日本皮膚科学会雑誌
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104 巻, 6 号
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  • 1994 年 104 巻 6 号 p. 733-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
  • 金森 幸男, 立原 利江子, 中村 進一, 飯田 和美
    1994 年 104 巻 6 号 p. 737-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    ヒトメラノーマ細胞樹立株の一つであるMewoを使用して,温熱傷害からの回復を,DNA合成,RNA合成および蛋白合成の3つの合成系に分けて検討を加えた.40℃,30分間の温熱処理では,controlと比較した% synthesisを指標とした場合,RNA合成が95.5%,また蛋白合成は94.6%となり,抑制が認められなかった.しかしながらDNA合成だけは,63.5%と抑制された.この抑制は,4日目には85,8%と一部回復を示したが,不完全であり,11日目には98.5%となり完全に回復した.43℃,30分間の温熱処理は,DNA合成を46.8%に抑制した.4日目でも47.8%と抑制が持続し,4日目はほとんど回復を認めなかったが,11日目には97.8%になり,完全に回復した.40℃および43℃,30分間の温熱処理からのDNA合成の回復は,共に11日目には完全となったが,その回復の過程は,異なることが明らかとなった.43℃,30分間の温熱処理では,RNA合成が35.2%となり,今回の実験において最大に抑制された.しかしながら,この抑制は,4日目には完全に回復した.43℃,30分間の温熱処理では,蛋白合成は,1日目に70.8%となり,4日目には80.1%と一部回復を示したが不完全で,11日目に完全に回復した.Mewoの温熱処理からの回復は,DNA合成,RNA合成または蛋白合成のいずれを指標とするかによって異なり,また抑制の大きさと抑制の持続期間は必ずしも相関しないことが明らかとなった.
  • 大西 誉光
    1994 年 104 巻 6 号 p. 743-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    7例のsyringomaと5例のclear cell syringomaに19種類の抗ケラチンモノクローナル抗体と抗インボルクリン,抗EMA抗体を用いてABC法により免疫組織化学染色を行った.syringomaは正常汗管と同様の染色パターンを示した.さらに汗管のうちでも表皮内汗管と表皮直下の真皮内汗管のみを染色する34βB4抗体に染色され,また真皮内汗管のみを染色するRCK102抗体によりsyringomaは陽性に染色された.このことからsyringomaは表皮直下の真皮内汗管に分化しているものと推測された.clear cell syringomaは通常のsyringomaと同様の像とclear cellからなる腫瘍巣とが混在しているが,通常のsyringomaの像の部分はsyringomaと同様すなわち表皮直下の真皮内汗管と同様の染色パターンを示した.clear cellからなる胞巣は大部分の抗体でsyringomaと染色性が一致していた.つまり表皮直下の真皮内汗管への分化が考えられた.さらに表皮直下の真皮内汗管でも管腔細胞と最外層の細胞を除いた中間層を染色する34βB4抗体によりclear cellは染色された.以上より表皮直下の真皮内汗管の中間層の細胞が腫瘍性に増殖し,clear cellとなったものと推測された.以上のようにclear cell syringomaは抗ケラチン抗体による染色パターンからは通常のsyringomaとは差が認められず,clear cell syringomaはsyringomaの一亜型であることが確認された.
  • 石河 晃, 清水 宏, 鈴森 薫, 西川 武二
    1994 年 104 巻 6 号 p. 753-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    伴性劣性遺伝型無汗性外胚葉形成不全症の親子例を報告した.患児は2歳児,特徴的な顔貌,歯牙異常,体毛の欠如,無汗症あり,典型例と考えられた.母親は部分的な乏毛・無汗,歯牙異常より保因者と診断した.母親は第2子を妊娠したため,出生前診断を希望して慶大皮膚科遺伝相談外来を受診した.本症の出生前診断の可能性を検討するため,3例の日本人正常胎児皮膚を観察した結果,胎生20週の時点ではまだ汗腺は認められないもの,毛嚢脂腺系は十分発達していることが確認され,毛嚢脂腺系の発達の有無を用いた胎児皮膚生検による胎児診断が可能と考えられた.自験例の出生前診断にあたって,妊娠15週の時点で羊水検査を施行したところ,胎児は女児と診断された.遺伝形式より胎児皮膚生検を待たずに正常または保因者であると診断し,そのまま妊娠を継続,38週5日にて無事外表奇形のない女児を出産し得た.
  • 安田 秀美, 小林 仁, 大河原 章, 今村 貞夫
    1994 年 104 巻 6 号 p. 759-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    42施設74例の小児汎発性膿疱性乾癬(GPP)の全国調査を行った.尋常性乾癬の先行のないGPPが58例で最も多く,尋常性乾癬の先行するGPP7例,欧米の小児GPPで多くみられるとされている再発性環状紅斑様乾癬は2例と少なかった.膿疱化の発症年齢では,1歳未満が最も多く17例(29.3%)であった.脂漏性皮膚炎,おむつ皮膚炎等の先行病変を有するものは19例(32.8%)にみられた.血縁内にGPPまたは乾癬等を発症する頻度は,小児例(17.2%)が成人例(3.1%)に比して高くみられた.誘発因子・悪化因子としては,感染症の占める割合が56.9%と成人例の15.5%に比べ高くみられた.地図状舌,膿海形成,Kogojの海綿状膿疱,白血球増多を示す割合は小児例で高く,Ca低下を示す割合は成人例で高い傾向がみられた.予後の検討においては,治癒例19.3%,乾癬移行例21.1%,膿疱化頻度減少例29.8%と,比較的予後はよいとされる結果が得られたが,治療の影響,最終観察時の年齢等を加味して考えると,20歳を越えても膿疱化を繰り返し,治療を必要とする症例も多くみられた.一方,膿疱化頻度不変例15.8%,膿疱化頻度増加例5.3%死亡が5例にみられた.治療では,エトレチナートは50%の症例に用いられ,最も優れた効果を示した.PUVAは53.4%,ステロイド内服は44.8%の症例に用いられていた.治療開始年齢は,エトレチナート(14.6歳)が,ステロイド内服(6.9歳),PUVA(7.3歳)に比し高かった.副作用については,エトレチナート(58.8%),ステロイド内服(61.5%)で高くみられた.
