日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
119 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第50回 遺伝子診断
  • 深井 和吉
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第50回 遺伝子診断
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1213-1217
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    遺伝性皮膚疾患の変異解析方法については,変異の種類にみあった解析方法があります.大きな欠失には,FISH法,サザンブロット法が用いられます.PCR-SSCPダイレクトシークエンス法は,最もよく使われる方法で,小さな欠失,重複,ナンセンス変異,スプライス変異,フレームシフト変異などが検出できます.1~数個のエクソンが欠失するような変異は,エクソン特異的定量PCR法が有効です.copy number variationは,遺伝子のコピー数の変化で遺伝子発現に大きな影響を与えています.Taqman probe法やアレイCGHが有効です.
  • 石河 晃
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第50回 遺伝子診断
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1219-1224
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    遺伝カウンセリングとは遺伝性疾患の患者・家族に対して,臨床遺伝学的診断にもとづき,適切な情報を提供し,支援する対話行為である.医師(カウンセラー)は患者・家族(クライアント)に傾聴し,共感的に受容することから対話を始め,非指示的に望ましい行動変容を起こさせることを目標とする.このために実際必要なことは 1.正確な診断 2.最新の情報の収集と提供 3.遺伝子検査の必要性の検討 4.遺伝子検査の結果とその意味の説明 5.継続的なサポートである.
  • 中野 創
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第50回 遺伝子診断
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1225-1230
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
原著
  • 今門 純久, 佐藤 弘行, 浜田 和俊
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1231-1238
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    平成18年1月から平成20年12月までの3年間に,当科を受診した下腿潰瘍の中で,静脈性の下腿潰瘍と診断した30例を解析した.初診時の年齢は32~90歳で平均62.4歳であった.また,女性11例,男性19例と,男性が多かった.皮膚潰瘍の経過中にDダイマーの上昇が確認されたのは測定した27例中21例であり,深部静脈血栓症を合併していたのは2例であった.また30例中,10例において静脈抜去や不全交通枝結紮などの静脈瘤に対する外科的治療を実施した.肥満,立ち仕事,骨関節疾患を下腿潰瘍の危険因子とした場合,解析症例30例中,立ち仕事は5例,BMI 25以上の肥満は14例,骨関節疾患の合併は6例にみられた.また21例にいずれか1つ以上の危険因子が存在した.危険因子を1つも伴わないのは9例であり,その内8例は潰瘍の総面積が4 cm2未満であり,7例は潰瘍が左右いずれか片側のみと軽症であった.骨関節疾患の合併6例中5例では潰瘍の総面積が36 cm2以上と大きく,また4例の転帰が軽快,不変に止まっていた.骨関節疾患の合併例では下腿のポンプ作用不全がおこり,静脈性下腿潰瘍の重症化,難治化を起こすので,特に注意が必要である.
  • 高橋 昌五, 加藤 理子, 稲冨 徹
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1239-1244
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    78歳女性.10年前,左中指背を受傷後紅斑が出現し,その後消褪と再燃を繰り返していた.近医でのステロイド外用では改善しなかった為,2006年11月7日に当科受診.初診時は径10 mm大の落屑性紅斑と同大の萎縮性局面が併存していた.両病変とも基底層の異型細胞と真皮のsolar elastosisを認め,日光角化症と診断した.患者の同意を得て,5%イミキモドの週3回外用を開始した.治療中,CD1a,Granzyme B,CD20陽性のリンパ球が表皮内および真皮に稠密に浸潤していた.計12週の治療終了時,有害事象はなく臨床的に病変は消褪し,組織学的にも異型細胞の消失を確認した.またCD1a,Granzyme B,CD20陽性細胞は治療中と比し治療後には明らかに減少していた.リンパ球を介し抗腫瘍効果を示すイミキモドは本症の他の治療方法と比較し病理組織学的にも有効性が高いと考えられ,簡便かつ整容面でも優れており有用であると考えた.
