日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
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133 巻, 3 号
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追悼
日本皮膚科学会ガイドライン
新・皮膚科セミナリウム ここまでわかった皮膚悪性腫瘍の発生機序
  • 神人 正寿
    2023 年 133 巻 3 号 p. 451-457
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2023/03/21
    ジャーナル 認証あり

    血管肉腫は,肉腫全体に占める割合は約1%と比較的稀な皮膚悪性腫瘍であるものの,高齢化社会を迎えたため,さらには乳癌に対する放射線治療の増加のためか近年増加傾向にあるという報告も存在し,皮膚科においてしばしば遭遇する臨床的に重要な疾患の一つである.腫瘍性病変の中でもとくに診断が難しいにも関わらず進行が早く,有効な治療に乏しいのが診療上の課題である.

    その発症誘因として,外傷,紫外線,血腫,放射線治療または慢性リンパ浮腫などが知られているが,これらの因子が血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞においていわゆる「癌遺伝子」に直接的あるいは間接的に影響した場合に血管肉腫を発症する,というメカニズムが考えやすいと思われる.

    血管肉腫の発症機序に関する最近の知見について,点変異・欠失変異や融合遺伝子などの遺伝子変異,さらにはepigeneticsおよび関連分子の3つの観点から論じたい.

  • 中村 元樹
    2023 年 133 巻 3 号 p. 459-465
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2023/03/21
    ジャーナル 認証あり

    メルケル細胞癌の起源は長い間,表皮基底層に存在する触覚受容細胞であるメルケル細胞であると信じられてきた.しかし近年の報告によると,メルケル細胞とメルケル細胞癌は無関係である可能性が高く,別の起源について議論がなされている.ここでは,諸説乱立するメルケル細胞癌の起源について,その主立った説を紹介するとともに,その起源によって異なる腫瘍の特性について,我々の研究内容を中心に解説する.

  • 梶原 一亨
    2023 年 133 巻 3 号 p. 467-471
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2023/03/21
    ジャーナル 認証あり

    がん細胞は,持続的な増殖シグナル・ゲノム不安定性・細胞エネルギー制御などの機能を有すると同時に,免疫逃避機構・血管新生誘導などを通じて腫瘍促進的な腫瘍微小環境を形成する.また近年,同一疾患での多様性(腫瘍間不均一性)のみならず,同一患者内での多様性(腫瘍内不均一性)が解明され,がんゲノム進化の概念が確立された.乳房外パジェット病(extramammary Paget's disease:EMPD)では,新規治療標的分子になりうる各種分子が強発現していること,がんゲノム進化の時間的および空間的多様性が存在することが解明されつつある.本稿では,乳房外パジェット病の悪性化機序に関して,最近の知見を中心に概説する.

症例報告
訂正
学会抄録
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