および腰部を含めた躯幹に集中し,次いで四肢が12例であった.自覚的に瘙痒を訴える例が12例と多く,時期的には夏から秋に症状を有する例が9例であった.組織学的に観察される表皮細胞の棘融解像は,Darier-like patternが最も多く9例に,次いでspongiotic patternが5例に認められていたが,他の型との混在型も多かった.治療はetretinateの内服を試みている例が8例あり,ほとんどの例では有効であった.
  • 松井 喜彦, 西井 芳夫, 前田 求, 岡田 奈津子, 吉川 邦彦
    1991 年 101 巻 4 号 p. 461-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    23歳,男性の肥大性皮膚骨膜症例を報告した.脳回転状皮膚,ばち状指趾および四肢長管骨の骨膜性骨肥厚を認め,検査の結果基礎疾患がないことから,特発性の肥大性皮膚骨膜症完全型と診断した.内分泌学的検査では血清中FSH,LH,エストラヂオールおよびエストリオール値の増加をみとめた.前額部皮膚生検では,真皮の肥厚と皮脂腺の過形成を呈し,間質にはアルシャンブルーおよびコロイド鉄陽性の物質が沈着していた.治療として前額部および上眼瞼の除皺術を施行した.自験例を含め本邦で今日までに報告されている本疾患121例を集計し文献的考察を併せて行った.
  • 青木 宣明, 清水 直也, 伊藤 雅章, 山本 綾子, 竹之内 辰也, 松村 剛一, 佐藤 良夫
    1991 年 101 巻 4 号 p. 469-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    1歳3ヵ月,女児.生後3ヵ月頃より顔面に褐色小丘疹が多発.組織学的に真皮上層から中層に組織球様細胞の浸潤を認め,浸潤細胞はS-100蛋白染色陰性であった.電顕的にこれらの胞体内にはcomma-shaped bodiesを,細胞間にはデスモゾーム様の構造を認めたが,Birbeck顆粒はみられなかった.以上の所見から,non-X histiocytosisの1つであるbenign cephalic histiocytosisと診断した.自験例は,本邦における本症第1例であると思われる.
  • 1991 年 101 巻 4 号 p. 473-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
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