  • 上原 治朗, 山崎 直也, 並川 健二郎, 中井 康雄, 中井 智絵, 山本 明史
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1245-1253
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    (背景)皮膚原発の血管肉腫(angiosarcoma:以下AS)は極めて予後不良な悪性腫瘍であるが,予後因子,治療方針は確立されていない.(対象と方法)国立がんセンター中央病院において1982年から2007年に経験したAS 37症例について生存率を中心に統計学的検討を行った.(結果)37症例全体の5年生存率は13.8%であった.多変量解析の結果,有意差を示す予後因子となったのは年齢(P=0.029)と遠隔転移の有無(P=0.012)であった.根治術を行った例は25例あり,術後,無局所再発期間については断端成分および補助放射線治療の有無では統計学的有意差は認められなかったが,放射線治療施行群において予後良好な傾向差が認められた(P=0.34).術後無遠隔転移期間については局所再発例で有意に短縮が見られた(P=0.038).さらに最近経験した生存例3例の症例についても併せて報告した.(結論)ASに対しては手術を中心とした集学的治療戦略を立てる必要があり,neoadjuvant settingによる術前化学療法も症例によっては有効と思われる.また,予防的所属リンパ節郭清術により予後を改善できる可能性もある.稀な疾患であるため今後は多施設での情報を共有し予後因子に基づいた診療方針を確立していく必要がある.
  • 國行 秀一, 吉田 有紀, 前川 直輝, 山中 一星
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1255-1260
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    Self-PASI(Self-administered Psoriasis Area and Sevirity Index)とPDI(Psoriasis disability index)を用いたQOL障害の強さとの相関性を調べた.2007年11月から12月の2カ月間に大阪市立総合医療センターを受診した外来治療中の日本人尋常性乾癬患者50例を対象に検討した.さらにPASIとSelf-PASI,PASIとPDIとの関連性も検討した.その結果,PASIとSelf-PASIの相関係数は0.61で関連性は高く,Self-PASIとPDIとの相関係数は0.34,PASIとPDIとの相関係数は0.21であり,PDIはPASIよりもSelf-PASIとの関連性が高かった.以上の検討結果から,乾癬患者QOLはPASIよりもSelf-PASIとの関連性が高いと推測され,Self-PASIは治療法を選択するうえでよりよい指標になると思われた.さらに①女性,②頭皮に皮疹あり,③そう痒あり,などの特徴をもつグループで,PDIがより高い傾向がみられた.したがって,女性・頭皮に皮疹が分布・痒みを伴うなどの特徴をもつ乾癬患者はBSA,PASIで算定される以上にQOLが悪く,積極的な治療対象になることが推測された.さらに治療法別にみると,PDI値はエトレチナート内服併用群に比べ,シクロスポリン併用群のほうが低い傾向が見られた.
  • 佐藤 典子, 阿部 正義, 今山 修平, 竹下 盛重, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 7 号 p. 1261-1270
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    炎症性皮膚疾患における皮膚と末梢血中のC5a receptor(C5aR)及びそのサブファミリーであるC5L2の発現について検討した.皮膚病変部の免疫組織化学的検討では,C5aR及びC5L2は表皮と真皮に浸潤する炎症性細胞に陽性で,表皮,付属器,血管内皮の各細胞には,陽性所見はみられなかった.C5aRとC5L2の陽性率は,結節性紅斑,アナフィラクトイド紫斑の血管周囲などMyeloperoxidase(MPO)陽性好中球浸潤が強い場合に高く,乾癬とアトピー性皮膚炎の真皮では低かった.皮膚病変部切片の蛍光多重染色ではC5aRとC5L2の両者は,MPO陽性細胞とCD68陽性細胞に共発現していた.健常人末梢血細胞での蛍光多重染色においても,C5aR及びC5L2はMPO陽性細胞とCD68陽性細胞に共発現していた.炎症性皮膚疾患患者の全血におけるC5aR,C3aR及びC5L2のmRNAの発現量は,健常人よりも有意に亢進していた.以上より炎症性皮膚疾患においては,顆粒球(MPO陽性)あるいは単球(CD68陽性)細胞表面のC5aRの発現が亢進すると,C5L2も同時に発現が亢進し,これらが様々な皮膚病変形成に関与していることが推察された.
学会抄録
feedback
Top