日本皮膚科学会雑誌
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122 巻, 6 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第85回 膠原病
特別寄稿
  • 小野 友道
    原稿種別: 特別寄稿
    2012 年 122 巻 6 号 p. 1549-1564
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    1935年,当時東北帝国大学教授太田正雄は映画のシナリオ作成を依頼された.映画は梅毒予防のための啓発映画で,作成されたシナリオは当時熊本医科大学助教授北村包彦に手直しするよう送付された.それは「螺旋形の悪魔」という題名で完成を見たが,しかし,映画は実現しないまま幻に終わった.太田正雄のシナリオは,現在,神奈川近代文学館に所蔵されている.このシナリオには当時の梅毒に対する考え方,歴史,症状そして治療などが記されており,それらを混ぜながらの若い建築家夫婦の梅毒物語である.歴史学的に貴重であり,また皮膚科学的にも興味深い資料である.
原著
  • 前島 英樹, 齊藤 典充, 天羽 康之, 新山 史朗, 向野 哲, 勝岡 憲生
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 6 号 p. 1565-1569
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    当科で経験した小児円形脱毛症61例(14歳以下;男性30例,女性31例)を対象とし,成人円形脱毛症325例と臨床,治療効果を比較検討した.初診時,易抜毛性を認めた例は38例で,アトピー性素因の併発を認めた例は29例であった.病型は,単発型4例,少数型11例,多数型21例,びまん型10例,全頭型5例,汎発型7例,蛇行型4例であった.治療法は,冷凍凝固31例,SADBE外用塗布25例,トリアムシノロン局所注射11例,PUVA療法9例であった.略治例(治癒後6カ月後再発なし)は19例で全体の31%であり,成人例より良好であった.治療の選択により予後が左右されるが,冷凍凝固,トリアムシノロン局注やSADBEで効果がみられた.小児例では,成人例と比較してアトピー素因の併発率が高く,予後への影響を疑わせた.小児例の汎発型やびまん型で略治に誘導できた症例はなく,成人例よりも治療に難渋する傾向を示した.
  • 高山 良子, 二神 綾子, 安齋 眞一, 高田 香織, 義澤 雄介, 福永 景子, 中村 恭子, 田村 秀人, 壇 和夫, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 6 号 p. 1571-1579
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    42歳男性.29歳時頃,健診で蛋白尿を指摘され,同時期より体幹に暗赤褐色斑が出現した.3年後,胸部異常陰影を指摘され,Castleman病を疑われ,当科を紹介された.血液検査で多クローン性高γグロブリン血症,貧血,CRP高値,血沈亢進,血清IL-6高値を認めた.皮膚生検では真皮内に胚中心の形成を伴うリンパ濾胞が多発し,多クローン性の形質細胞が高度に浸潤していた.皮膚組織より施行した遺伝子再構成はサザンブロット法,PCR法ともIgH鎖はgerm lineであった.CTでは両側肺野末梢に小粒状影の散在,両側腋窩,気管近傍,縦隔リンパ節腫脹,肝・腎腫大を認めた.Multicentric typeのCastleman病と診断し,プレドニゾロン,シクロホスファミドによる治療を試みた.症状は緩徐に進行したため,38歳時よりトシリズマブを投与したところ,臨床症状,検査所見ともに改善した.しかし投与を開始して2年8カ月後より右内深頸リンパ節腫大が出現し,生検の結果,Hodgkinリンパ腫(混合細胞型)と診断された.トシリズマブを中止し,当院血液内科で化学療法を施行したところ,効果判定はComplete remission(CR)であった.
  • 春日井 親俊, 岩下 宣彦, 水谷 建太郎, 玉田 康彦, 松本 義也, 秋田 洋一, 渡辺 大輔
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 6 号 p. 1581-1588
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    Fabry病はライソゾームに存在する酵素であるαガラクトシダーゼ(α-GALA)の活性の低下により,その基質であるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)などの糖脂質の加水分解が滞り,全身組織に糖脂質の蓄積を来たす疾患である.初発症状は発汗低下,末端痛(四肢疼痛),被角血管腫など主に皮膚症状であり,徐々に腎不全,心筋疾患,虚血性心疾患,脳血管障害など全身に様々な症状をもたらし,最終的に死に至る慢性進行性疾患である.Fabry病は稀な疾患と言われていたが比較的頻度の高い疾患であることが明らかになってきた.Fabry病に対して以前は対症療法しか無かったが,本邦では2004年にα-GALAの酵素補充療法が保険適応になった.われわれは同療法を治験時から現在まで3例行っている.早期より治療し得た2例については経過良好であるが,治療開始時,既に尿蛋白を指摘されていた1例は補充療法にもかかわらず腎機能は徐々に低下し,透析導入に至った.Fabry病では早期からの酵素補充療法が,症状を進行させないために重要である.Fabry病は皮膚症状を早期から呈することが多いため,早期診断,早期治療開始における皮膚科医の役割は大きい.
学会抄録
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