第1報で報告した学校集団のアトピー性皮膚炎(AD)について,さらに以下のことがわかった.1.ADの誕生月別有病率は多少の変動はあるが,一定の傾向は認められなかった.またすべての月で女子の有病率が男子より高かった.2.ADの増悪する季節を調べたところ冬に増悪する数が特に多く,秋は特に少なかった.3.AD患者が季節別に増悪する割合は低学年と高学年では異なっていた.低学年になるほど冬の増悪率は著明に高かった.夏の増悪率は低学年で著明に低かった.一年中症状のあるADの割合は学年区分(3学年別)が進むにしたがって高くなり,小学1~3年では20.5%,高校では25.5%であった.中学・高校生のADの増悪率は夏と冬および「一年中」で高かった.秋はすべての学年区分で増悪率は最も低かった.また増悪率はすべての季節でほぼ一定して小学1~3年>小学4~6年>中学>高校の順であるか,または全くその逆であるかのいずれかであった.4.肘窩,または膝■に皮疹が生じる割合は低学年で低く,学年が進むにしがって高くなった.5.ADが鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息を合併する割合(既往を含む)は小学4~6年以上では一定して約52%であった.ADがこれらの3疾患を合併する割合の推移は,ADの遺伝素因が気道アレルギーの遺伝素因とは別のものであることを示唆する知見の一つと考えた.
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