化膿性汗腺炎とは,毛包の慢性・炎症性・再発性の消耗性皮膚疾患である.腋窩,鼠径,肛門性器部,臀部,乳房下部が好発部位である.かつてはしばしば「慢性膿皮症」と呼称され,慢性感染症と理解されていた.しかし,現在は本疾患が免疫疾患であるとの病態理解に基づき,抗TNF-α抗体が治療薬として承認されるとともに,様々な薬剤が開発途中にある.我々による疫学調査により,国内における本疾患は欧米の場合とは異なる特徴を有し,また患者QoLが国民標準値と比べて大きく低下していることが明らかになった.今後治療法が進歩し,患者QoLが向上することを期待したい.
化膿性汗腺炎は毛包の慢性・炎症性・再発性の疾患で,長年,様々な治療が行われてきた.2019年に生物学的製剤アダリムマブが保険承認され,新しい治療選択の1つとして使用可能となった.アダリムマブにより一定の有効性が得られるが,単独での治癒は難しく,外科治療を中心とした既存治療とのコンビネーションは不可欠である.本項では,アダリムマブと外科治療の使い分けやコンビネーションについて考えてみたい.
化膿性汗腺炎は炎症を伴う皮膚疾患であり,長期にわたり患者の生活の質を障害する.病態生理の解明に伴い特異的に炎症性サイトカインなどを阻害する抗体製剤が治療薬として選択できるようになった.2023年1月現在,化膿性汗腺炎はアダリムマブのみが保険適用となっている.効果が高いが,患者の経済的負担も大きいので,生活の質への影響を考えて使用を検討する.抗IL-17抗体など多くの抗体製剤が治験中であり,今後の適用拡大が期待される.
患者申出療養制度下に難治性天疱瘡を対象としたリツキシマブ治療の安全性・有効性を評価する臨床試験を実施した.寛解に至らない患者16名が参加した試験で,主要評価項目である安全性における問題は観察されなかった.寛解率は62.5%であり,リツキシマブ既治療例2例も寛解に至った.全症例において臨床スコア,天疱瘡抗体値の低下が観察され,ステロイド投与量は3例で同量維持,13例において減量することができた.検証的試験ではないものの,本臨床試験によりリツキシマブの安全性・有効性が確認されたと考える.
症例①:68歳男性.消化器内科に入院中に,四肢の有痛性紅斑のため当科を受診.症例②:60歳男性.下腿紅斑と足関節痛で救急搬送.いずれも膵酵素は高値,腹部CTで急性膵炎を認めた.病理組織所見と併せて皮下結節性脂肪壊死症と診断し,膵疾患の治療により皮疹は改善した.本疾患は下腿の有痛性紅斑との鑑別を要する.本疾患33例(医中誌31例と自験例2例)と結節性紅斑10例(当科症例10例),バザン硬結性紅斑11例(医中誌8例と当科症例3例)のWBCとCRP値を比較し,WBCで有意差が得られた.
当院で経験した重症汎発型単純型表皮水疱症5例の臨床症状,臨床経過,電子顕微鏡検査結果をまとめた.一概に重症型と言っても臨床症状は小型の水疱出現に留まるものから,全身に大型の水疱・びらんが多発するものまで様々であった.出生時の症状の強さに関わらず,成長と共に学童期の頃には皮膚症状は軽くなる点が共通していた.成人例では小水疱が紅斑辺縁に配列する特徴的な所見がみられた.電子顕微鏡検査では,臨床症状の重症度に比例して基底細胞内のケラチン凝集塊の数およびケラチノサイトの壊死が増加する可能性が示唆された.