42施設74例の小児汎発性膿疱性乾癬(GPP)の全国調査を行った.尋常性乾癬の先行のないGPPが58例で最も多く,尋常性乾癬の先行するGPP7例,欧米の小児GPPで多くみられるとされている再発性環状紅斑様乾癬は2例と少なかった.膿疱化の発症年齢では,1歳未満が最も多く17例(29.3%)であった.脂漏性皮膚炎,おむつ皮膚炎等の先行病変を有するものは19例(32.8%)にみられた.血縁内にGPPまたは乾癬等を発症する頻度は,小児例(17.2%)が成人例(3.1%)に比して高くみられた.誘発因子・悪化因子としては,感染症の占める割合が56.9%と成人例の15.5%に比べ高くみられた.地図状舌,膿海形成,Kogojの海綿状膿疱,白血球増多を示す割合は小児例で高く,Ca低下を示す割合は成人例で高い傾向がみられた.予後の検討においては,治癒例19.3%,乾癬移行例21.1%,膿疱化頻度減少例29.8%と,比較的予後はよいとされる結果が得られたが,治療の影響,最終観察時の年齢等を加味して考えると,20歳を越えても膿疱化を繰り返し,治療を必要とする症例も多くみられた.一方,膿疱化頻度不変例15.8%,膿疱化頻度増加例5.3%死亡が5例にみられた.治療では,エトレチナートは50%の症例に用いられ,最も優れた効果を示した.PUVAは53.4%,ステロイド内服は44.8%の症例に用いられていた.治療開始年齢は,エトレチナート(14.6歳)が,ステロイド内服(6.9歳),PUVA(7.3歳)に比し高かった.副作用については,エトレチナート(58.8%),ステロイド内服(61.5%)で高くみられた.
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