日本皮膚科学会雑誌
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103 巻, 5 号
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  • 鷲尾 かおる
    1993 年 103 巻 5 号 p. 609-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    毛ケラチン蛋白として,ケラチン線維にあたる毛線維蛋白(HFP)と線維間物質である毛基質蛋白(HMP)が知られている.HMPは,さらに分子量15Kd~28Kd,等電点pH 5.0~7.0の酸性ポリペプチド群(aHMP)と分子量18.5Kd~28Kd,等電点pH7.8~8.8の塩基性ポリペプチド群(bHMP)および分子量約30Kd以上,等電点pH 8.0~9.0のultra-high-sulfur protein(UHS)より構成される.今回,ヒト毛髪より抽出したHMPに対する単クローン抗体E4-13を作製し,生化学的,免疫組織化学的に検討した.E4-13はimmunoblot法でaHMPのうち分子量15Kdのスポットを除く20Kd,26Kd,28Kdのポリペプチド群,bHMPのうち分子量28Kdのスポットを除く18.5Kd,26Kdのポリペプチド群およびUHSを認識する.これらのポリペプチド群は酸性領域から塩基性領域にかけて広範囲の等電点を持つが,E4-13により等しく認識されることから免疫学的に類似したものであることが示唆された.免疫組織化学では,ヒト頭皮のエタノール固定,S-carbamoylmethylation処理した切片の角化帯の毛皮質細胞および毛小皮細胞と反応し,また,エタノール固定,トリプシン処理した切片の毛髄の毛髄顆粒および内毛根鞘のトリコヒアリソ顆粒と反応した.以上より,HMPの毛皮質と毛小皮における局在が確認されただげでなく毛髄顆粒とトリコヒアリン顆粒にHMPと免疫学的に類似する蛋白が存在することが示唆された.
  • 大西 誉光, 渡辺 晋一, 高橋 久, 市川 栄子, 北原 比呂人, 石橋 康正
    1993 年 103 巻 5 号 p. 617-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    乳房外Paget病23例(外陰Paget病14例およびその転移1例,腋窩Paget病6例,臍下及び肛囲が各1例ずつ)について,13種類のモノクロ―ナル抗ケラチン抗体と抗イソボルクリソ抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い,以下の結果を得た.外陰部,腋窩部,肛囲,臍下の各乳房外Paget病ではケラチン発現パターンに特に差異は認められず,乳房外Paget病のPaget細胞は正常汗腺分泌部腺細胞と同様のケラチン発現パターンを示した.さらに乳房Paget病4例,乳癌4例,直腸癌の皮膚浸潤1例について同様の比較検討を行ったが,乳房Paget病,乳癌との間にもケラチン発現パターンの明らかな差異は認められなかった.
  • 新井 春枝, 菅谷 和江, 浅井 寿子, 関根 敦子, 衛藤 光, 西山 茂夫
    1993 年 103 巻 5 号 p. 625-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    全身性エリテマトーデスの皮膚病変内にリポフスチンを含有する組織球(Mφ)が蓄積する例を黄色腫様病変として,すでに報告した.今回,リポフスチンの性状を免疫組織化学的に検討した.UV下でyellow-orangeからyellow-gold色までの自家螢光を発する微細な顆粒(リポフスチン)をMφ内に認めた.多くの顆粒は従来から報告されているacid-fast pigment(ceroid)と同じであった.このほかに新しいタイプの顆粒を観察した.便宜上,1)non acid-fast type,2)acid-fast type(acid-fast pigment)および,3)melano-lipo typeの3型に大別した.Sudan BB との親和性およびiron binding は3型に共通して認められた.しかし,抗リゾチームおよびマクロファージ抗体との結合能はnon acid-fast typeおよびmelano-lipo typeに強かった.反対にacid-fast typeはbasophiliaの増強に伴い減弱し,かつ陰性となった.Melano-lipo typeはstrong basophiliaで,かつnegativeのメタクロマジーを示し,かつAg還元能を示した点なとがらメラニン由来の可能性を述べた.
