本邦では古くから「皮膚は内臓の鏡」と言われ,全身疾患や癌と皮膚病変との関連が経験的に知られており,「デルマドローム」とよばれる概念が普及している.デルマドロームから全身疾患の早期発見につながることもあり,皮膚科医の役割は大きい.
本邦では,生涯で2人に1人が癌に罹患し4人に1人が癌で死亡する高齢化社会であり,デルマドロームの知識は重要である.癌に伴うデルマドロームには,1)表皮増殖性病変,2)紅斑・紅皮症,3)自己免疫水疱症,4)膠原病,5)好中球関連皮膚疾患,6)遺伝性疾患,が報告されている.
本稿では,主に血液疾患以外の癌によるデルマドロームについて自験例を提示しつつ解説する.
2004年~2023年の20年間に当科で経験した結節性紅斑患者101名116症例において,発症に関連する因子や基礎疾患を後ろ向きに検討した.2004年からの前半10年と2014年からの後半10年に分けて比較したところ,前半から後半にかけて増加したのは,ベーチェット病(21%→29%),薬剤(2%→10%),炎症性腸疾患(2%→10%)で,減少したのは感染症(31%→19%)だったが,いずれの変動も統計学的に有意ではなかった.特発性の割合は前半で37%,後半で24%だった.
全身性アミロイドーシスは,診断基準の主要症状等から疑い,皮膚・腎臓等の組織検査によるアミロイド沈着が確診となる.我々は,当科でランダム皮膚生検を施行した16例を基にランダム皮膚生検の陽性率向上について検討を行った.その結果,ランダム皮膚生検の生検部位は,アミロイドーシスを疑う皮疹,特に紫斑があれば皮疹部を優先し,次いで老人性血管腫からの生検を推奨する.皮疹がない場合は,皮下組織の厚い腹部を優先とし,検体は脂肪織が含まれるように採取,生検数は4カ所以上が望ましいと考えた.
悪性黒色腫,メラノーマの欧米白人に対する治療法は免疫チェックポイント阻害薬,分子標的薬の導入により画期的転換を迎えた.しかし病型が異なる日本人症例に対する有用性は乏しく,新規治療法開発が喫緊の課題である.我々はメラノーマに特異的な代謝経路,メラノジェネシスのメラニン前駆物質であるチロシン(フェノール)誘導体,NPrCAPを合成し,マグネタイト粒子と結合させ,産学共同研究を行うことにより次世代型低侵襲性化学・温熱・免疫(CTI)療法を樹立した.新規薬剤開発,作用機序,臨床治験につき報告する.