日本皮膚科学会雑誌
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121 巻, 9 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第76回 毛包・脂腺系疾患
  • 下村 裕
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第76回 毛包・脂腺系疾患
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1841-1846
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    毛包は自己再生能力を持つ皮膚付属器であり,成長期には毛母細胞が盛んに分裂して毛髪を形成する.近年,毛包に発現する多数の遺伝子が同定され,さらにそれらの異常によって先天性毛髪疾患を発症することが明らかになってきた.
  • 飯島 茂子
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第76回 毛包・脂腺系疾患
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1847-1854
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    尋常性痤瘡には遺伝素因,皮脂分泌の亢進,男性ホルモンなどの内分泌的因子,毛漏斗部の角化異常,Propionibacterium ancesなどによる細菌学的素因,炎症反応などが関連して発症する.その結果,毛包内に角質・皮脂が充満した面皰が形成され,細菌性リパーゼ・菌体外酵素・活性酸素などによる炎症性の紅色丘疹,膿疱が出現する.治療にはこれらの病態生理を理解した上での戦略が必要である.その他の痤瘡性疾患や鑑別すべき疾患についても言及した.
  • 黒川 一郎, 鶴田 大輔
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第76回 毛包・脂腺系疾患
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1855-1861
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    酒さは臨床症状,合併症の有無によって4段階の重症度に分類され,それぞれの段階に応じた治療が行われる.今回,酒さ・酒さ様皮膚炎について,最近の知見を含め,定義,疫学,病因,誘因,病理組織学的所見,治療について概説する.両疾患ともに臨床症状が進行しないように早期の段階から迅速に適切な治療を開始することが肝要である.
原著
  • 大石 京介, レパヴー アンドレ, 岸 晶子, 大原 國章, 竹内 靖博
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1863-1868
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    34歳,男性.4年前より上腹部皮下に腫瘤を自覚し,徐々に増大.2年前より体動時に全身の骨痛が出現.当院内科で精査し,血清リン値の低下や骨性ALP値の上昇から,低リン血症性骨軟化症と診断された.腹部の皮下腫瘤により惹起された腫瘍性骨軟化症を疑われ,当科を紹介された.上腹部正中の皮下に鶏卵大の硬い腫瘤がみられ,可動性は良好.圧痛などの自覚症状はなし.MRIでは腹部脂肪織内に,T2強調像で高信号を呈する境界明瞭な腫瘤を認めた.病理組織では紡錘形細胞の増殖に加え,石灰化した軟骨組織があり,異型核分裂像などの悪性所見はなかった.腫瘤を摘出後,血清リン値は速やかに正常化し,体動時の骨痛も軽減した.骨軟化症の中に,軟部組織腫瘍の分泌する液性因子により惹起される腫瘍性骨軟化症と呼ばれる疾患概念がある.唯一の根治的治療は腫瘍摘出であり,摘出後は骨痛などの臨床症状や検査所見の速やかな改善がみられる.しかし,腫瘍の大きさや局在によってはその同定ができず,同症を疑っても診断や治療に難渋することがある.自験例は大きな腫瘍が皮下に存在したことから比較的早期に診断に結びついた.また腫瘍摘出後に骨痛が速やかに改善し,腫瘍性骨軟化症として典型的な経過であった.
  • 堀江 千穂, 水川 良子, 塩原 哲夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1869-1874
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    苔癬型組織反応(lichenoid tissue reaction,以下LTR)を呈する疾患では毛嚢上皮が障害されることは知られているが,汗管及び汗腺の障害に関する報告は極めて少ない.我々は最近発汗障害に伴う皮膚の乾燥が増悪因子と考えられた扁平苔癬(lichen planus,以下LP)1),類乾癬2)の2症例を経験したこともあり,LTRを呈する疾患群における汗腺・汗管の変化を病理学的に検討しようと考えた.対象はLP 20例に加え,円板状エリテマトーデス(discoid lupus erythematosus,以下DLE),Schamberg病,Bowen病を比較対照とした.LPでの最も特徴的な所見は,汗の貯留像とともに汗腺・汗管の拡張所見が確認されたことであった.一方,DLEやBowen病ではこのような所見は明らかではなかったが,DLEでは汗腺の変性に伴い汗腺・汗管周囲に著明なリンパ球浸潤がみられた.以上の病理学的所見は,LPでの汗腺の障害が器質的なものではなく,排泄過程における何らかの機能的障害である可能性を示唆している.LTRを呈する皮膚疾患,特にLPの発症に発汗低下に基づく皮膚の乾燥が関与している可能性があり,治療に難渋する症例に対し,保湿剤外用が有用と思われた.
  • 藤城 幹山, 斎藤 万寿吉, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 9 号 p. 1875-1879
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    2004年5月から2009年3月までの約5年間に東京医科大学病院皮膚科においてHIV(human immunodeficiency virus)抗原抗体検査ELISA法を3,764例に施行した.3,764例のうち,術前・皮膚生検前・入院時などの感染症スクリーニング目的で検査した症例が3,415例,HIV感染ないし混合感染を疑って検査した症例が349例であった.ELISA法で陽性は29例であり,その後の確認検査(Western Blot法)でHIV感染が確定した症例は23例(陽性率0.61%),ELISA法が偽陽性であった症例は4例(偽陽性率0.1%)であった.2例はその後受診せず診断未確定である.HIV感染が確定した23症例の内訳は感染症スクリーニング目的の検査が3例(陽性率0.09%),HIV感染を疑った症例が20例(陽性率5.7%)であった.近年の東京都内におけるHIV感染症の発生率は予想以上に高く,HIV検査はHIV感染症に関連した皮膚疾患だけでなく,感染症スクリーニング検査としても重要である.
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