  • 秋山 尚範, 阿部 能子, 下江 敬生, 荒田 次郎
    1993 年 103 巻 5 号 p. 643-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    免疫抑制マウスの背部皮膚にStaphylococcus aureus ATCC29213株による感染病巣を作成した.各種外用抗菌薬を1日1回塗布し,菌接種3,5,7,10日目に接種部位の浸出液を培養した.分離S. aureusの最小発育阻止濃度(MIC)測定およびefficiency of plating(EOP)を測定した.1) ATCC29213株のEOPは,gentamicin(GM)16μg/ml 1.5×10-9,fusidic acid(FA)16μg/ml 5.1×10-7,ofloxacin(OFLX)16μg/ml 5.1×10-9,mupirocin 16μg/ml 1.0×10-6,oxacillin(MPIPC)16μg/ml 5.1×10-9であり,検索したすべての抗菌薬に対して少数の自然耐性変異菌が存在した.2) ATCC29213株をマウスに接種後,2%FA軟膏を外用5日目に採取したS. aureusの任意の8コロニーのMICはFA,MPIPCともに128μg/ml以上に上昇が認められた.接種前のS. aureus ATCC29213株,マウスに接種後2%FA軟膏5日間外用後に病巣より採取したS. aureusは,いずれもmec A gene陰性であり,コアグラーゼ型,ファージ型,β-lactamase産生能は同一であった.これらの結果はATCC29213株の内に存在する少数の自然耐性変異菌が2%FA軟骨外用により選択されたことを示している.3)各種外用抗菌薬塗布10日目に採取したS. aureusのEOPについて検討した.0.1%GM軟膏外用ではEOPはGM 16μg/ml:0.25であった.2%FA軟膏外用ではEOPはFA 16μg/ml:0.53,FA 128μg/ml:0.31,MPIPC16μg/ml:0.25であった.0.3%OFLX軟膏外用ではEOPはOFLX 16μg/ml:3.5×10-5>であった.2%mupirocin軟膏外用ではEOPはmupirocin 16μg/ml:6.8×10-4であった.4)0.1%GM軟膏と2%FA軟膏を併用すると,0.1%GM軟膏単独外用時に出現したGMの耐性菌は選択されなかった.外用10日目の時点での比較では,2%FA軟膏単独外用時に出現したFAの高度耐性菌(FA 128μg/ml含有平板に発育した菌)およびMPIPCの耐性菌は選択されなかった.以上より皮膚科領域S. aureus感染症に対する外用抗菌薬は,薬剤によっては耐性菌選択の可能性がかなりあり,それを予防する方法として,現在使用可能な外用抗菌薬のうちでは0.1%GM軟膏と2%FA軟膏を併用して用いるのが有用ではないかと考えられた.
  • 横関 博雄, 片山 一朗, 西岡 清, 西山 茂夫
    1993 年 103 巻 5 号 p. 649-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    歯科金属アレルギーが原因と考えられた異汗性湿疹の5例を経験した.それぞれの症例に金属パッチテスト,金属内服試験を施行し血中のクロム濃度を測定した.その結果クロム内服にて異汗性湿疹が誘発されたのは5例中3例,ニッケル内服にて誘発されたのは5例中2例であった.誘発された5症例中4症例でパッチテストにおいても誘発された金属に陽性であった.クロム内服試験にて陽性であった3症例において血中クロム濃度が高値であった.血中クロム濃度が異常に高値を認めた1症例では除去した歯科金属をX線マイクロアナライザーで分析したところ大量のクロムを含んでいることが証明された.また5例中で2例で歯科金属除去により掌蹠の皮膚症状が改善した.以上より,これらの症例における異汗性湿疹の発症機序に歯科金属が関与している可能性が示唆された.
  • 林 伸和, 大河内 仁志, 相馬 良直, 古江 増隆, 石橋 康正
    1993 年 103 巻 5 号 p. 655-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    濃厚食塩水の皮下注射による自傷症を経験したので報告した.症例は,38歳,女性.3人姉妹の次女.長女結婚後,養子を取るべく婚約したが,破談になり,その後しばらくして突然壊死性病変が出現するようになった.近医,他院で診断不明のまま,約10年間,種々の治療が行われたが新生が続き当科初診,入院となる.初診時,pyoderma gangrenosum を疑った.新生疹の組織像は炎症性細胞浸潤を伴わない血管の拡張,血栓形成.新生疹に針穴有り.自傷を疑う.惨出液の分析によりナトリウムイオンと塩素イオンが異常高値を示した.濃厚食塩水をマウスに注入したところ同様の臨床像を示し組織学的にも血管の拡張,血栓形成が確認された.家族に自傷症の診断を告げたところ病室より350gもの大量の食塩が家族により見つけられた.注射器などは見つがらなかった.以上より濃厚食塩水による急性壊死性病変を呈した自傷症と診断した.
  • 酉抜 和喜夫
    1993 年 103 巻 5 号 p. 663-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    複合ビタミン剤(ノイロビタン錠R)内服約3週後より日光裸露部に紅斑・漿液性小丘疹を生じた1例につき報告した.本剤による日光過敏症の報告はこれまでにはない.貼布試験の結果はICDRG判定基準により(■),同じく光貼布試験(UVA 6J/cm2)の結果は(■)と反応増強.正常人コントロール5名について同様試験を施行したがすべて陰性であった.したがって,本症例は,光遅延型アレルギー性薬疹発症中に光なしの遅延型アレルギーも誘導されたものと考えられた.
  • 1993 年 103 巻 5 号 p. 667-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
  • 1993 年 103 巻 5 号 p. 740-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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