日本皮膚科学会雑誌
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107 巻, 4 号
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  • 梅林 芳弘, 斎藤 順子, 松浦 恭子, 清澤 智晴, 大塚 藤男
    1997 年 107 巻 4 号 p. 519-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    悪性黒色腫患者18例を対象とし,予後因子の重要性を重回帰分析にて解析した.予後因子の候補としては,性,年齢,発生部位,治療歴,病型,所属リンパ筋転移の有無,浸潤level,thickness,DAPI(4',6-diamidino-2-phenyl indole)蛍光顕微測光法により測定した細胞核DNA量の9因子を選んだ(細胞核DNA量を代表する変数としては,DNAindex(DI)を用いた).重回帰式に組み込む変数は,Fin=Fout=2のレベルで有意のものをステップワイズ法にて選択した.採択された因子は,DI,所属リンパ節転移,levelであり,患者の生存期間の対数(Y)を予測する重回帰式は,Y=-0.6515×(DI)+8.7291となった.決定係数は0.7010,重相関係数は0.8372,自由度調整済み決定係数は0.6370,自由度調整済み重相関係数は0.7981であった.残差の分析は,モデルが信頼できるものであることを示していた.標準化偏回帰係数の値から判断すると,予後因子として重要な変数は,DI,所属リンパ節転移,levelの順となった.
  • 金子 信幸
    1997 年 107 巻 4 号 p. 529-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    過去10年間の生検で確定診断した脂漏性角化症408例について検討した.脂漏性角化症は受診時年齢50歳以上の男女に特に多く,露出部ならびに非露出部のいずれにもみられた.露出部,非露出部では組織型に特徴はなく組織型と腫瘍誘発因子としての露出とは相関はなかった.腫瘍個数が多いことや露出部発症は女より男に多くみられた.Hyperkeratotic type,acanthotic type, およびirritated typeの3型に分けて検討したがその割合は男女間で差がみられなかった.各組織型は年齢や発症部位に無関係で各個体により細胞増殖に関与する因子がそれぞれ異なるものと考えられた.臨床型ならびに色調と各組織型との相関はなく,その推測や同定はむずかしいといえる.受診時年齢のピークは男女とも50歳~60歳であった.水野らの報告に比し受診時年齢が10歳延長していた.受診の要因は男女ともに,腫瘍が大きくまた数が多いなどの外観あるいは美容的理由によるものと,黒色調を呈し,悪性腫瘍の心配などであった.
  • 橋本 明彦, 浅井 俊弥, 増澤 幹男, 勝岡 憲生
    1997 年 107 巻 4 号 p. 537-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    高齢者(60歳以上)のアナフィラクトイド紫斑(AP)13例につき,臨床的検討を行った.皮膚症状では3例において,浸潤性紫斑に加えて,紫斑,血疱が集簇する出血性局面を呈した.腰痛(15%),関節痛(8%)は小児例に比べ,少なかったが腎障害は13例中12例(92%)ときわめて高率に認められた.1日蛋白尿量が1g以上の重症腎障害を伴った5例(38%)では,出血性局面を呈したり,紫斑が1ヵ月以上遷延する,上肢にも皮疹が及ぶなどの傾向がみられた.誘因,基礎疾患としては上気道感染(46%)のほかに慢性気管支炎の急性増悪,C型肝炎,術後腹膜炎,重症のMRSA感染などが認められた.これらの結果から,高齢者APにおいても感染症がその発症に重要な役割を果たすことが示された.さらに小児例との病像の違いは加齢による血管壁の脆弱性および基礎疾患の存在が関与していると考えた.
  • 齊藤 典充, 向野 哲, 増澤 幹男
    1997 年 107 巻 4 号 p. 541-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    83歳,女性.初診約3ヵ月前に頭頂部に発症した結節とその周囲に広がる斑状の悪性血管内皮細胞腫に対して,結節部の小範囲外科的切除とrecombinant interluekin-2(以下rIL-2)およびLAK細胞の局注(局所養子免疫療法)を施行した.その結果,治療35日目にほぼ消退し,3ヵ月後局所再発が見られたが同治療を再開したところ再度略治状態となった.しかし,初診8ヵ月後に肺転移を起こし血胸にて死亡した.部検の結果,主な転移病巣は肺実質よりむしろ横隔膜と胸膜であった.本例において転移は治療にて予防できなかったが,頭頂部原発の腫瘍を略治できたことで,肉眼的に悲惨な状況を回避できた.転移予防および転移巣に対する治療法の開発が望まれるが,現時点において同治療法は患者のQOLに貢献しえたと思われる.
  • 冨澤 幸生, 細川 一義, 小林 衣子
    1997 年 107 巻 4 号 p. 545-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    多発性グロームス腫瘍を合併した神経線維腫症1(NF-1)の1例を報告した.Cafe au lait spots, axillary freckling,-cutaneous neurofibroma, plexiform neurofibroma, hairy fuscoceruleus spot, Mongolian spot-like blue maculeに加え,軽度の脊柱側彎症を認め,NF-1と診断したが,同時に多発性グロームス腫瘍も合併していた.両親に異常はないが,兄に多発性グロームス腫瘍が認められた.NF-1は常染色体優性遺伝を示す遺伝性の疾患であるが散発例も多い.これは近年同定された原因遺伝子であるNF-1 geneが巨大で複雑な構造のため,突然変異を生じやすいからであると考えられている.一方,多発性グロームス腫瘍も常染色体優性遺伝を呈することがあるといわれているが,その詳細はいまだ不明である.両者の疾患の合併は遺伝医学的になんらかの関連がある可能性が示唆される.
  • 1997 年 107 巻 4 号 p. 553-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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