  • 岩崎 泰政
    1994 年 104 巻 6 号 p. 767-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    単純性血管腫に対して,色素レーザー装置(Candela製SPTL-1型:波長585nm,照射時間450μsec)を用いて照射術を行い,治療効果を臨床的および組織学的に検討した.それにより作用機序を詳細に解析するとともに,その効果の限界についても検討した.臨床的有効率は61.2%であり,血管腫の組織型による分類では,表在中血管型の有効率が最も高かった.7.0J/cm2の照射により,組織像では深さ1,400μmまでの血管に組織障害を与えたが,血管数および血管径とも有意に減少したのは深さ600μmまでであった.照射による経時的な組織の変化は,照射直後では血管内皮細胞とその周囲2~3μmの範囲で組織破壊がとくに強く,血管から離れるにしたがい組織の障害は少なかった.照射1週後には血管周囲に線維組織が増生し,拡張した血管が存在していたと推測される部位は線維組織に置換されていた.また,残存している血管は狭小化し,内皮細胞の長軸は短縮し,内腔への突出が認められた.これら残存する血管では,照射2週後には再新生を示唆する内皮細胞基底膜の多層化がみられ,周囲の線維組織に圧排され狭小化した血管が多く観察された.今回の検討結果から,色素レーザー照射によって,単純性血管腫に対して選択的な治療が可能であること,およびその作用機序と治療の限界が確認された.
  • 河野 志穂美, 佐藤 伸一, 菊池 かな子, 岩田 充, 竹原 和彦, 石橋 康正, 滝沢 始
    1994 年 104 巻 6 号 p. 783-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    症例:70歳,男性.初診の1年半前に両下腿に瘙痒を伴う紅斑が生じ,続いて同部位より皮膚硬化が出現し急速に全身に拡大した.また,半年前より労作時呼吸困難も出現した.経過中レイノー現象はなかった.皮膚の病理組織では定型的な強皮症の変化の他に,皮下静脈の内膜肥厚および中膜平滑筋の著明な肥厚を伴う狭窄像が認められた.胸部X線では中肺野を主体とする間質性陰影が,著明な肺高血圧,%DLcoの低下,右心不全を伴って認められた.心エコーにて左心不全はみられなかった.抗核抗体は均質型強陽性であったが,抗トポイソメラーゼⅠ抗体をはじめとする特異抗核抗体は全て陰性であった.ステロイド60mg/日内服にて,胸部X線上の異常陰影と皮膚硬化の急速かつ著明な改善をみた.自験例の肺病変は,全身性強皮症の典型的な肺線維症と明らかに異なっており,著明な肺高血圧,胸部X線上の間質性肺浮腫,左心系正常より,肺静脈に病変の主座があると考えられた.さらに皮膚病理組織においても静脈の狭窄を認めたことから,自験例の肺病変として肺静脈内腔の狭窄をきたすpulmonary veno-occlusive disease(PVOD)の存在が疑われた.全身性強皮症の肺病変としてPVODが認められたとする報告は過去に1例しかなく,自験例は疑い例ではるものの,極めて稀と考え報告した.
  • 山本 俊幸, 袋 秀平, 沢田 泰之, 横関 博雄, 片山 一朗, 西岡 清
    1994 年 104 巻 6 号 p. 793-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    29歳女性の全身性強皮症(PSS)患者の筋炎様症状の増悪に対し,ステロイドパルス療法を施行後,尿路感染によると思われる熱発とともに腸管嚢腫様気腫症と消化管偽閉塞症候群を併発した1例を報告した.保存的治療で遊離ガスは自然消褪し,腹部症状もプロスタグランディンF2点滴静注,ミノサイクリン内服で一旦軽快した.しかし,腹部膨満感,息苦しさ,下痢,便秘などの頑固な偽閉塞症状が持続したため,octreotide(サンドスタチンR)25~100μg/dayを3週間連日皮下注したところ,自覚症状の改善と腹部X線での腸管内ガスの減少を認めた.PSSに随伴してみられる消化管偽閉塞症状は通常の刺激剤にしばしば反応しないことがあり,このような場合にoctreotideは有効な治療法であると考えた.
  • 橋本 明彦, 坪井 広美, 酒井 智恵, 関根 敦子, 藤村 響男
    1994 年 104 巻 6 号 p. 799-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    31歳,女.第2子出産後(30歳時),顔面より紅斑が出現し,全身に拡大する.初診時,間擦部に湿潤性湿疹病変を認め,細菌感染症を伴ったアトピー性皮膚炎と診断し,セフェム系抗生剤内服,ステロイド外用にて軽快.1ヵ月後,間擦部を中心として点状びらん,痂皮を伴う湿潤局面が多発し,鼻腔,皮膚より,exfoliative toxin(ET)産生性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が分離された.塩酸ミノサイクリン内服に反応せず,軽快,増悪を繰り返す.MRSAが消失し,メチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)となるにつれて皮膚症状は軽快し,このMSSAはETを産生していなかった.自験例においてはMRSAによる二次感染に加えて,局所で産生されたETがアトピー性皮膚炎の悪化因子として作用していたと推測された.
  • 1994 年 104 巻 6 号 p. 803-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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