日本皮膚科学会雑誌
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116 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
皮膚科セミナリウム 第19回 薬疹
  • 福田 英三, 福田 英嗣
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第19回 薬疹
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1563-1568
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
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    薬疹の実態を把握することは不可能であるが,薬疹の報告例の統計から,おおよそその傾向を推測することは可能である.そこで本項では筆者が編集する薬疹のデータブック「薬疹情報」第11版1)に2005年の症例を追加し,その統計を基に2000年以降の薬疹について述べる.1999年以前については,最新皮膚科学大系第5巻「薬疹・中毒疹」2)を参照.特に目立った変動は,病型ではdrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)の増加と光線過敏症型の減少.原因薬剤では抗てんかん剤(カルバマゼピン)と分子標的治療薬(ゲフィチニブ)の増加,ピリドンカルボン酸系製剤の減少である.若年者(15歳未満)と高齢者(65歳以上)については,若年者の病型では固定薬疹,原因薬剤では中枢神経系用薬,高齢者の病型ではDIHS,原因薬剤では腫瘍用薬が多い.
  • 池澤 善郎
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第19回 薬疹
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1569-1574
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
  • 橋本 公二
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第19回 薬疹
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1575-1581
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Drug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)薬剤性過敏症症候群は重症薬疹の代表的な疾患であり,その特徴は多彩な全身症状とともにヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を伴うことが挙げられる.HHV-6の再活性化は,臨床症状の再燃,遷延化,重症化に密接に関連しており,DIHSの発症機序が薬物アレルギーとウイルス再活性化の症状が複合した新たな病態であることが明らかになった.また,近年のDIHSの研究の進展により,Stevens-Johnson症候群,TEN,DIHSからなる重症薬疹の概念が確立したと言えよう.
原著
  • 福地 修, Finlay Andrew Y, 太田 有史, 石地 尚興, 本田 まりこ, 上出 良一, 中川 秀己, 小宮根 真弓, 長谷川 ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1583-1591
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    本邦における乾癬特異的な健康関連QOL尺度を開発するために,PDI(Psoriasis Disability Index)日本語版の作成を行い,さらに信頼性・妥当性を評価するためにvalidation studyを実施し,包括的健康関連QOL尺度であるSF-36との関連性を検討した.PDI日本語版の作成にあたっては,QOL質問票を作成する一般的な方法に従ってドラフトを作成し,feasibility studyを行って完成させた.次に,PDI日本語版の信頼性,妥当性を検証するために,乾癬患者200例を対象としたvalidation studyを実施した.患者はPDI日本語版および包括的健康関連QOL尺度SF-36に回答した.PDI日本語版の15の質問項目の欠損値(無回答)の割合はいずれも10%未満と低率であり,クロンバックのα係数は0.910と高い内部相関を示した.因子分析では「レジャー・治療」「仕事・学業」「日常生活」「人間関係」を説明する因子の固有値が大きかった.PDI総合得点とSF-36(NBS総合得点)の相関係数は–0.547と十分な相関を示した.以上の検討から,PDI日本語版は乾癬患者の健康関連QOLを測定する尺度として,信頼性および妥当性は高いことが示された.
  • 新田 悠紀子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1593-1597
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    54歳女性.27歳時に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematodes; SLE)を発症し,Prednisolone(PSL)10 mg/日内服にて経過良好であった.53歳時に両大腿に有痛性皮下結節を認め,組織像で細・小動脈の壊死性血管炎の像を呈した.myeloperoxidase antineutrophil cytoplasmic antibody(MPO-ANCA)とproteinase 3 antineutrophil cytoplasmic antibody(PR3-ANCA)が陽性であった.狭義のANCA関連血管炎を伴ったSLEと診断し,PSL 30 mg/日内服で皮下結節は消退した.本邦において,SLEでMPO-ANCA陽性例は14例あり,MPO-,PR3-ANCA両方陽性の報告例は10例であった.当科のSLE90例中,MPO-ANCAのみ陽性の症例はなく,MPO-,PR3-ANCA陽性例は本症例のみであった.
  • 中村 泰大, 許 雪珠, 藤沢 康弘, 石井 良征, 高橋 毅法, 大塚 藤男
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1599-1604
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
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    当科で経験した下肢領域のstage III悪性黒色腫14例について,鼠径リンパ節郭清(superficial inguinal lymphnode dissection:以下SLND)施行群8例と鼠径骨盤リンパ節郭清(combined superficial inguinal and pelvic lymphnode dissection:以下CLND)施行群6例を比較検討した.観察期間は36~71カ月,CLND施行群の2/6(33.3%)が骨盤リンパ節へ転移していた.転移鼠径リンパ節数が4個以上,その最大径3 cm以上,被膜外浸潤の存在が骨盤リンパ節転移の頻度が高く,同時に予後不良であった.36カ月以上の生存例はSLND施行群で1/8(12.5%),CLND施行群では3/6(50%)であり,CLNDの有効性が示唆された.stage IIIの下肢領域悪性黒色腫に対して,CLNDも治療手段の一つとして提示されるべきであると考える.
  • 廣田 真弓実, 杉浦 光洋, 柴田 真一, 近藤 泰輔, 富田 靖, 土屋 ふとし
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 11 号 p. 1605-1608
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2014/12/10
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    56歳,男性.初診の半年前に,外尿道口近傍に出血を伴う黒色粘膜疹に気付いた.初診時,尿道口に近い尿道内に小豆大の黒色結節3個とその周囲の黒色斑を認めた.両鼠径部にリンパ節腫脹も認めた.2005年2月,陰茎切断術と尿路変更術,両鼠径センチネルリンパ節生検を施行した.病理組織にてtumor thickness 6 mm,センチネルリンパ節に転移は認めなかった.造影CTでも遠隔転移は認めず,pT4bN0M0のstage IICと評価した.DAVフェロン療法3クール施行し,術後1年2カ月後の現在,経過良好である.1924年以降の男性尿道原発の悪性黒色腫国内報告例は17例であり,極めて稀と考え報告した.
学会抄録
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