日本皮膚科学会雑誌
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115 巻, 4 号
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原著
  • 村澤 章子, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 4 号 p. 571-578
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    病理組織標本内に虫体を認め,マダニ刺症と確定診断した62例について,病理組織学的検討を行った.出現頻度の高かった項目は,順に,真皮の赤血球の血管外漏出62例(100%),膠原線維の硬化59例(95.2%),表皮の壊死54例(87.1%),潰瘍47例(75.8%),好中球を主体とする真皮の炎症細胞浸潤46例(74.2%)であり,これらの所見はマダニ刺症の病理組織学的診断基準とみなしてよい項目である.また血栓41例(66.1%),好中球によるflame figure様構造16例(25.8%)は,出現頻度は高くはないが,マダニ刺症の診断の手がかりになる所見であると判断した.これらの所見があれば,病理組織標本内に虫体がなくてもマダニ刺症の可能性が高いと言える.
  • 佐藤 典子, 中園 亜矢子, 古村 南夫, 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 4 号 p. 579-584
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    レックリングハウゼン病の27歳女性の腹部の大小のレックリングハウゼン斑に対してフォトRF〔IPL(intense pulsed light)とRF(radio frequency)を同時に照射する装置〕及び活性型ビタミンD3誘導体(マキサカルシトール)軟膏外用の併用療法を患者の同意を得て行った.①フォトRF照射+活性型ビタミンD3誘導体(マキサカルシトール)軟膏外用併用②フォトRF照射単独③活性型ビタミンD3誘導体(マキサカルシトール)軟膏外用単独④無処置の4つの領域に等分割し治療効果を比較検討した.①が最も小レックリングハウゼン斑が淡色化した.病理組織学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の減少と,真皮浅層の血管周囲性のメラノファージの減少を認めた.色彩計計測によるL*a*b*表色系による評価でL*値が増加した.これらの結果から,フォトRFと活性型ビタミンD3誘導体軟膏外用の併用療法はレックリングハウゼン病の色素斑に安全で有効な新しい治療方法の一つとなり得ると考えた.
  • 岩田 浩明, 山崎 直也, 山本 明史, 高橋 聡, 西澤 綾
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 4 号 p. 585-589
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    52歳女性,37歳時(1988年)に左乳癌のため根治手術を受けた.術後は左上肢に高度の浮腫が残存していたが,2002年9月左前腕に紫斑が出現し,徐々に腫瘤を形成した.同年12月前医を受診しStewart-Treves syndromeの診断を受けインターロイキン-2の局所注射および切除,植皮術を施行された.しかし,術後まもなく局所再発を来たし,2003年2月に当院を紹介受診した.当院初診時,左前腕には植皮内に最大40 mm大の暗紫色腫瘤が数個存在した.画像診断による評価では上腕皮下にも不整形腫瘤を指摘されたが他臓器への明らかな転移は認めなかった.そこでMesna,Doxorubicin,Ifosfamide,Dacarbazineを併用した化学療法(MAID療法)を施行した.この方法を約1カ月間隔で3コース施行したところ腫瘍は著明に縮小した.有害反応として骨髄抑制,特に白血球減少は毎回grade 3以上であり,G-CSFを要した.その他,ヘモグロビン減少,血小板減少,肝酵素上昇など軽度認めた.Ifosfamide使用時に注意が必要である出血性膀胱炎は頻回の尿検査を施行していたが出現しなかった.
  • 岩田 洋平, 臼田 俊和, 東谷 薫, 菅原 京子, 森田 弘之, 浅井 真太郎, 村上 榮
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 4 号 p. 591-595
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    患者は55歳女性で,SLE,ループス腎炎に伴う腎不全で透析療法中であった.2004年4月19日突然右大腿の激痛を自覚し,4月20日午後当科受診し入院となった.翌日には右大腿から臀部の広範囲にわたり紫斑,壊死が急速に拡大し,敗血症性ショックを生じた.直ちにデブリードマンを行い,全身管理を行ったものの,多臓器不全の状態となり5月2日永眠した.起因菌として,血液および壊死組織部から緑色連鎖球菌であるStreptococcus mitisが検出された.劇症型連鎖球菌感染症の原因菌はA群連鎖球菌であるStreptococcus pyogenesが大部分を占め,Streptococcus mitisは本邦では自験例が初である.しかし,海外では1980年代より報告されており,近年には中国で集団発生例もみられるため,今後本邦においても注意が必要と考えられる.
学会抄録
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